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証拠に誤り 検察“異例の無罪”求める
7月10日 12時25分

郵便物を横領したとして起訴されたアルバイトの配達員の裁判で、犯人とする証拠に誤りがあったことが明らかになり、大阪地方検察庁は、10日、「犯罪の証明はできない」として異例の無罪を求め、配達員の男性に謝罪しました。

アルバイトの郵便配達員の24歳の男性は、去年6月、大阪市内のマンションの宅配ロッカーにいったん届けた郵便物を横領したとして、業務上横領の罪で起訴されました。
男性は、捜査段階から一貫して無実を訴えたのに対し、検察は、男性がマンションを訪れた時刻と宅配ロッカーから郵便物が取り出された時刻の記録が一致すると主張してきました。
ところが裁判の途中で、男性が宅配ロッカーに郵便物を入れたあと、扉が完全に閉まっておらず、その場合、後に郵便物が取り出されても、入れたときと同じ時刻が記録されてしまうことが明らかになりました。
10日、大阪地方裁判所で行われた論告で、検察は証拠に誤りがあったと認め、「男性の犯行だという証明はできない」と述べて異例の無罪を求めました。
男性は、去年9月に逮捕されてから保釈されるまで33日間、身柄を拘束されていて、検察官は法廷で「そのような事態を招き、申し訳ない」と男性に頭を下げて謝罪しました。
これを受けて裁判所は、10日午後、男性に無罪判決を言い渡す見通しです。
男性の弁護士は、「検察は、犯人と決めつけて執ように自白を求める一方、ほかの証拠を集めていなかった。もっと丁寧に捜査すべきだった」と批判しています。
一方、男性を逮捕した大阪府警は、警察本部の岩本俊行刑事総務課長が、「このような事態を招き申し訳なく思います。今後、十分な捜査を尽くし、二度とこのようなことを起こさないよう努めます」というコメントを出しました。

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