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【大相撲】

翔天狼が3連勝

2012年7月11日 紙面から

豊真将(右)を押し出しで破る翔天狼=愛知県体育館で

写真

名古屋場所<3日目>

(10日・愛知県体育館)

 平幕の翔天狼(30)=藤島=が豊真将を押し出しに破って3連勝。先場所を制した義兄の旭天鵬に続く快進撃で、名古屋場所を盛り上げている。横綱白鵬は先場所初日に敗れた安美錦にてこずりながらはたき込み、初日から3連勝とした。大関陣は琴奨菊と、鶴竜が初黒星を喫した。稀勢の里は旭天鵬を寄り切り、関脇栃煌山を下手投げで退けた日馬富士、隠岐の海を上手投げで下した把瑠都とともに3戦全勝。琴欧洲は2勝目を挙げた。

 夏場所で史上最年長の初優勝を飾ったお兄ちゃんは3連敗だが、弟の翔天狼が3連勝と兄の分まで奮闘している。

 豊真将の左腕を抱えて小手に振り、そのまま押し出し。「何とか勝ったんでよかった。まあ、これからなんで」と3連勝にも控えめな笑みを浮かべるが、義理の兄である旭天鵬と同じ「40歳まで現役」を目標に掲げている。

 昨年の名古屋場所後に旭天鵬の妹・ヒシゲスレンさん(33)と結婚。旭天鵬が義兄となった。結婚を機に日暮里駅から徒歩5分の場所に、5000万円近い3LDKの一戸建ても購入した。

 「40歳まで現役で取りたい」というのはそのためでもある。「家のローンもありますから。頑張らないと。家族のためです」。

 先月9日に披露宴を開いたばかりで、東京の自宅で活躍を見守るヒシゲスレンさんとは「1日に3回は電話します。何より声が聞きたいです」とのろける。

 また、将来は義兄と同じように日本国籍を取得して、相撲協会に残る希望も持っている。「まだ申請はしてないけど、考えています。両親も反対してませんから」と夢を描いている。

 実は夏場所12日目の時天空戦で負けたとき、臀部(でんぶ)を強打。尾骨骨折と診断されていたことを明かした。「今でも5分座っているとしびれる」と話し、場所前は十分な稽古はできなかった。

 37歳8カ月で初優勝した義兄は「オレを見て感じて、何かをやれると思ってくれたらいい」とメッセージを送ったが、間近で見てきた翔天狼は、その何かを感じているはずだ。「兄弟V」は初代若乃花と貴ノ花、3代目若乃花と貴乃花しか例がない。翔天狼は「まず三役に上がりたいです」と優勝の二文字は口にしないが、尊敬する義兄と、愛する奥さん。家族への思いで、けがを乗り切り白星を重ねていく。

 (岸本隆)

 

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