くすのき:誤解を生まぬ情報を /佐賀
毎日新聞 2012年07月06日 地方版
8人が死亡した京都・祇園の事故を巡り、フジテレビ系列が放送した特集番組に、高次脳機能障害の家族や支援者らが異論の声を上げている。当初、原因として「てんかん」が疑われていたが、今度は同障害と関連づける伝え方をしたからだ。
番組を見た。「断定」はしていなかったが、運転手に疑われる症状として同障害を例示。「反社会的な行動を取ることもある」などと紹介していた。
しかし、そもそも、この運転手は同障害の診断を受けていない。過去の事故歴や「感情の抑えがきかないことがあった」という証言など断片情報を集めただけ。番組を見た別の専門家は「関係があるかどうか分からないのに、結びつけるのはおかしい」と批判する。
当事者や支援者らは誤解と偏見が広がるのを恐れる。放送後、同障害の家族会「ぷらむ佐賀」には「危ないという先入観を植え付ける」「社会復帰を遮られる」と怒りの声が寄せられている。同障害は外見からは分かりにくく、無理解に囲まれている。だからこそ、伝え手は正確な情報を届ける姿勢が欠かせない。