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更新日:2012年3月21日
人口増加率1.1%、GDP成長率5.6%と堅調に経済や流通が発展を続けるベトナムにおける日本型のコンビニエンスストア出店の成功の可能性について、流通科学大学中内ゼミの学生22人が調査した「ベトナム流通調査報告書」が完成。大学役職者や流通研究者、外部企業の経営者の皆さまに向けた報告会が24日、学内で開かれました。
日本におけるコンビニエンスストアの出店が飽和状態となる中、売り場面積30坪前後、24時間営業、約3000品目の商品群などの特徴を持つ日本型のコンビニエンスストアがベトナムでも成功するのか。
現地の消費者、流通業者、メーカーの協力を得て、日本の消費動向との違いに焦点をあて、成功の可能性に迫ります。今年10月には日本のコンビニエンスストア「ファミリーマート」が出店するなど、日本型ビジネスモデルの動向が注目されています。
企画したのは、起業家の育成に取り組む中内ゼミ「創志塾」。学生自らがベトナム流通業者のサイゴン・コープ社や、現地日本企業のエースコック社、キリンビバレッジ社に協力を呼びかけて実現しました。
ベトナム流通調査員として実際に現地を訪問した学生14人は、ベトナムホーチミン市中心部最大規模のベンタイン市場やドンズー日本語学校、スーパーマーケット等を訪問。約1週間にわたる滞在で実施した日本語学校生徒へのアンケートでは、日本で主力販売される弁当やホットスナック、カップ麺への興味、適正価格のほか、ATMや郵便配達サービス、コピー機、公共料金支払い受付などサービス面から見た反応を調査。「日本型コンビニエンスストアがベトナム出店しても成功する」という事前に立てた仮説に対しては、日本と異なり夜に勉強する学生や乳児を持つ母親をメインターゲットにし、健康食品やベビー関連用品等の強化を条件に、成功の可能性が高いと結論付けるなど、3つの仮説に対する検証を交えて報告書をまとめました。現地調査は今年8月22日~28日に行われ、調査に関わる全ての契約は創志塾の学生が分担して行いました。
ベトナムでの実地調査に参加した藤澤亜紀良さんと佐野優子さん、樋口怜早さんは「日本ではごく普通に使用されている弁当容器の素材を説明するにしても、文化の異なるベトナムでは認識がまるで違っていて、素材の説明からしなければならないなど、ギャップを感じることが多々ありました。日本で支持される日本型のコンビニが当たり前ではなく、文化に応じた展開が大切だと感じました」と感想を話しています。
熱のこもったプレゼンテーション
(左から)樋口さん・藤澤さん・佐野さん
石井淳蔵学長は「今回の調査報告は、比較的上位所得者であるハイエンドゾーンの消費者をターゲットとした調査報告であるように感じた。コンビニ以外の業態においても、日本の企業の多くが上位所得者にアプローチして撤退した歴史をみると、欧米企業のようにボリュームゾーンを突く分析があってもよいかもしれません。今回の調査は立派だが、創志塾の後輩に課題点をきちんと伝え、より質の高い調査を継続してほしい」と話しています。