アレルギー

ステロイド軟膏の副作用はどれ?

一昨日に書いた「ステロイド軟膏の副作用が怖い?」で、ステロイド剤の外用を続けた場合に見られる症状(副作用)を5つ挙げました。

もちろんステロイド外用剤では、外用局所の毛細血管拡張なども起こりうるのですが、医師向けの講演会でしたので、医師なら誰でもが知っている副作用ではなく、ちょっと捻った?質問事項になっていました(ですから、一般の方はわからなくても大丈夫です

前回、お示ししたのは

1.顔が丸くなる(満月様顔貌)
2.骨がもろくなる(骨粗しょう症)
3.皮膚の色素沈着が起こる
4.日光に当ると色素沈着が起こる
5.皮膚が象の様に厚くなる

の5つでしたが、あなたは、どれが(或いは幾つ)起こると思いますか?




私は、4を選んで不正解でした

正解は1の、満月様顔貌(顔が丸くなる)でした。
これは、ステロイドの長期間内服で見られる副作用の一つですが、かなりの量を、それも長期に飲んでいないと起こらないので、外用では起こることはないだろうと考えたのですが、アトピー性皮膚炎を食物制限を主体に治療している(アレルギーをやっている医師の間では、ある意味有名な)四国にある病院で、私たちは通常使うことの無い、最も強いランクのステロイド軟膏を長期に使用されていた子どもの症例が示されたので、驚きました。

2の骨粗しょう症も、ステロイドを長期内服すると起こりえますが、外用では起こりえません。

3と5はウソです。 でも、アトピーでステロイド軟膏をしている人に、時々見られますよね? 
でも、ステロイドを内服しても、皮膚の色素沈着も、皮膚の肥厚も起こりません。
では、何故か・・・・・。
実はステロイド外用(皮膚局所の抗炎症治療)が不十分で、皮膚の炎症がずっと続いているから、これらの症状が起こって来たのです。
つまり、十分量のステロイドを十分な期間しっかり使って、炎症を完全に鎮めておけば起こって来ない症状なのです。

4は、昔の不純物の多いワセリンが基材のステロイド軟膏では、時に見られたそうですが(ワセリン焼け)、現在の精製の良いワセリンが基材として使われているステロイド軟膏では起こらないのだそうです。

今回、江藤隆史先生の講演を聴いて、不十分なステロイド外用が一番いけないのだとわかりました。

根拠のない「ステロイド恐怖症」を広めてしまった、当時のニュースステーションの久米宏キャスターの責任は大きいのです。

テレビ(新聞も)の報道は、根拠がない誤った内容でも、いかにも正しい様に見えてしまうので注意が必要ですね。

ステロイド軟膏の副作用が怖い?

先日、東京逓信病院皮膚科部長、江藤隆史先生の、蕁麻疹とアトピー性皮膚炎治療に関する講演を聞く機会がありました。

江藤先生は、成人の重症アトピー性皮膚炎治療の名医として有名ですが、アトピー性皮膚炎治療は標準的治療を普通に行えば、コントロールできると仰っています。

江藤先生の言う標準的治療(3本柱)とは、
1.症状を悪化させる因子を探し、身の回りからできるだけ除く
2.スキンケアで皮膚の清潔、肌のうるおいを保つ
3.皮膚の炎症を抑えるために、外用薬(ステロイド)による薬物治療を行う
で、
「逆に特徴ある治療を宣伝する医師は危ない」と警鐘を鳴らしています。

この3本柱、私が普段行っている治療と基本的に同じでしたが、ステロイド軟膏の使い方が少し違いました。
私は小児科で乳幼児の患者さんが多いので、ついつい、ステロイドは少なめに、短期間で保湿剤などに切り替えていましたが、完全に皮膚の炎症が治まるまでは、病状・部位に合わせた、十分な強さ、量を使用しないといけないということでした。

今回の講演で勉強になったことの一つに、ステロイド外用薬の副作用がありました。
以下の4つの内、ステロイド軟膏を使うことによって起こってくるものはどれかというものですが、皆さんは幾つあるか分りますか?(私は間違ってしまいました

1.顔が丸くなる(満月様顔貌)
2.骨がもろくなる(骨粗しょう症)
3.皮膚の色素沈着が起こる
4.日光に当ると色素沈着が起こる
5.皮膚が象の様に厚くなる

どれだと思いますか?

ステロイド軟膏の副作用は、昔、ニュースステーションという番組で、久米宏というキャスターが、アトピーやステロイドに関しては全くの素人で、ろくに調べもしていない(としか思えない)にも係わらず、アトピー性皮膚炎にステロイド軟膏を使うと、治らないだけでなく、治療を止めると「リバウンド」で更に悪化し、一生強いステロイドを使い続けなければならず、副作用で失明したり大変なことになる。 ステロイドは怖い薬なので、最後の最後に使う薬・・・と言う様な、「脱ステロイド療法」という、学問的根拠の全く無い、インチキな「アトピービジネス」で大儲けしている業者が大喜びする誤った内容の放送をしてから、一般の人に「ステロイド恐怖症」が広まってしまいました。

アトピー性皮膚炎も含め、湿疹は皮膚の炎症ですから、治療はその炎症を治めることが基本になることは、チョッと考えてみれば当然なのですが、根拠の無い「ステロイド恐怖」がまだはびこっていて(医療ではない、アトピービジネス業者が、今でもネットなどで、金儲けのための嘘の情報を発信し続けています)、外用薬をキチンと使わない患者さんが多く、不完全な治療⇒慢性化、難治化⇒ステロイドでは良くならない、という誤った認識が出来てしまうのです。

私も江藤先生の講演をお聴きして、標準治療の重要性を再認識したので、今後の外来治療に生かして行きたいと思います。

さて、長くなってきたので、ステロイド外用薬の副作用の答えは、次回のブログで発表します

学会

学会といっても、あまり馴染みはないかもしれません。

私も医者になるまでは、聞いたことはあるけれど、具体的にはどんなものかはわかりませんでした。

医者の使命は病気の患者さんの治療をするのが第一義ですが、やはり自然科学を学んだ「医学者」でもあるべきなので(人間は機械ではないので、同じ病気でも、治療への反応も異なることがありますし、理論通りには行かないことも多々あるのです)、ある程度「科学者」としての視点を持つべきですから、その訓練の一環として(だと思っていました)、研修医の頃から、学会発表をするように言われていました(もちろん、最初は、指導医の指示通りにするだけなのですが)。

学会発表は、症例報告から臨床研究、基礎研究に至るまで様々ですが、今回の小児アレルギー学会は、臨床研究の発表がほとんどで、私の様に研究から離れてしまった者にとっては、基礎研究をしていた大学院時代とは逆に、実際の診療の場で役に立つことが勉強できる学会です。

学会発表や学術論文を書く事は、学位(博士号)を取ったり大学に残って行く為に、「業績」としてどうしても必要なものですが、それらを通り越して開業すると、学会に行くことは個別の発表を聴くことはもとより、シンポジウム、教育セミナーなどで、その分野での最新の知識を吸収する機会が得られるということの方が意味を持つことになります。

大学時代はアレルギー班に所属して、喘息、食物アレルギー(除去食や除去解除のための経口負荷試験)、アトピー性皮膚炎、スギ花粉症治療(減感作療法)などを行ってきましたし、今もそれらに力を入れて診療していますので、今回はもう一つの専門分野である感染症(アメリカ留学ではロタウイルスワクチン開発に携わっていました)の学会(東日本感染症学会と小児感染症学会)と重なってしまったのですが、今回はアレルギーの勉強を選びました

今日は木曜なので、午前の診療が終わった後、感染症情報の更新や今日中に片付けなければならない事務仕事を片付けて、羽田へ
DSCF3699

今回、学会は福岡国際会議場で開催されますので、夕方の飛行機で
DSCF3700
DSCF3709
飛行機の中では、時間が無くて、あまり読むことのできなかった抄録集に目を通して・・・・
何事も無く、7時前には福岡空港に到着しました
DSCF3704

明日から、診療を休んでしまってたくさんの方に迷惑を掛けてしまっている分、診療レベルが上がるよう勉強したいと思います。

休日の過ごし方

朝から、東京、芝公園にあるホテルで、小児科疾患(主にアレルギー)のシンポジウムがあったので、行って来ました。

このホテル、東京タワーのすぐ近くにある、某ホテルチェーンのフラッグシップとも言える高層ホテルですが、大きなコンベンション会場が地下にあって、品川駅や東京駅、羽田にも近いことから、最近では結構色々な全国規模の学会やシンポジウムが開かれています(先日は、日本感染症学会総会もここで開催されました)。

ホテルからは、当然、直ぐ近くに東京タワーが見えます。
DSCF3422


会場では、全国からの数百名の参加者が、ワクチンとアレルギー、食物アレルギー(小学校・保育園での対応)、今年改訂される小児気管支喘息治療管理ガイドラインについてなどの、5演題を熱心に聞いていました。
DSCF3423


このシンポジウム、朝10時から午後1時までの4時間の集中シンポジウムだったので、午後は池袋のデパートに修理に出しておいた物を取りに行ったり出来て、1日を有効に使えました

台風一過と乳幼児の喘息

一昨日の台風、大変でした。

私のクリニックでは、夕方から夜に掛けて関東直撃との予報を受け、朝の時点で、午後の臨時休診を決め、予約を受けていた乳児健診については、後日への変更の連絡をさせていただきました。

この措置は、お母さんが赤ちゃんを連れて来るのが危険なのは勿論、職員の帰宅途中に万一のことがあると困るからですが、同じフロアに在る某皮膚科クリニックは、午後5時までガンバって診療し、院長先生は暴風雨で帰ることが出来ず、クリニックに泊まられたそうです(職員の方は、無事帰れたのでしょうか?)

さて、昨日は台風一過、朝から良い天気でしたので、午前の診療終了後(木曜は午後休診ですので)、駅の反対側にある京葉銀行に行くついでに、産業道路沿いのガソリンスタンドでガソリンを入れ(今週末は、群馬の実家に帰る予定ですので)、洗車もしました。

昨夜は、船橋市夜間休日急病診療所の小児科準夜(午後8時〜11時)の当番でしたので、午後はクリニックに戻り溜まっていた事務仕事を片付け、午後7時過ぎに地下駐車場から車を出すと・・・・・・

ああ、またしてもマーフィーの法則・・・・洗車すると雨が降る

まあ、起こってしまったことはクヨクヨしても仕方ない(元々、母譲りの能天気な性格の私は、直ぐに立ち直れます)と、気を取り直して、船橋市役所奥の急病診療所に出かけました。
DSCF3269


この時期、感染症の大きな流行はありませんから、忙しくはないだろうと、毎月定期購読している「アレルギーの臨床」という雑誌を持って行きました。
DSCF3276

いつもは20分ほど前には着くようにしているのですが、思ったより道路が混雑していて、ギリギリ5分前に着いてみると・・・既に7〜8組の親子が待合室に・・・

最初の45分程で13人を診終ると一段落して・・・
持って行った「アレルギーの臨床」を読み始めると・・・・・看護師さんが新しいカルテを持ってきてくれます

患者さんは、やはり発熱が多いのですが、台風がきっかけで悪化した喘息の子どもの受診も多かったですね。

中には、まだ喘息とは言われていないがぜーぜーを繰り返している幼児もいて、当に今月号の「アレルギーの臨床」の最初の「乳幼児喘息の診断上の課題」そのものでした。

私は、帝京大学小児科で研修を受けましたが、臨床ではアレルギー班に属して、毎週月曜日午後のアレルギー外来と、病棟で、喘息、食物アレルギー(除去食、経口負荷試験)、乳幼児のアトピー性皮膚炎を沢山診て来ましたので、、現在でも、アレルギー疾患の診断・治療に力を入れています。

ここ十数年、小児の喘息治療は、小児アレルギー学会が出している、小児気管支喘息治療・管理ガイドラインに沿って行われることが多いのですが(中には、昔ながらの自分のやり方で治療される先生もおられますが・・)、そこには、乳児喘息の診断は、「明らかな喘鳴(ヒューヒュー・ゼーゼー)を3回以上繰り返す」となっています。 ただし、乳幼児では、喘息以外でもゼーゼーすることはある訳で、その辺で診断をつける上で苦労することがあるのです。

この診断基準の根拠は、そいうった乳幼児を見ていくと、5年後には80%のこどもは、喘息として治療を受けているということなのですが、逆に言えば20%近い子どもは喘息ではなかったということですから、この辺に乳幼児期(特に乳児期の)喘鳴の診断のつけ方の難しさがある訳です。

少し固い話になってしまいましたが、台風などの急激な気圧の低下では喘息発作が誘発されやすくなりますし、一日の寒暖の差が激しくなるこれからの時期は喘息発作が起こりやすくなりますので、ゼーゼーしたことのあるお子さんは注意してください。

そして、ゼーゼー・ヒューヒューだけでなく、夜間の咳がひどい場合も喘息の可能性がありますから、早目に相談に来てください。




楽天市場
Ads by Google
「Ads by Google」ブログパーツは、サービスを終了しました。
記事検索
livedoor プロフィール
タグクラウド
livedoor × FLO:Q
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ