【レポート】

セーラームーン20周年「半年の打ち切りが回避できたのは"ムーンスティック"のバカ売れから」-そして新作アニメで復活へ

    山田井ユウキ  [2012/07/08]

    7月6日、六本木・ニコファーレにて「美少女戦士セーラームーン」の20周年を記念したトークイベントが開催され、月野うさぎ役の三石琴乃、地場衛/タキシード仮面役の古谷徹、連載当時、原作者・武内直子の担当編集を務めた講談社の小佐野氏が登場した。

    月野うさぎ役の三石琴乃と地場衛/タキシード仮面役の古谷徹

    また、フランス・パリで開催中の「JAPAN Expo」に出演しているアイドルグループ「ももいろクローバーZ」が生中継で特別出演し、セーラームーンのコスプレでライブを披露した他、「美少女戦士セーラームーン」の新シリーズが2013年夏公開を目標に製作中であることを発表した。

    ニコファーレの壁面LEDいっぱいに流れたセーラームーンのオープニングアニメ。これを見て興奮しない人なんているの?

    MCは司会力とサブカル関係の知識に定評があるニッポン放送アナウンサーの吉田尚記。なんと自宅から20年前に購入した単行本を携えて登場

    トークはまず「セーラームーンはどのようにして生まれたのか」というテーマでスタート。連載当初を知る小佐野氏は、「20年前に『コードネームはセーラーV』という作品があり、それを東映アニメが気に入ってくれたことで、武内先生にお願いして広げてもらった作品がセーラームーン。本当は武内先生は別の作品の準備をしていたのですが、急きょ変更になりました」と、連載開始にあたりかなりのドタバタがあったことを明かし、またアニメと漫画がほぼ同時期にスタートするというハードスケジュールについては、「本当に無茶で、死ぬかと思いました。武内先生にがんばっていただきました」と当時を振り返った。

    担当編集だった小佐野氏曰く、「他のことを言っているようですけど、武内先生"は"一度も原稿を落とさなかったです」とのこと。含みのある言い方に、ニコ生では「旦那www」というコメントが大量に流れていた。何のことかは推して知るべし

    また、声優のキャスティングについては、古谷はオーディションではなく直接依頼されたと経緯を語り、「若手の女性声優が多かったので現場を締めてほしいという要望がありました。キャラ表を見ると、マスクにタキシード、マントというキャラクターで、『マジシャンかいな』と思いました。キャラ名もタキシード仮面で、『そのまんまやんけ!』って(笑)」と笑いを交えながらコメント。これに三石が「先輩に囲まれて心強いを通り越して何も見えなくなってました(笑)」と当時の心境を語った。

    仮面とマントのキャラに憧れていたという古谷徹。その理由は「某作品のライバルがつけていたから」とのこと

    浴衣姿で登場した三石琴乃。月野うさぎのぬいぐるみを持って登場した。同じものを昔、庵野秀明氏からもらって自宅に置いてあるのだという

    トークイベント中盤、会場を驚かせたのは、小佐野氏から飛び出した「セーラームーンは放送から半年で打ち切りの話があった」という衝撃の事実だった。小佐野氏によると、アニメは視聴率こそよかったものの、スポンサーが期待するほどグッズが売れなかったため、打ち切られる予定だったとか。打ち切りを回避できたのは「年末にムーンスティックを発売したらこれがバカ売れして九死に一生を得た」からで、これに三石と古谷は「まったく知らなかった。今日初めて聞きました」と、20年の時を経て明かされた衝撃の裏話に目を丸くしていた。

    ここでグッズの話に食いついたのが、本イベントのMCであり、自他共に認めるセーラームーンオタクであるニッポン放送アナウンサーの吉田尚記。「取材で北京オリンピックに行ったら、女の子がセーラームーンのリュックを背負っていて……」という吉田に、小佐野氏はすかさず「それはパチモンですね」とバッサリ。これには会場の記者、そして生放送を見ていたユーザーからも大きな笑いが起こっていた。

    古谷徹は20年前、娘が通っていた幼稚園に行くたびに、子どもや先生にタキシード仮面のセリフを披露して喜ばせていたのだという

    イベント後半には、フランス・パリで開催中のJAPAN Expoに出演中のアイドルグループ「ももいろクローバーZ」と中継をつなぎ、国をまたいでのライブが行われた。

    ちょうど5人組の「ももいろクローバーZ」はセーラー戦士のコスプレで登場し、「美少女戦士セーラームーン」の主題歌『ムーンライト伝説』を振り付きで披露。現地に集まったファンが大盛り上がりになる中、「ももいろクローバーZ」メンバーから、「美少女戦士セーラームーン」の新シリーズが2013年夏公開を目標に製作中であること、そしてその主題歌を「ももいろクローバーZ」が歌うという驚きの発表が行われた。

    六本木でこの発表を聞いた三石、古谷両名もさすがに驚いた様子を見せ、三石は「セーラームーン20周年だよってずっと言ってたんですけど、なんで世間は盛り上がってくれないんだろうって思っていたんです。そうしたらこんな重大なことになって驚きました」とコメント。さらに続けて、「昨年、プリキュアに出させていただいたとき、東映アニメのスタッフが『セーラームーンを見てました。会いたかったです』と涙を流して言ってくれたんです。セーラームーンを見て大人になった人が新作を見るにあたり、製作する私たちは心をこめて真摯に作らなければ納得してもらえない」と新シリーズへの意気込みを語った。

    また、古谷は「もう20年なんだなという感慨深い気持ちです。今20代の女性にハマっていた作品で、その方々はまたやってくれないかって期待しています。ぜひまた琴乃と一緒に新作に関われたらいいなと思います」と気合い十分のコメント。……とはいえ、小佐野氏によると「夏公開を目指すということ以外はまだ何も決まっていない」らしく、三石と古谷は「(声優として)出られるのかな?」と若干の戸惑いを見せていた。

    番組の最後には、原作者・武内直子からのメッセージが小佐野氏によって届けられ、これを三石が読み上げるという嬉しいサプライズが。

    原作者・武内直子からのメッセージは三石が読み上げた

    内容は次の通り。

    「新しい出版やアニメの企画などの話を戴きびっくりしています。本当にたくさんの方に愛された幸せな作品でした。昨日嬉しい話を聞きました。ツインテールの元祖はセーラームーンらしいです。これからどんな展開をしていただけるのかまだ何も知りません。正直怖いです。でもキャラクターたちがまた暴れてくれたら面白いかもと密かに思っています。皆さんどうかお手柔らかに、にこにこ顔でおかえりと言ってくれると嬉しいです。思い切り懐かしんでくれると嬉しいです」

    20周年を迎えて、復活の動きを見せ始めた「美少女戦士セーラームーン」というビッグコンテンツ。とはいえ、来年夏に新シリーズ公開ということ以外は、まだ白紙の状態だ。リメイク作品になるのか、それとも完全オリジナルの新シリーズか。声優のキャスティングはどうなるのか。日本だけでなく、全世界のファンから注目が集まっている。

    関連記事

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

      イチオシ記事

      新着記事

      本音ランキング

      特別企画

      マイナビニュースマガジン