名古屋グランパスのMF田口泰士(21)が10日、憧れの先輩との対戦を心待ちにした。14日にホーム豊田スタジアムに首位・仙台を迎えるが、仙台の躍進をけん引するFW赤嶺真吾(28)は田口にとって沖縄県那覇市立小禄中学校の先輩だ。J1では数少ない沖縄県出身の選手同士で交流もあるが、試合となれば目の前の敵。2日間のオフが明けたこの日、仙台戦に向け「個人としてより、チームが勝てればいい」と勝利を誓った。
優勝戦線への生き残りをかけ、勝ち点差「7」で追う首位の仙台を迎え撃つ豊スタ決戦。田口にとっては同郷の先輩・赤嶺との再戦だ。「僕は昔から知ってました。沖縄出身でJリーグで活躍しているので、憧れはありましたね」。そう尊敬する赤嶺は、小禄中から高校で沖縄を出てサッカー留学するという道の先駆者。「家も近いですよ。それに真吾さんのいとこが中学のサッカー部の一つ下にいました」と、会えば親しく話す間柄だ。
赤嶺は昨季14得点、今季も6得点を挙げる仙台のエース。田口にとって初対戦となった5月19日の第12節では、前半終了間際のDF増川のオウンゴールを“アシスト”された。これで0−2とリードされたストイコビッチ監督は、前半のみで田口を交代。結果的にスコアは0−4と、今季最大の屈辱を味わった。
ただ、田口には「そんなに悪くなかったし、点差ほどの差はない」と完敗のイメージはない。むしろ「戦術的な交代だったし、自分としてはもっとやりたかった」と、不完全燃焼で終わったことに悔いが残った。次節はMFダニルソンの出場停止により、再び出番が回ってくる可能性が高い。それでも「個人としてより、チームが勝てればいいです」と控えめ。頭にあるのは、前回の借りを返すことだ。
沖縄出身のJリーガーでは元日本代表のFW我那覇(現FC琉球)に次ぐ実績を残している赤嶺。一方、田口や横浜MのDF比嘉、昨季までグランパスに所属したFW九場(現愛媛)らは、流経大柏高にサッカー留学して実力をつけた新世代だ。田口が赤嶺に憧れたように、プロをめざして沖縄を出る後輩たちのためにも、生半可なプレーは見せられない。 (宮崎厚志)
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