夕刊フジ 2005年6月28日
全裸SEX教団「ザイン」“世界戦略”驚愕の中身
代表と単独インタビュー

 全裸の男女による「性の儀式」などで週刊誌をにぎわしている謎の組織「ザイン」(静岡県沼津市)。「全裸セックス教団」とスキャンダラスに報じられるなか、代表が夕刊フジの単独インタビューに2時間半にわたって激白した。性器をさらす儀式は「世界戦略の一環」というが、その“戦略”には驚きの中身が隠されていた?

東大工学部卒65歳
「お金をもうけるための株式会社」


「『ザイン』は教団ではなく、お金をもうけるための株式会社。ただ、私には思想があり、うちの商品には思想がこめられている。それに感応する人を世間が“信者”といっているに過ぎない」
 「ザイン」本部からほど近いマンションの一室でそう話すのは、伯魔壬旭(はくま・じんきょく)こと小島露観(ろかん)氏(65)。
 小島氏は東大工学部出身。川崎製鉄を1年でやめ、数学塾を営みながら独自の思想を構築したとか。現在は「ザイン」「ジャパンシンドローム」という2つの株式会社で会長を務める。
 「ザイン」の主な事業は、開運や美容などをうたったアクセサリーやグッズを全国に5店舗ある「Zion(シオン)」および通販で販売すること。「オペレーション」と呼ばれる有料セミナーも手がけるが、話題の「性の儀式」もこの一環だ。「ジャパン−」は営業戦略を立てる会社で、社員は2社合わせて約80人という。

3分の2が女性
“性の儀式”は有料セミナー 


 「この社会をぶっ潰す」
 小島氏の「思想を受け入れた」顧客らによる会員組織もある。入会金は5万5650円で、会費は月額3−5000円。400人弱の会員のうち女性が3分の2を占める。
 気になる小島氏の思想とは、端的に言って「この社会をぶっ潰す」ことだという。
宇宙を司る唯一神「ザイン」の化身「世界皇帝」を自任する小島氏は、 「世界中を軍人統治のシステムに作り替える」と、穏やかならぬ世界戦略をぶちあげる。
 「シビリアンコントロール(文民統制)は間違い。政治家が軍人の上に立つシステムが世界の混乱のもとだ。世界中の軍人は国のために犠牲になる者同士、精神的に連帯できる。
彼らを動かすよう、コトをおこせばよい」(同)
 政権を握る意志は隠さないが、現行の民主主義には否定的で、 「選挙といういやらしいシステムで政権を取るつもりはない」(同)。だが具体的な方法には口を閉ざす。
 小島氏の著作「沈黙の兵士」や過去の発言などでは、小島氏の私設軍隊と自衛隊が同盟を組んで決起し、「新しい皇朝」を建設する意志が明らかにされている。
「私が実質的な皇帝となり、世界のローヤルファミリーとして世襲していく。私の子供らは優秀で、まったく普通じゃない」(同)
 小島氏の私設軍隊「帝國0」では、氏に絶対服従を誓う「軍士」らが、“来るべき日”に向けて日夜、剣の修行に励む。
 だが“Xデー”について小島氏は、「私は老化の原理を究めた50代から、逆に若返っている。80歳や90歳になっても老けない」とけむに巻いた。
 刑法が定める「内乱の予備」にも抵触しかねない“世界戦略”だが、現体制の破壊を目指す“世界皇帝”は、現行法など眼中にないのだろう。



性の儀式 

 ザインでは「Mega Blow」と呼ばれるイベントを開催。女性の性器に筆を挿入して「書道」をさせたり、“ストリップ”を披露させた。このほか、広告塔となる女性参加者「ホーリーナイテス」を結成し、ノーパン・ミニスカート姿で剣舞をさせた。また、ノーパンの女性参加者が互いの足を抱えてトンネルを作り、その中を男性参加者が這ってくぐるという 「花びらトンネル」と呼ばれる行為などを行い、 「性欲を抑圧しなければ、もっと魅力的になって恋人ができる」「恥を捨てて性欲を表現すれば、女性は幸せになれる」
などと参加者に信じ込ませた。


→BACK   →TOP


夕刊フジ 2005年7月7日
「セックス教団」ザインの奇っ怪イベント潜入ルポ
その名も「帝國主義大作戦」中国と北朝鮮を抹殺?!

「セックス教団」「国家転覆をたくらむ私設軍隊」などの憶測を呼んでいる「株式会社ザイン」(本社・静岡県沼津市)。ザインは先月末、横浜市で集金目的のイベントを開催した。注目の“性の儀式”はなく、むしろイベントの商業性が浮き彫りに。その異様な会場に潜入した。

注目の”性の儀式”なし
168人参加、女性が若干多く


「帝國主義大作戦」と銘打たれたイベントの参加料は、「イリュミナートX軍団員」と呼ばれる会員が5万2500円。それ以外は16万2750円に跳ね上がる。
 会場には午前11時の受け付け開始を待たず参加者が次々に来場。男性は軍団員オリジナルの軍服、女性は主催者側の事前の指示通りチャイナドレスやアオザイに着替えた。参加者は168人で、女性が若干多め。子供連れの姿もあった。
 イベントは毎月開催され、今回のテーマは「中国と北朝鮮を完全に抹殺」して、「古代中国以前に東アジアに存在していた、日本を中心とする大帝國を復活させる」こと。参加者自身にも「『Z(ザイン)帝國主義』の発展と共に、個人の運命も大発展を遂げていく」効果が望めるという。
 儀式では「導師」の先導のもと、参加者がビニールシートの上に描かれた図形に沿って、
同社オリジナルの魔法の杖(つえ)や剣を振る。ザイン広報によれば「天上から場に焦点化したエネルギーを参加者が取り込む」のが目的だという。
 儀式の中でザイン代表の伯魔壬旭(はくまじんきょく)氏(65)=本名・小島露観=は、旭日旗の図案について 「中心は女陽(女性器)、白は精液、赤は月経の色」と珍妙な解釈も披露した。

 正味2時間ほどの儀式後、同社の広告塔的存在の女性がカラオケで4曲を熱唱。
続いて酒や料理がふるまわれ、伯魔氏の「ジンギスカーン!」という意味不明の乾杯の音頭とともにパーティーが始まった。
 熱気を帯びた会場の中心には同社の開運グッズが並べられ、社員の商品説明に熱心に聞き入る参加者の姿も見られた。購入者には社員の威勢のいいアナウンスのもと、会場中から盛大な喝采(かつさい)が送られる。
非科学的な効果をうたう“開運商法”はもとより、興奮状態の会場で競争心や集団心理を巧みにつく“SF商法”が取り入れられていた。
 社員の「負けたくても負けられなくなる」という営業を受け、「不敗の軍団」という6万900円のペンダントを購入した男性はチャイナドレスの女性に囲まれ、「イベント会場でしか販売されない聖品(=グッズ)は効果がケタ違い。それが目当てで来る人も多い」と熱っぽく話した。

開運グッズ購入者に盛大な拍手
147万円ネックレスは特別儀式付き


 終盤には「征服者(コンケラー)」という147万円のネックレスを購入した12人だけが伯魔氏から特別な儀式を受け、他の参加者から羨望(せんぼう)のまなざしを集めた。
 この儀式を受けた30代男性は、 「生物工学を専攻し、科学とバックにある深い闇のギャップがジレンマだったが、ここにすべての答えがあった」。「お金を何に使うかは、その人の考え次第。これまで値段なりの効果があると確認しているので、147万円はそれに見合う効果があるはず」と期待する。
 伯魔氏が夕刊フジの取材に 「うちは会社ですから。お金を稼いで何が悪いんですか」
と語った通り、イベントの随所にグッズを売るための高い“戦略性”が垣間見られた。
 今回は“性の儀式”は見送られたが、通常その先導役を務める女性2人が剣舞を披露。
「取材が入ってみなさん緊張したのか、普段よりテンションが低かった」
(ザイン広報)という「大作戦」はこうして完了した。
 伯魔氏は最後のあいさつでしばし瞑想後、「時間が折れた」と謎めいた一言を残し、だらけた場の雰囲気にご機嫌斜めのまま会場を去った。


→BACK   →TOP


夕刊フジ 2006年12月5日
【全裸教団のためヘルス嬢になった私】(上)
「1日に8人も相手し…」

 “全裸SEX教団”として昨年、メディアを騒がせた「ザイン」。性の儀式など常軌を逸した実態が報じられるに従い、会員が激減し、霊感商法もジリ貧となった。営業攻勢は厳しさを増し、今や数百万円の契約をさせたうえに支払いが滞ると、女性には水商売や風俗嬢へ転職まで奨励する始末。血も涙もない“ザイン商法”の犠牲者が、地獄の日々を告発する。

「子供いなかったら自殺していた」

 「朝から晩まで1日に8人も相手して、ロボットになった気分だった。毎日ただ死にたかった。子供がいなかったら、自殺していたと思う」
 神戸市在住の女性(31)は昨夏の忌まわしい記憶を呼び起こす。
 女性は中学時代に性被害を受け、高校時代には唯一の肉親である母親が駆け落ち。東京の親戚の家に預けられ、幸福な家庭への憧れは募った。鬱病(うつびょう)に苦しみ専門学校を中退後、母を追って引っ越した。保険外交員をしていた23歳のとき、女性雑誌の広告でザインと出合う。「恋愛がかなう」というアクセサリーに目を奪われた。
 「当時つき合っていた調理師が忙しく、振り向かせたかった」女性は、3万8000円をはたいて注文。その後、ダイレクトメールが大量に届き始め、ザインの直営店「シオン大阪店」に通って占いを受けるようになった。「占いの結果はいつも最悪だった」ため、おりおりに開運グッズも購入。月収18万円のうち10万円をつぎ込んだ。
 「ザインの人間を信じたり、心を開いたことはない。でもグッズを身に着ければ運命が開けると信じていた」。グッズの効果が上がるという1回5−6万円の儀式も、会場が遠いので自宅から毎月“遠隔参加”した。

「本番さえしなければ大丈夫」と
「星の位置変えよう」と420万円儀式


 調理師とは別れたものの、25歳で別の男性と結婚。子供も生まれたが、ザインを巡って衝突し、2年で離婚。工場勤務と生活保護で、女手ひとつで長男を育てたが、昨年になって夫が「復縁したい」と言ってきた。
 だが「(元夫が)他の女とも切れてなかった」と知りショックを受けた女性は、大阪店に電話で相談。店長の男性は「あなたの人生の不幸は、生まれたときの星の位置で決まっている」と断じ、「位置を全部いいところに変えてしまいましょう」と儀式を勧めた。

 運命を司るという星は12個。儀式の代金は1個35万円で計420万円にのぼる。さすがにためらったが、店長は「これで人生変わるんだよ。安いもんだよ」と猛プッシュ。女性が以前、グッズを買うか迷った際に言われた「風俗してでも買う人もいるんだから」という営業トークを思い出し、「風俗で働けば払えるんでしょうか」と聞くと、店長は「あんたナイス! そういう女大好き!」と躍り上がった。
 女性が「好きでもない男と交わるとハートが汚れる」という教義との矛盾を質すと、店長はこともなげに答えた。
 「本番さえしなければ大丈夫。ヘルスかサロンにしろ」


→BACK   →TOP



夕刊フジ 2005年12月6日
【全裸教団のためヘルス嬢になった私】(中)


無間地獄

 “全裸セックス教団”こと「ザイン」の幹部に「不幸続きの人生を変えられる」と勧められ、総額420万円の儀式を受けることを決めたシングルマザー(31)。支払いのためヘルス嬢となったが、それは無間地獄の入り口でしかなかった。
 「キャンセルしたら呪われる」。ザイン直営の「シオン大阪店」店長との電話を切ると、とてつもない買い物をした後悔より、支払えないで「運命が崩壊し発狂する」という恐怖に支配された。
 「ソープって何?」と店長に聞くほど夜の世界に疎い女性は、仕事探しの見当もつかず、風俗情報誌を見て電話をした。
 面接日は30回目の誕生日だった。店員に「お客用の番号から面接を申し込む女はいない。男にだまされているだろう」と見透かされた。3日後、神戸一の風俗街、福原のヘルス嬢となった。
 「日の出から出勤。朝4時になると迎えの車が来て、夕方4時まで12時間働いた。それを週6日。客の回転がすごすぎて8回転の日もあった」
 当時4歳の1人息子は保育園までの時間、母親に預けた。ザインへの傾倒ぶりを知る母親は、娘にただ「落ちるところまで落ちたわね」と言った。保育園が休みの日曜は福原の歓楽街の託児所に息子を預けて働き、1カ月で75万円を稼いだ。いくら心を無にしても「客の前で泣き出してしまい、店員がかけつけて客に平謝りすることもあった」。

「落ちるとこまで落ちたわね」と母親
新しい霊感商法に頼る悪循環


 極度の不眠症になったが、「子供と一緒なら眠れるときもあった」。だが毎晩、深夜になると電話が鳴った。
 「日払いの金を当て込んで、シオンの店長が営業電話をかけてきた。客から“本番”を強要されると相談すると、『変な男を寄せ付けない効果がある』と35万円のアクセサリーを勧められた」
 蝕まれる心身を守るため、新しい霊感商品に頼る悪循環。不憫な息子に買ったものもあった。
 いくら稼いでも返済が進むどころか、支払額は膨れ上がっていった。やがて買った覚えのない商品まで払込用紙とともに届くようになった。ヘルス嬢よりもうかるホテトル嬢に転じ、月80万円を稼いだが「精神的に参って、ただ死にたかった。いつの間にか、普通の人生が憧れのものになっていた」。福原に出てから3カ月後、「頭の中でプツンと切れた」。
 肺炎をこじらせて寝込んだが、稼がねばならない。小康を得て新たな店に面接に行くと、不意に「君、ザインやろ」。この店長は以前にもザイン関係者と接したことがあるという。「向いてへんで、この仕事」と言う店長に「どうせ死ぬんだから」と仕事をくれるよう頼むと、店長は女性の首にかかる開運ネックレスをつかんで忠告した。
 「こんなの大切にするより、自分のほうが大事やで」
 女性はこの言葉に「目が覚めた気がした」。


→BACK   →TOP


夕刊フジ 2006年12月7日
【“全裸SEX教団”のためヘルス嬢になった私】(下)


「一生懸命やっても何も残らない」と決別

 「あんた風俗やれば」
 “全裸SEX教団”こと「株式会社ザイン」幹部は、420万円の儀式を契約したバツイチ1児の母(31)に、性をひさいで支払うよう勧めた。
 歓楽街での絶望的な日々。完済どころか救済を求め、新たな開運商品に手を伸ばしてしまう。終わりない闇に一条の光をもたらしたのは、風俗店店長の「開運商品より自分を大切にしろ」という一言だった。
 ザインとの決別を決めた女性は、営業や督促の電話を無視。時には店長が電話を取り、「もう電話すんなと言ったやろうが。金がほしけりゃ、お前が来い」と怒鳴った。
 「結局、ザインの人間が来ることはありませんでした。それ以降、一切お金は払っていません」
 女性は病院の事務に転職。今春、鬱病(うつびょう)がぶり返して仕事は辞めたが、ザインから離れたことで元夫が養育費を払ってくれるようになった。
 「あんなに一生懸命やったのに、何も残らなかった。でも今は毎日、子供のために過ごせて、本当に穏やかな生活です」
 女性は「まだザインで借金をつくり、風俗で働く女性がいる。早く気づいて楽になり、新しい人生を歩んで」と訴える。
 この女性に限らず、支払いに窮した女性会員には「組織ぐるみで水商売や風俗で働くよう奨励している」(関係者)。転職したら夜の仕事専用の“商売繁盛”グッズまで売りつける周到さだ。

黒曜石が5万円超

 同社のカタログによれば、5万2500円の黒曜石「サブライム・セックス」の効果は≪罪悪感消滅≫。同額のペンダント「風俗の女王」は≪好ましからざる男と交わった時は波動をシャットアウト。ウイルスを盛った男と交わっても相当の確率でウイルスをシャットアウトすることができる≫。風俗嬢の「何故か問題客につかない」という体験談まで添えてある。
 ザインは今年6月、小島露観代表(66)の指示で「ザイクス」に改称。関係者は「銭ゲバぶりが報道で明るみに出て、多くの下層会員が脱退した。新規会員に期待できない分、既存会員への営業はなりふり構っていられない」と現状を語る。
 「上層部は『借金してでも買え』とたきつけ、カードで満額まで買わせたうえ自社ローンを組ませる。『我々が政権を取った暁には、買った分だけ貴族の特権階級が与えられ借金が財産になる』と謳っている」(同)
 それでも当座の資金繰りも厳しいのか、「今年は1年分の儀式費用60万円を前払いさせた」(現役会員)。商品の値段もエスカレートし、今年6月には900万円の観音像までお目見えした。
 ザイクスの広報担当は経営状態について、「一切お答えしかねます」と回答を拒否した。小島氏が小紙記者の電話取材の様子を伝え聞き、「『貴方(あんた)の処は(我々について)正しい報道をしない。だから断る』と御決済」したのがその理由だ。「人の心の奥底までお見通しになられる御力」で記者を看破したという。
 その「御力」が金儲けでなく、人助けに使われることを祈りたい。


→BACK   →TOP