マイページ | 新規会員登録 | オンライン版について

定期購読のお申し込み | 月刊「FACTA」のご案内 | よくある質問 | ご意見・お問い合わせ | サイトマップ

阿部重夫発行人ブログ「最後から2番目の真実」

慶応義塾への第2公開質問状

2012年07月06日 [leaks]

6月にお送りした質問状に、たった1行「お答えできません」という大変示唆的なご回答をいただきまして有り難うございました。さて、このブログで予告しましたように、経歴詐称問題を義塾の他の教員の方々にも戦線を拡大していこうかと存じます。どこにでもホイッスル・ブロワーはいるもので、弊誌に以下のような情報が寄せられました(もちろん弊誌は独自に確認作業を行っており、この内部告発は一部加筆および削除を加えてあります)。

中村伊知哉(大学院メディアデザイン研究科)教授の盟友の菊池尚人(同研究科)准教授も、DMC途絶後もずっと「KMD准教授」とし続けていたので、調べてください。こちらはキム氏の経歴詐称が話題になった後に「特任準教授」に直していますが、たしかその前は特別招聘准教授でしかなかったはず。でも自らがビジネスでやっている東京コンテンツブロデューサーズラボなどでも慶應KMD准教授を名乗っていたのですから学生集めにおいてかなりまずいですね。

しかしこの件は一准教授の経歴詐称より重いものにつながっています。慶應の教員採用の実態と、産業界や官界との癒着です。特に竹中平蔵氏などがかかわっている情報通信業界です。これは安西(前塾長)体制のときに極みに達した部分で塾内でも批判が大きく、清家(篤現塾長)体制ではそういう面は一掃しようとしています。

IT系の教員の研究実績などをグーグル・スカラーなどで調べてみてください。キム氏に研究実績がないとの指摘がありまたが、中村伊知哉教授、岸博幸教授などのKMD組にも、霞が関経験はあるものの学術論文など一本もありません。国領二郎総合政策学部長兼教授も著名なので、みんなたいそうな学者だと思い込んでいますが、研究実績は非常に乏しい。さすがに中村・岸両教授よりは多少ましですが。SFC系の教員も大半がそうです。

こうした人たちはIT業界と深くつながり、かつ、総務省や経産省ともつながっています。岸教授はエイベックスの社外取締役で、中村教授はミクシィの社外取締役、その他、いろいろなビジネス系の役職を兼務しています。国領学部長はNTTのOBで、NTT系の多額の資金を得ています。こういう人たちが、「慶應大学教授」という肩書きで政府系の役職に就いて、教員の数倍の報酬をビジネスで稼いでいる。逆に、慶應は安西体制のときに、教授ポストを著名人に非常に低報酬で提供し、副業で儲けなさいという方針をとりました。その結果、学術実績が何もない著名人が慶應の肩書きを実質的に買い、慶応教授
の肩書きを使った副業で儲けるという構図ができています。

もちろん、学者の意見が各種審議会委員などを通じて政府に反映されるのは決して悪いことではありませんが、それはあくまで「学者」としての中立的・学術的な視点を期待されているのであって、学術的な業績が何もない、単に産業界や官界とのパイプが強いだけの人が「慶応教授」ということで委員に任命され、政府とのパイプで副業を稼いでいる。

政府の側でも、自分たちが仲良くしたい産業界とパイプの強い(というより学者でも何でもなくそれしか取り柄がない)元官僚などの委員が、学者という隠れ蓑で産業界寄りの意見を言ってくれるのは助かるわけです。中村伊知哉教授の発言など追ってみると面白いですよ。これに対し、本格的な研究業績のあるIT経済の研究者などは、電波オークションの実施などを主張するので、委員からは外されます。

本来、政府の委員に就く人は、関連業界からどのような報酬や研究費をもらっているか開示すべきであり、また、大学教授として委員に就く人には学術的な業績を求めるべきでしょう。慶應のような学術的業績ゼロでも「一流大学教授」のポストを与えてしまう大学がある以上、「一流大学教授」というだけで学者委員を審議会委員などに入れることはやめるべきです。

とにかく、DMC+KMD+SFCには胡散臭い教員がたくさんいるので、今後、そういった方面での調査も進めてもらうことを期待します。これは、慶應に限らず、日本の御用学者文化全体につながる問題だと思いますが、慶應とIT業界と総務・経産省が、私が知る限りでは最もひどい癒着を起こしています。

なかなか立派な内部告発ではありませんか。さらに別の内部告発が届いております。

慶応ビジネススクール准教授の小幡績氏の学歴についても疑わしい点があります。Wikipediaによると彼は二浪して東大経済学部を首席で卒業、大学院には行かず大蔵省に入省、1999年退職、2000年IMFの夏季セミナー修了、2001年ハーバード大学でPhD修得となっており自分のブログでもPhDと名乗っています。学士が一年足らずでハーバードのPhDを修得するのは不可能であります。

彼は池田信夫氏の主催するアゴラで慶応教授の池尾和人氏としばしば論争していますが、その言説は極めて稚拙で、池尾氏に「君がチヤホヤされるのはハーバードのPhDを取っているからだ、中身はない。査読論文でも書いてみなさい」と叱責されています。(小幡氏のブログに池尾氏がコメント)。

彼の英語の論文(pdf)を一件だけネットで発見しましたが、英語も稚拙です。査読論文は全く見当たりません。ハーバードで有名なShleifer教授との接触があったのは事実のようですが、学生としてでなく、研究員として在籍しただけの事と思われます。

兎に角、小幡氏のブログを見ていただけば、程度の低さが分かります。競馬とAKB、Perfumeの話は玄人はだしですが、専門の経済の話は床や談義のレベルです。池尾教授にバカにされるのも仕方が無いと理解いただけるとおもいます。私はハーバードのPhDは詐称だと確信しています。調査してみて下さい。

もっとも別の読者からこんなご指摘がありました。

"Seki Obata thesis"でグーグル検索をかけますと、トップページに以下のようなものがありました。

http://nmxiang.com/Economics/Governance-across-organizations--13709.html

この業績は他のデータベースにも登録されているようですので、おそらく本物のハーバード大学Ph.D.の学位論文かと思われます。

なるほど、当方の検索ではこれを見落としていましたね。だとすると、小幡准教授には「1年でハーバードのPh.Dを取る秘訣」でも伝授していただきたいものです。それとこの査読論文がどれだけの水準か、さっそく読んでみましょう。とにかくこれだけの論争になっているのですから、義塾はどう答えるのでしょうか。それが第2質問状の問いです。

もうひとつ、ダイヤモンド社は金正勲特任准教授の新著『媚びない人生』に掲載している履歴については重版から「インディアナ大学博士課程修了」を「インディアナ大学単位取得退学、中央大博士(総合政策)」と直すようですが、「退学」と「博士課程修了」では大違いです。これも重大な経歴詐称にあたると考えますが、義塾のご見解はいかがでしょうか。

弊誌の締切もありますので、ご回答は7月10日(火)までにお願いいたします。「お答えできません」という回答は、もはや世間で通用しません。今度こそは誠意ある回答を心より期待しております。

投稿者 阿部重夫 - 08:00| Permanent link | トラックバック (0)



トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://facta.co.jp/generator/mt-tb.cgi/685

※記事の内容に無関係なトラックバックにつきましては、削除させていただく場合がございます。ご了承ください。トラックバックが正常に動作しない場合はsupport@facta.co.jpまでご連絡ください。

発行人 阿部重夫

編集長 阿部重夫

1948年、東京生まれ。東京大学文学部社会学科卒。73年に日本経済新聞社に記者として入社、東京社会部、整理部、金融部、証券部を経て90年から論説委員兼編集委員、95~98年に欧州総局ロンドン駐在編集委員。日経BP社に出向、「日経ベンチャー」編集長を経て退社し、ケンブリッジ大学客員研究員。 99~2003年に月刊誌「選択」編集長、05年11月にファクタ出版株式会社を設立した。

カレンダー

2012年07月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

ブログ更新通知 [RSSフィード]

RSSとは記事のタイトルや概要を配信するための技術です。RSSに対応したソフトウェアやサービスを利用すると、最新の記事のタイトルや概要が取得できます。詳しくは「RSSフィードについて」をご覧ください。

当ブログは以下の規格に対応しています。

RSS 1.0
RSS 2.0
ATOM