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1999.6.25 キュピなこころ

 今日はパフォーマンス・アート集団”Kyupi Kyupi”のライヴを初めて観た。”Kyupi Kyupi”は主要メンバーの一人があの「狂わせたいの」の石橋監督。そしてフロントに立つのは、同作品の中で突如現れて歌い出す分島麻美。2ndライヴの今回は、麻美さんに加えてニューフェイス・ケイコさんも2曲を披露。
 公演名は「演歌マニア」。これまでプログレと相容れない音楽は全くに等しいほど聴き流してきた私の音楽的純潔に挑戦するかのようなコンセプトである。つまり歌謡曲、演歌をほとんど知らない私には未知のライヴだ。
 場所は京都三条カフェ・アンデパンダン。

 さてライヴ・レポートといきたいところだが、残念ながら前述の通り歌謡音痴の私には曲名がさっぱり分からない。多分、有名な曲ばかりだったに違いない。歌詞を覚えている曲も若干あるが、ここにそれを無断で書いてJASRACに知られると困るので書けない。仕方がないので適当に想像していただこう。

 カフェ・アンデパンダンの白人バーテン、Mr.スマート(私が勝手につけたあだ名)が開演を宣言したあと、バックスクリーンにKyupi Kyupiの超絶ビデオ映像が流される。続いて、緑色のイボイボ頭に漫才師のようなラメ入りジャケットを着たMC”宇宙の皇帝”が登場。存在と微妙な間だけで笑わせるMCにより、麻美さんと歌謡オーケストラが紹介されて第1部の演歌大会がスタート。
 3人だけのオーケストラは高島田に電球と高圧線をあしらい、水中メガネをかけたオバQメイクのお揃いスタイル(分かるか?こんな説明で)で登場。麻美さんは和服の前をはだけてSFっぽい胸当てをしたエロティック・スタイル(全然分からんよな。こんな説明)に、写真でよくみる上目遣いのポーズがキマッてる。麻美さんのコブシよりもノリを意識した力強いボーカルと、打ち込みビートに生演奏のヴァイオリン、ウッド・ベース、バンドネオンが絡んだバッキングが演歌の情感をセンシブルに変換していて恰好いい。観客も「マミさ〜ん!」コールを連発だ。
 ところでこの日のライヴは別名「臨月ライヴ」。フロントの麻美さんはお腹が大きかった。よくあれでノリノリで歌えるもんだ。
 数曲を歌い終わった後、再び”宇宙の皇帝”の登場。例の計算されたMCのあと30分の休憩に入る。

 休憩中、不埒にも外食して(人ごみに耐えきれませんでした。お店の方ごめんなさい)戻ってきたら、既に”宇宙の皇帝”がステージに上がっている。バックにはいつのまにかフィッシュ・へッズ達が。ここでニューフェイス・ケイコさんが皇帝の義理の妹であることが明かされる。そして第2部はニューフェイス・ケイコさんのフロントにより開演。
 彼女のコスチュームはまさに私好みのクイア&テクノなデザイン。緑を基調としたメタリックなワンピースにSF胸当て、顔にはシルバー・メッシュのアイマスク、そして巻貝のように結った髪の先端にはパラボラ・アンテナが。はやくあのスタイルが巷間に溢れる時代が来て欲しいものである。
 見た目の奇抜さで麻美さんに水をあけたニューフェイス・ケイコさんだが、歌も驚くほど上手い。あの姿であれだけの歌唱力を見せつけられると誰でも現実から解き放たれた瞬間を味わうことができるだろう。全然関係ないけど、「フィフス・エレメント」でベッソン監督が何をやりたかったのかが少し分かった気がした。
 彼女の官能的な歌声をもっと聴いていたかったが、2曲を歌って麻美さんと交代。
 そして麻美さんは妊娠中の女性というのはあれほどにもパワフルに動ける(歌える)ものなのか、と思ったぐらい平気(に見えた)で次々と歌う。「薔薇の花束」「ジャックナイフ」「港」(←曲名分からないので連想してください)を歌ったときには、芝居がかった曲調に合わせた迫力のあるフリまでつく。最後の曲「北国」「空」「オーロラ」(←これも曲名知りません)では、エンディングにふさわしい伸びのある歌声を店内いっぱいに響かせて終わった。

 

ほんとはキュピキュピ・サンドが食べたかったのです。タチの悪いカメラマンが全部悪いのです(怒)。