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警告
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕 が含まれています。
苦手な方はご注意ください。
好きすぎて
作者:秋月 弥生
草間野分はバイトが終わると、腕時計で時間を確認した。
今日は家庭教師を受ける日なのだが、家庭教師・上條弘樹の都合で夕方になった。
家庭教師の時間までだいぶある。特に寄りたい所がない野分は、少し早いけれど
上條の家に向かうことにした。

さすがにこの時間では居ないかな。と思いながらも、呼び鈴を鳴らす。
何回か押しても上條は出てこない。
帰ってくるまで、玄関前で待たせて貰うことにした。
ドアを背に座り込むと、カバンから愛読書である、宇佐見秋彦の小説を出して読む。
暫くして、誰かが近づいてくる足音に顔を上げた。
野分はその人の顔を見るなり、目を丸くする。
何とその人は、今まさに読んでいる本の作者、宇佐見秋彦だったのだ。
野分は急いで立つと、宇佐見に声を掛けた。
「宇佐見先生ですよね!俺、宇佐見先生の大ファンです」
「どうも」
野分は宇佐見に握手を求めて右手を出すが、宇佐見は手を出す前に野分に問いかけた。
「お前、弘樹の知り合いか?」
「俺、草間野分って言います。ヒロさんに家庭教師をしてもらってます」
「アイツ家庭教師やってるのか…」
「はい。でもまだ帰ってないようなので、ここで待たせてもらってます」
「そうか…」
「あ!失礼ですが、宇佐見さんはヒロさんとは、どういったご関係ですか?」
「幼馴染みだ」
「そうなんですか!ヒロさん凄いです」
この人懐っこいヤツから逃げよう。と宇佐見は言葉を切り出す。
「居ないなら、また出直すか。それじゃ」
「あ!宇佐見さん!」
宇佐見は踵を返すと、野分に呼び止められて振り向く。
「なんだ」
「これからお仕事ですか?」
「いや、仕事は終わった」
「では、少し俺に付き合ってもらえませんか?」
「付き合う?」
「宇佐見さんに、話しがあります」
「話しなら、ここですればいいだろ」
「ここではなんですので、場所を変えましょう」
宇佐見は不審に思ったが、話が気になって承諾した。
「あぁ、わかった」
「ではいきましょうか」
そう云った野分の目は鋭く、何処か悪びれた感じだった。

宇佐見は野分について行く。
最寄の駅まで来ても、何も言わない野分に宇佐見は苛立つ。
「何処まで行くんだ」
「ついてくればわかります。あ、宇佐見さんは電車嫌いですよね。タクシーで
行きましょう」
「おい、まて!離せ!」
野分は瞬間に宇佐見の手を掴み、タクシー乗り場まで行く。
タクシーに宇佐見を乗せると、野分は運転手に目的地を告げた。
野分は苛立っている宇佐見を気遣って云う。
「すみません。すぐに着きます」
「いったい、このタクシーは何処に向かってる」
「それは着くまで内緒です」
宇佐見はそう云う野分を睨みつける。
「あ、着きました。ここです」
野分は1件のアパートを指差すと、運賃を支払って降りる。宇佐見も野分に続いて
タクシーを降りた。

「ここは何処だ」
「俺の家です。中へどうぞ」
家の鍵を開けて宇佐見を中へ招き入れる。
宇佐見は部屋に入るなり、野分に手を掴まれて布団に押し倒される。
瞬間、宇佐見は逃げようとしたが、野分に押さえつけられ身動きが取れない。
「何をする!」
「俺は宇佐見さんが好きです。俺と付き合ってください」
「はぁ?なぜ俺がお前と付き合わねばならんのだ」
「駄目ですか?」
「当たり前だ」
「では、付き合わなくてもいいので、宇佐見さんを抱きたいです」
「抱きたい?お前なに云って…んっ……」
野分は宇佐見の言葉を唇で遮った。
すると宇佐見のズボンのファスナーを下ろし、宇佐見のモノを握っては扱き始めた。
「やめ…ろ…」
「宇佐見さんの熱いです」
何度も扱かれた宇佐見のモノは、すぐに形を変えた。
野分は付け根から先端に向かって舌を這わせる。
宇佐見は野分の肩を掴んで必死に抵抗する。
「くさ…ま…やめ…ろ…」
「嫌です。俺は宇佐見さんを気持ちよくさせたいんです」
「なぜ…そこまで…する…」
「俺、云いましたよね。宇佐見さんが好きだからです」
野分は上手く舌を使って宇佐見を絶頂に導く。
「くさま…くち…はな…せ…」
「では全て受け止めます。俺の口に出してかまいません」
「はやく…はなせ…ぁっ……」
宇佐見は爆ぜる。野分は宇佐見の白濁を全て飲み込む。
「宇佐見さんの美味しかったです。ごちそうさまでした」
「おまえな…」
さらっと云った野分を宇佐見は睨みつける。
「宇佐見さん。俺の気持ち伝わりましたか?」
「こんなことされて、伝わるわけないだろ」
「やっぱり、しないと伝わらないのでしょうか…」
「何をしても無駄だ。帰る」
「駄目です。今夜は帰らせません」
野分は起き上がる宇佐見を押さえつけ、宇佐見の窄まりに指を入れては内壁を掻き回す。
その行為に宇佐見は顔を歪ませる。
「そんな顔のあなたも素敵です。もっとその顔、俺に見せてください」
そう云うと指を引き抜き、野分は自身を宇佐見の中へ進入させた。
瞬間、宇佐見は痛みに耐えられず声を上げる。
「宇佐見さんの喘ぐ声、聞きたいです」
「おまえは…ちゅうもんが…おお…すぎだ…」
「それは、宇佐見さんが好きだからです」
何度も強く突き、宇佐見を追い込む。その度に宇佐見は声を上げた。
「んっ…はぁ、ぁっ…ぁっ…ぁ…」
「もっと聞かせてください」
野分は宇佐見の腰を掴み、更に奥を突く。
激しい律動を繰り返され、宇佐見の限界も近かった。
「く…さま…はな…れろ…」
「もう限界ですね。では一緒にいきましょう」
「はぁ、ぁっ、の…のわ…き…あっ、ぁっ……」
「うさみ…さん……」
二人はほぼ同時に爆ぜた。
野分は宇佐見の中に全て出すと、息を整えている宇佐見の頭を撫でて云う。
「宇佐見さんの中は、熱くて気持ちよかったです」
「そうか…」
「宇佐見さん。俺のはどうでした?」
「どうとも思わん…」
「そうですか…でも、俺の思いは伝わりましたよね?」
「伝わってない」
落ち込む野分に宇佐見はきつい言葉を放つ。
「このことは黙っておいてやる。だから今後一切、俺に近づくな。わかったな!」
「イヤです!宇佐見さん。俺を捨てないでください!」
野分は強い眼差しで宇佐見を見つめては云い返す。
「捨てるもなにも、俺達は付き合ってもないだろ」
「これから付き合えば問題ないです!」
「草間、何度云ったらわかる。俺はお前とは…」
「宇佐見さん。イク寸前で俺の名前呼んでくれました。それって俺とやって俺のことが
好きになったからですよね!」
宇佐見は、コイツに何を云っても無駄だ。と呆れて溜息を吐く。
「はぁ~お前ってヤツは、どうしようもないヤツだな」
「それって、付き合ってくれるってことですよね!」
「どうしてそうなる」
目を輝かせて見つめてくる野分に、宇佐見は根気負けする。
「ならば、俺がお前の家庭教師になる。というのはどうだ」
「え!いいんですか!」
「但し、罰として家事全般をやってもらう」
「はい!宇佐見さんのために頑張ります!」
野分は宇佐見に抱きついて喜びを表現した。
「あ!」
「どうした」
「ヒロさんの家庭教師どうしましょうか…」
「弘樹はこれから忙しくなる。断って問題ないだろ」
「そうですかね…」
「心配するな。俺から云っておく」
「ありがとうございます」
こうして、野分は宇佐見の家庭教師を受けることになった。

翌日、宇佐見は上條の家に行く。
呼び鈴を荒々しく何度も押すと、上條はドアを開けた。
「あ、秋彦!?なにしにきやがった」
「お前に話しがある」
「ん?はなし?立ち話もなんだ。中に入れ」
「いや、ここでいい」
「で、話しってなんだ」
「お前、家庭教師してるそうだな」
「なんで秋彦が知ってるんだ!誰から聞いた」
「草間ってヤツから聞いた」
上條は野分の名前を聞いて目を丸くする。
「野分!?秋彦アイツと知り合いだったのか?」
「知り合い…そうだな。危ない関係とでも言っておくか」
「危ない関係!?それ、どんな関係だ!」
「聞いたら弘樹は失神するだろうね」
上條は宇佐見に笑われてムキになる。
「野分は俺の生徒だ。教えろ」
「だが、草間はもう弘樹の生徒じゃない」
「はぁ?」
「昨日、俺の生徒になった」
「秋彦の生徒?」
「だから草間はもうここへは来ない。話しは以上。それじゃ」
宇佐見は云うだけ云うと踵を返す。背中で上條が叫ぶ。
「おい!秋彦!お前まさかカテキョウ始めたのか?」
「ま、そういうこと」
宇佐見は上條の言葉を背中で聞き、振り返らず去って行った。
上條は、あの人を寄せ付けない秋彦がカテキョウ?。と不思議に思ったが、
俺の知らないうちに秋彦は変った。と悲しい気持ちになる。

宇佐見が家庭教師を始めてから一週間が経過した。
野分はバイトが終わると、真っ先に宇佐見のマンションに行く。来ては手際よく家事を
こなしていく。
「あ、宇佐見さん。お疲れ様です。今コーヒー淹れますね」
「どうも」
マグカップにコーヒーを淹れ、リビングのローテーブルに置く。
宇佐見はコーヒーを一口飲むと、野分の視線に気がつく。
「なんだ?」
「宇佐見さんは、コーヒーを飲む仕草もカッコイイです」
「またそれか…」
何度聞いたであろうその言葉に、宇佐見は呆れて溜息を吐く。
「で、お前は今日もアレをするのか?」
「はい!します!これは家庭教師をしてもらってるお礼なので」
「どうも、まだアレに慣れん…」
「そうですか…俺の努力がまだ足りないんでしょうか…」
落ち込む野分を見て、宇佐見は野分の頭を撫で回す。
「そう、落ち込むな。お前はお前なりに頑張ってる」
「そうですか!嬉しいです。俺、宇佐見さんのためにもっと頑張ります!」
「あれ以上、頑張らんでいい」
宇佐見はマグカップをローテーブルに置くと、ソファへ押し倒される。
そして野分は宇佐見の耳元で「宇佐見さんの声、聞きたいです」と囁いた。
「そんなに聞きたいのか?」
「はい。俺、宇佐見さんの喘ぐ声好きです」
「どうせ、お前が好きなのは、声だけじゃないだろ」
「はい!俺は宇佐見さんの全てが好きです」
宇佐見が苦笑すると、野分はキスをして云う。
「宇佐見さん、そろそろ俺と付き合ってくれませんか?」
「考えておく」
「そうですか…」
「ま、あとは今後のお前の頑張り次第だな」
「それって、やっぱり俺のアレが気に入ってるんですね!」
「なぜそうなる」
「じゃぁ早速、試しましょう」
「おい!まて!ぁっ……」
宇佐見のモノを咥えた野分は先端を舐め回す。
こうされるのも何度目か、宇佐見は野分の愛撫に感じていた。
それは以前と違い、こうしてくれる野分を愛おしいとさえ思えた。
「宇佐見さん。気持ちいいですか?」
「あ、あぁ…」
「ではもっと気持ちよくさせてあげます」
「やめ…ろ…今日は…もう…いい…」
「駄目です。俺が納得できません」

宇佐見は野分にされるがまま流されていく。
「宇佐見さん…すごく気持ちいいです。あ、そんなに締め付けないでください」
「そんなに…はやく…うご…くな…」
「宇佐見さん。すみません。俺、もう我慢できそうにないです」
「の…のわ…き…」
「うさみ…さん…愛してます…」
「はぁ、ぁっ、ぁっ、はぁ、ぁっ…ぁっ……」

宇佐見は知らず知らずのうちに、野分を好きになっていた。
宇佐見が野分に「好きだ」と告げたのは、この夜のことだった。
まず始めに。純情エゴイスト(野分×弘樹)が好きな方は読んでいらっしゃらないと思いますが、興味本位で読んでしまった方へ。こんな話しを書いてしまいすみません。

攻め同士のHシーンがどうしても書きたくて、好きな攻めキャラ野分と秋彦をくっ付けました。
本来のカップリングが違うため、書いたはいいけど載せるか悩みましたが、私が思ってることを皆様にも読んで頂きたく、今回投稿させて頂きました。
少しでも萌えて頂けたら幸いです。
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