オーストラリア 2012年7月10日(火曜日)
豪新型潜水艦、日本と協力か:三菱重・川重のそうりゅう型導入[経済]
豪海軍が進めているコリンズ級潜水艦に代わる次世代潜水艦の導入計画が、日本との協力により実現する可能性が出てきた。日本の海上自衛隊が配備している「そうりゅう型潜水艦」のクラスや性能などについて、計画を進めている関係者が強い関心を示していることが背景にある。9日付シドニー・モーニング・ヘラルド(SMH)は、導入計画の代表を務めるモフィット退役海軍大将が先月、豪州を訪問した海上自衛隊トップの杉本正彦・海上幕僚長と、そうりゅう型潜水艦に搭載されている技術について意見交換を行ったと報じている。
海上自衛隊の発表によると、杉本海上幕僚長は先月6〜13日に豪州とニュージーランド(NZ)を訪問し、両国の海軍高官などとアジア太平洋地域情勢、海洋安全保障に関する取り組み、今後の防衛協力などについて意見交換した。モフィット氏は先に、豪政府の関連機関である国防科学技術機構(DSTO)のゼリンスキー代表と日本を訪問し、そうりゅう型潜水艦を視察している。
モフィット氏はSMHに、「性能面で、海上自衛隊が配備している潜水艦に強い関心がある。日本との協力による新型潜水艦の導入はオプションの一つだ」と説明。2億1,400万豪ドル(約174億円)を投じて、来年末までに導入候補の評価と絞り込みを進めると話した。
豪連邦政府は2009年に発表した国防白書で、中国の軍事的脅威に対応して、海軍が配備しているコリンズ級を上回る水中排水量が4,000トンを超える大型潜水艦12隻を20年代の終わりまでに導入する必要があると指摘。連邦政府高官は今年初め、スペインのナバンディア、仏DCNS、独HDWの欧州3社と潜水艦調達を視野に接触を行ったほか、在豪米国大使館のブライヒ大使は2月末、米国政府が豪連邦政府に原子力潜水艦をリースまたは売却する意向を示している。導入候補としては、連邦政府がそうりゅう型潜水艦を検討しているとたびたび報じられている。
そうりゅう型潜水艦は水中排水量が約4,200トン(基準排水量は2,950トン)で、全長は84メートル、幅は9.1メートル。水中速力は20ノットで、水中発射管を装備している。海上自衛隊は2009年以降4隻を配備しており、川崎重工業と三菱重工業が2隻ずつ建造を手掛けている。豪連邦政府は国内での建造により次世代潜水艦を導入・配備する考えで、アデレードの造船会社ASCが請け負う可能性がある。
一方、日本を訪れていた豪州のカー外相は9日、玄葉外相と会談し、2国間安全保障分野に関する協力関係を確認したもようだ。