社説
計画停電 周知徹底し混乱回避を(7月3日)
北海道電力は、計画停電の詳細を発表した。万一の場合、23日から9月14日の平日、全道を60グループに分けて行われる。
北電は、北海道と本州間の海底ケーブル「北本連系」や火力発電所の故障など複数のトラブルが重なった場合の備えとしている。
こうした事態に至らないことが何より大切なのは言うまでもない。北電は設備の補修点検に万全を期さねばならない。
その上で、計画停電に踏み切らざるを得なくなった場合、混乱が生じないよう、きめ細かな対策が求められる。
心配なのは、計画停電区域と時間帯の割り振りが極めて複雑なことだ。変電所の変圧器単位で地域を分割したため、同じ町内でもグループが異なることもある。
北電はホームページやチラシなどで停電スケジュール表を公開したが、非常にわかりにくい。もっと利用者目線に立った工夫をすべきだ。
各自治体と協力して高齢者世帯を個別に訪問するなど、周知徹底のための丁寧な努力が欠かせない。
官庁、警察、消防などに加え、主要医療機関は停電の対象外となった。しかし、多くの社会福祉施設や診療所が影響を受ける恐れがある。
道の調査では、福祉施設・診療所のうち自家発電設備を持つのは2割程度にとどまる。自宅で人工呼吸器などを使う患者にとっても停電は命に関わる問題だ。
道は関係機関と連携し、予備電源導入の補助や小型発電機の貸与など十分な支援策を講じてもらいたい。
北電は、冬場は一層電力需給が逼迫(ひっぱく)するとして、泊原発1、2号機の早期の再稼働を訴えている。
だが、福島第1原発の事故の検証も済まないのに、政府が急ごしらえの暫定的な安全基準で関西電力大飯原発を再稼働させたやり方は、許されない。
夏の電力不足は昨年から予想されていたにもかかわらず、政府は原発再稼働を優先し、供給力の上積みや節電対策は後手に回った。
この失態を繰り返さないためにも、北電は早急に冬場の正確な需給見通しを示し、新たな時間帯別料金メニューなど、節電意欲を高める方策を検討すべきだ。
北電が節電要請をした5月中旬から1カ月間の最大電力需要の平均は、2010年比で4・9%減少した。節電期間の開始を前に、かなりの効果が出ている。
7%以上の節電目標までもう一息だ。計画停電を回避するためにも達成したい。さらに節電を深化、定着させ、原発に頼らない暮らしの基礎を築く必要がある。