ミット打ちで汗を流す亀田和毅(左)=6月30日、東京都葛飾区の亀田ジムで
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亀田家が本紙1面で動いた! WBC世界バンタム級シルバー王者の末弟・亀田和毅(20)のWBC世界スーパーフライ級王者佐藤洋太(28)=協栄=への挑戦実現に向け、亀田家が早速行動を起こした。「亀田家逃げるなよ」の大見出しが躍った10日付本紙を見た亀田3兄弟の父・史郎氏(47)サイドは、すぐに協栄側に対戦への“逆オファー”を突きつけた。協栄・金平桂一郎会長に「オファーが来るぞ。逃げるなよ!」と挑発された和毅も「俺は逃げん!」と激メッセージ。ドリームマッチは一気に実現に動き出した。
朝10時半。本紙格闘技評論家・山崎照朝氏の携帯電話が、突然鳴った。
「山崎さん、亀田やけど…。新聞見たけど、金平が一方的に言うてるけど、和毅は何も言ってへんやん。金平も盛り上げようとしてるんだろうけど、和毅の言い分も書いてや。『逃げはせん』と言うてるんで」
野太い声の主は亀田家の父・史郎氏であった。協栄・金平会長が「オファー来るぞ。逃げるなよ」と亀田家を挑発した10日付本紙1面を読んで、即反応したのであった。
電光石火の早業。本紙を事実上のオファーと受け止め、山崎氏への直電と前後して、協栄側の機先を制するように“カウンターオファー”も突きつけた。一連の動きは本気度を推し量るに十分過ぎる行動だ。
亀田側の条件は明らかにされていないが、メキシコ開催は強い希望のようだ。亀田ジム関係者は「和毅はアマ時代からメキシコに渡って、WBC(メキシコが本部)のスライマン会長にお世話になっている。『プロになったら、ぜひ、オレの目の前でベルトを取ってくれ』と言われ、和毅もその約束を果たしたいと思っている。それに、和毅はメキシコの有力プロモーターと契約している。そのプロモーターも“和毅の世界戦をメキシコで”と望んでいる」と解説した。
メキシコは国民的英雄のWBO世界バンタム級王者ホルヘ・アルセ、WBC世界スーパーバンタム級アブネル・マレスら多くの同国出身世界王者がいて、ボクシングバブルで沸いている。毎週、ボクシングの試合がテレビ放映され、スペイン語がペラペラの和毅は「メヒカニート(メキシコの少年)」と呼ばれて、新聞やテレビのバラエティー番組にも出演する抜群の人気者ぶり。仮にメキシコで日本人対決となっても「集客に問題はない。ビジネスになる。現実味のある話」(亀田ジム関係者)というわけだ。標高2000メートル超のメキシコ市が開催地となれば、高地慣れしている和毅に地の利がある。そんな思惑もあるのだろう。
金平会長に紙面を通じて挑発された和毅は「新聞を読んだけど、佐藤は何も言ってへん。ホントにやる気あるんか!? 金平会長は“逃げるな”と言ってるけど、俺は金平会長と戦うわけじゃない。金平会長は亀田ジムと交渉するだけやろ。佐藤もやりたいなら、やりたいとはっきり言え! 俺は逃げんゾ」と“上から目線”の対戦決意表明。和毅−洋太は実現へ、大きく動きだした。(竹下陽二)
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