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【梅雨期の豪雨対策】都市部の被害防止急務(7月11日)

 今年の梅雨前線は例年以上に手ごわい。日本列島で大暴れしている。西日本は集中豪雨の波状攻撃を受けて洪水や土砂崩れが相次ぎ、甚大な被害を出した。県内は低気圧の影響で先週末、激しい雷雨となり、会津美里、会津坂下両町などに避難勧告が出され、冠水やのり面崩落が各地で続出した。この時期、油断は禁物だ。
 自然は昨年も猛威を振るった。7月末の会津地方への集中豪雨、9月下旬の台風15号による県中・県南への水害が忘れられない。会津地方は今なお爪痕が色濃く残り、JR只見線はまだ全線復旧をしていない。県中・県南の関係機関は「何度も被害に遭っている」と警戒感を強め、どちらの住民も心中が穏やかではない。
 経済県都・郡山市も治水対策に頭を痛めている。昨年の台風15号では市中心部が広範囲で浸水し、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で疲弊した市民に追い打ちを掛けた。阿武隈川や逢瀬川が増水し、東部幹線沿いの昭和、小原田、日出山地区や富久山地区の商業地、住宅地が冠水した。一時は約2万8,000世帯に避難指示が出され、陸上自衛隊が出動するほどだった。JR郡山駅前のアーケード内も水浸しとなり、市内の交通網もズタズタになった。
 いずれの地区も水害の「常連地帯」で、過去に何度も痛い目に遭っている。周辺の雨水が集まって側溝から溢[あふ]れる「内水」が被害を大きくしている。水門の開閉や排水ポンプの数も問題視されてきた。住民の多くは「数年ごとに泥に漬かり、後始末が大変。毎回の出費も大きい」と不満を口にし、都市整備の遅れを指摘している。
 市は国、県と歩調を合わせながら河川や下水道改修、防災調整池の整備、排水ポンプの増設、洪水情報提供のスピード化などに進めているが、なかなか効果は見えないのが現状だ。
 このため、市は先月、市総合治水対策連絡協議会を発足させた。河川工学や都市工学の専門家を加え、来年2月までに「水害に強い都市づくり」の協議に入った。平成12年に作成したハザードマップも見直し、共助体制の構築、緑地の確保などに取り組み、市民の安全・安心を確立したい-としている。早急な素案づくりが求められ、慢性的な水害の解消に期待が集まる。
 ゲリラ豪雨に見られるように自然災害はいつ襲ってくるか分からない。気が抜けない。土石流や地滑りなどの危険性を抱える山間部ばかりでなく、都市部も緊張した日々が続く。(浜津 三千雄)

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