AIJ投資顧問(東京都中央区)による巨額の年金資産の詐取事件で、同社社長の浅川和彦容疑者(60)=詐欺と金融商品取引法違反の罪で起訴=らが、実評価額が370万円のファンドを約135倍の5億円に水増し評価し、横浜市の厚生年金基金に販売していたことが、捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、自転車操業状態に陥っていた浅川容疑者らが、解約金を捻出するためだったとみて調べている。
同庁捜査2課は9日、浅川容疑者と、AIJの取締役で会計担当の高橋成子容疑者(53)=同=、同社傘下のアイティーエム証券社長の西村秀昭容疑者(56)=同=、同証券取締役小菅康一容疑者(50)を詐欺容疑で再逮捕し、発表した。
調べでは、浅川容疑者らは2010年10月〜11年10月、ファンドの買い付け代金としてホンダ販売厚生年金基金(文京区)と大日本印刷企業年金基金(新宿区)から各約10億円、日本鉄リサイクル工業厚生年金基金(台東区)と全国産業廃棄物厚生年金基金(横浜市中区)から各約5億円の計約30億円の年金資産を振り込ませて、だまし取った疑いがある。