韓国語を学ぶ日本人社長
au大久保ショップの母体であるYSCの小泉稔社長にお会いして・・・
現代社会で欠かせない携帯電話。昨年の日本の携帯使用人口は6678万9000人で、日本総人口の二人中一人が持っている。韓国の場合、携帯電話の普及台数はアメリカ、日本、中国、イタリアに続いて世界第5位を誇っていて、全人口の3人中一人が携帯を持っているそうだ。韓国人留学生の場合、学校やアルバイトで寮や自分の住んでいるアパートにいる時間が少ないので、一般電話より携帯を好む傾向がある。これは韓国人留学生のみならず他の国から来た留学生も同じだろう。留学生は日本にある様々な携帯会社の中で得にauを選んでいるそうだ。auには学割があるからだそうだ。今回のインタビューでは韓国人留学生に馴染みのあるau大久保ショップの母体であるYSCの小泉稔社長にお会いしてきた。
Q
: こんにちは。お忙しいのに、このようにお時間を割いてくださってありがとうございます。YSC本社は横浜という良い場所にあるんですね。さっそくですが、YSCとはどんな会社ですか?主にどんな事業をなさっているんですか?
s : 一言で通信事業の会社、特に携帯電話会社と言えます。日本では1988年から携帯が発売されはじめましたが、当社はその1年後の1989年に創立されました。当時はたった3人の社員で始めましたが、創立14周年の今年、YSC全体のグループ社員数は200人を越えました。三井物産やトヨタ自動車のような商社とは違う独立した代理店としてうちのYSCが関東地域auショップ4月の新規販売台数実績が約一万台で1位になりました。現在au専門ショップを24店舗、そして総合ショップも持っており、携帯の直接販売や卸しもしています。
Q : 噂によると、小泉社長は韓国に大変興味深いと伺いましたが、いつから韓国に興味を持つようになられたんですか?
s : え〜と、15年くらい前からですかね。元々は私の兄が韓国に大変興味を持っていたんです。15年前、当社の社員旅行で韓国に行くことになって、兄から韓国語の単語を20個ほど教えてもらって旅行に行きましたが、私が韓国語で一言、二言言うと韓国人の反応がとても良かったのです。お陰で、旅行が倍楽しくなりました。
Q : 大分前から韓国に興味をお持ちだったんですね。では、韓国語の勉強もなさいましたか?
s : 初めは韓国語の読みも書きもできなくて、発音をカタカナで書いて丸ごと暗記したけれど、限界がありました。韓国を訪ねて食堂にごはんを食べに行こうとしても看板を読めないんですよ。で、「よし!三角、四角、丸を読んでやる」と思って韓国語の勉強を始めました。主にNHKの韓国語ラジオ講座で勉強しました。そして、後はアン・ヨンイルという韓国人留学生から一月に3、4回個人授業を受けました。アン・ヨンイルさんとは縁があり、今はYSC東京支社で働いてもらっています。私は韓国語の勉強以外に韓国に関した本や「太白山脈」のような韓国小説などを約200冊読みましたし、韓国の歌も100曲は歌えます。歌に出る単語を覚えるのもかなり勉強になりますよ。あ、韓国の若い人達は古い歌もよく歌いますが、それに対して日本の若者はほとんど歌わないですね。古い歌を大切にする韓国の若者は素晴らしいと思います。
Q : 200冊も!本当に凄いですね。本をあまり読まない韓国人よりも読書量が多そうですね。(笑う)小泉社長は韓国人留学生から韓国語を教わりましたが、留学生もしくは外国人と習慣や文化の違いで起きたエピソードはございますか?
s : これというエピソードはありませんね。私の兄は留学生との交流が多かったのですが、私はあまりありませんでした。今もそうです。韓国人の気質とかはよく分かりませんが、私と交流のあった、さっき言ったアン・ヨンイルさんを見ると韓国の若者達は30年ほど前の日本人の良い気質と元々韓国の若者が持っている男らしさ、強さ、礼儀を兼ね備えてると思います。
Q : 小泉社長が韓国に関心を持つようになられたのも社長のお兄様の影響が大きかったそうですが、社長のお兄様についてもうちょっと詳しく聞かせていただけますか?
s : はい。兄は最初、韓国人留学生から韓国語を学びました。随分真面目で、出勤の時も韓国語のテープを聞きながら本を読んだりしてましたからね。周2回の授業もきちんと受けて、宿題も欠かさずしてました。とりわけ、留学生から教えてもらったのがきっかけとなって、その後留学生と深く交流するようになりました。留学生と文通をしながら両国を行き来したり、留学生の保証人になったり、ある時には大学の推薦書まで書いてましたから。兄の夢は還暦になったら仕事を辞めて、韓国へ語学研修に行くことでしたが、還暦を迎える前に亡くなりました。私は今も時々、兄が残して行った留学生との手紙や勉強の本などを取り出して見ています。私に韓国のことだけではなく、沢山のことを教えてくれた大事な人です。
Q : そうですね。話は変わりますが、去年オープンしたau大久保ショップには韓国人や中国人の外国人のスタッフがいて、留学生などの外国人が安心して利用できると好評ですが、大久保にオープンしたのは偶然ですか、それとも韓国人など外国人が多く住んでるということを考慮なさったんですか?
h : au大久保ショップは「外国人のために、外国人スタッフで、外国人だけで、外国人がよく集る所で」という趣旨でKDDIの要請を受けて作りました。特に新大久保はリトルコリアと言えるほど韓国人が多いではありませんか。私は下手だけど韓国語もできるし、韓国と関連があるというのを知って、白羽の矢を立てられたんでしょう。(笑)au大久保ショップにいらした方はご存知だと思いますが、母国語で詳しく、そして深く説明を受けられるので多くの外国人から喜ばれているようで私も嬉しいです。お陰さまでau大久保ショップが関東地域340カ所のauショップの中で1位という栄光を手にしました。
Q : 特に、auには学割があって多くの留学生が利用していますが、最近一部の留学生の中で料金を全額支払わないで帰国してし まうなど、携帯のマナーを守らない留学生がいると伺いましたが本当ですか?
s : 勿論、きちんと携帯を使っている留学生も多いのですが、一部の留学生にそういったケースが見られます。中国人留学生は韓国人留学生に対して日本滞在記間が長く、料金の未納があればブラックリストに載せられて改めて携帯を買うのが難しくなりますよね。日本でだった一つの大切な連絡手段を失うようになりますから、中国人留学生の場合はきちんと払います。それに比べて韓国人留学生は短期語学研修も多いし、滞在記間も短い上に留学途中で挫折して帰る学生もいるようです。もう2度と来ないだろうという甘い考えで、奇麗に片づけをしないようです。が、今回のワールドカップなどで、韓国に対する日本のイメージが随分よくなったので、このようないいイメージを保つためにも「立つ鳥跡を濁さず」という諺を覚えていてほしいですね。
Q : 小泉社長の今後の計画についてお伺いしたいのですが。
s : au大久保ショップは外国人、特に韓国人のためのお店ですが、今度はできることなら池袋に中国人留学生のためのお店を作りたいです。また、「月刊留学生」を発行している株式会社大悟がソウルの江南にオープンした日本留学・進学資料館で、今au大久保ショップで行っている携帯の受付ができるように事業を進めています。そして、観光で日本に来る韓国人のため仁川空港に日本で使用できる携帯を配置してレンタルするという、DACOMと当社の共同事業を今より10倍以上伸ばしたいです。その後、韓国の企業と提携して韓国のコンテンツを日本に持ってきたいです。
Q : 最後に留学生に一言お願い致します。
s : 誠実に、そして目的を持って進んでいけばチャンスはあります。日本で日本の良さを学んでほしいです。「始めは全体の半分(始まりがよければ半分成ったも同様)」(始めが肝心と同じ意)という韓国の諺がありますよね。自ら動かないとダメです。「道のりは長く遠いけど、頑張りましょう!」
小泉社長は、60歳を迎えたら韓国へ語学研修行に行こうとしていたお兄様の夢を自分が叶いたいという。社長にお会いしてみるとYSCのお仕事がこんなに忙しいのに、果たして韓国へ留学できるのだろうかとちょっと心配したけれど、数年後韓国のどこかで偶然出会えることを願って・・・
|