「 ちくさーのとらちゃん 」
作 あーちゃん
とらちゃんという
ねこが
ちくさーに住んでいました
生後3か月くらいの
虎模様の子ねこで
骨太で
尻尾は長く まっすぐで
細い毛質でした
でも
とらちゃんは 飢えてやせこけていて
体中に
100匹近いのみと
耳にはダニもはりついて
肉はほとんどなく
皮と骨ばかりで
やせ細って ハアハアして
動けなくなっていました
とらちゃんには
呪が かけられていました
ちくさーには 今
無数の怨霊が発生していて
怨霊に狙われている
防火水槽の近くの
古い二軒の血筋の家を
守らせるために
犬が
まだ生後間もない
虎ちゃんを
盾にしようとしたのです
虎ちゃんが
怨霊の呪を 受けてしまった理由は
虎ちゃんのコードがとても強かったからです
祟られてる血筋の集合意識は
自分に降りかかってくる怨霊の呪を
受けとめてくれるものなら
犠牲は 誰であってもよかったのです
ただ
コードや 怨霊を呑み込める器が無いと
怨霊の盾になることはできません
そのため 犬たちは
ちくさーの野良ねこの中で
並はずれたコードをもって生まれてきたとらちゃんに
目をつけたのです
怨霊を祓うために動いていた犬達は
とらちゃんを発見した途端
まずとらちゃんより先に
呪が刺さりやすい 弟や妹ねこたちに軽くポイポイしました
そしておとうとねこ いもうとねこが
ちょっと具合を悪くした頃に
使役してた想念体に
夢で こうささやかせたのです
「
弟や妹が危ない 」
「 このままでは 危ない
弟や妹 」
「
守らないと
身代わりにならないと 」
そのささやきを聞いた
とらちゃんは
それから 怨霊の呪を受けました
本当は
とらちゃんや おとうとねこ いもうとねこは
怨霊さんや 祟られてる血筋や犬たちと 何のゆかりもありませんでした
ゆかりがなければ
普通にポイポイされても
レンズ性質のねこなら
ちょっと具合が悪くなっても すぐに抜けてしまいます
だから犬たちは
何かとっかかりを探し
呪を 自分の意志で 引き受けさせようとしたのです
呪を 自分の意志で引き受けさせなければ
盾とすることはできないことを
知っていたのです
犬や吸血鬼は
自分たちの厄を祓うため
関係ない存在であろうとも
相手のウィークポイントを探し出し
自分たちに降りかかる厄を
ウィークポイントに降りかかる厄と
錯覚させ
引き受けさせてきたのです
さらにタイミングがよくなかったのは
昔の怨霊の呪は
じわじわと効く呪いでした
詐術と気づけば その瞬間 いつでも逃げ出すことができました
でもここ最近の怨霊の呪は
結界がなくなってることで
エネルギーが増大し
体力を急速消耗させ
突然死のような症状を もたらすのです
とらちゃんは
犬の術に引っかかって
その呪を受けてしまいました
ごはんをたべても 下痢が続いて
息が苦しくなって
無数にのみや ダニがいっぱいたかるようになって
そのうち
ごはんが 食べれなくなってしまいました
数日で
とらちゃんの体は
骨と皮のような体となり
痩せこけていきました
でもとらちゃんのコードに目をつけた
犬たちは
想念体に命じて
もっと残酷なささやきを発っさせました
「
あそこに行け 」
「
あそこでお願いすると
守られるよ 」
犬たちが あそこに行けと言った場所は
呪われてる 防火水槽の近くの家の道でした
その道でとらちゃんを防火水槽を眺めさせながら
死なせ
とらちゃんの魂を
死後もその地で
怨霊の盾として 使役しようとしたのです
それは夏なのに
寒い寒い道路で
とらちゃんは一人でうずくまって おいのりしていました
寒く冷たい深夜の道
よだれをだらだらたらし
自分の死を覚悟した時
まぶしいライトと共に
一台の車が通りかかって
地面にうずくまって動かなくなったとらちゃんに気づいて
体を 拾い上げました
とらちゃんは
その車で ごはんをもらって
真っ黒で暖かなマフラーでくるまれました
でも弱り切った虎ちゃんは
ごはんをたべることができません
病院が開くまでの間
車の人は
とらちゃんの体をふき ノミを取り
生ぬるいミルクもあげようとしましたが
とらちゃんは
どんどん衰弱していき
やがて呼吸さえも おぼつかなくなりました
とらちゃんの体には
何かが入っているような感じでした
それが内側から気を吸って
とらちゃんの体から 出ようとしなかったのです
拾った人は
ずっとなでなでしていたのですが
とつぜん
とらちゃんがぐわっと 立ち上がると
口から 何かを吐き出すような 動作をしました
その瞬間 とらちゃんは 息絶えました
でも 息を引き取ったとらちゃんが
目に 最後の視力 最後の情景を焼き付けてる時
とらちゃんをなでなでしていた人が とらちゃんにこう語りかけました
「
あなたの魂が 永遠に自由でありますように 」
「
あなたの魂が 永遠にしたいことをして 好きなところに行って 想いを叶え続けますように 」
それは
最後の瞬間
とらちゃんにかけられた 呪が跳ね返った言葉でした
とらちゃんの苦しんでいた表情は
そのことばを聴いた瞬間
おだやかな 表情になり
目に 輝きがうつりました
その言葉をかけたあと
近くの犬たちが 発狂したように 吠えました
「
泥棒 泥棒
魂盗った 盗った
泥棒 泥棒 」と
犬たちは 死後もとらちゃんの魂を使役するための呪をかけていて
でも最後の瞬間
魂が逃げてしまったのを 感じたのです
とらちゃんは 生きています
今 ちくさーの地にいます
とらちゃんは みんなの心に生きていて
みんなの前に また生まれてきます
猫の森 |
「 かわいいは魔法のおと 」
作 ベビーふっつ―様
かわいい は 魔法のおと
ベビー かわいい
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かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい
かわいいのおと
毎日毎日 浴びてると
本当に
かわいくなっていく
だから
ねこは
1000回
かわいい 言われても うれしい
「 かわいいは 魔法のおと 」
作 ベビーふっつ―様
おしまい
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