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地方
竹生島文書、国の重文に 文化審議会文科相に答申 滋賀
文化審議会が平野博文文部科学相に国の重要文化財に登録するよう答申した中に、県内からは、竹生(ちくぶ)島(長浜市)の宝厳寺に伝わる312通に及ぶ古文書で美術工芸品でもある「竹生島文書」が選ばれた。また、国の登録有形文化財の登録対象には、県内からは大津市の木村家住宅(同市長等)など計13件が選ばれた。
今回の竹生島文書が登録されると、県内の美術工芸品部門の重要文化財は629件、県内の登録有形文化財は今回の答申が登録されると315件になる。
【重文】
琵琶湖の竹生島は古代から信仰の島としてあがめられ、神亀元(724)年に水の神「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)」がまつられ、天平10(738)年には僧の行基が四天王像を安置したとされる。平安時代以降は比叡山延暦寺の支配を受けて天台宗、江戸時代以降は真言宗の島として知られる。
宝厳寺に伝わる竹生島文書は鎌倉時代7通、室町時代173通、安土桃山時代88通、江戸時代41通、明治時代3通の計312通で構成され、宗教や所領関係など内容は多岐にわたっている。
宝厳寺の境内などの無断侵入や乱暴行為を禁止する文書「禁制(きんぜい)」では、室町幕府初代将軍、足利尊氏の弟、足利直義(ただよし)や、長浜城主時代の羽柴(豊臣)秀吉が出した文書もあり、竹生島が権力者から保護されていたことがうかがえる。
県教委文化財保護課では「中世における信仰の実態を伝えるとともに、北近江の政治史を物語る資料として価値が高い」と話している。
有形文化財にも13件
【登録有形文化財】
答申で県内は、木村家のほか、中野家住宅(同市中央)の母屋や土蔵、日本基督教団近江金田教会礼拝堂(近江八幡市鷹飼町)などが入った。
木村家は江戸時代後期から材木商を営んでおり、住宅は明治時代前期の建築。建築当時の意匠が残されている。母屋と土蔵の2件の登録が答申された。
中野家は明治15年から昭和14年まで米問屋を営んでおり、住宅は明治時代初期の建築。本瓦葺きの土蔵なども備え、明治期の大津の町家の雰囲気をよく伝えている。母屋2件と土蔵、離れの計4件の登録が答申された。
日本基督教団近江金田教会礼拝堂は昭和25年の建築で、全国各地で西洋建築を数多く手がけたヴォーリズ建築事務所が設計。玄関には半円状のアーチを備え、正面左側には鐘塔が設けられている。外観の保存状態がよく、内装や説教台もほぼ建築当時のまま。
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