【対談】勝間和代・安藤美冬「一発屋と定番の分かれ目」
2012.07.10
勝間 ブームの間って、要はできるだけいろいろな人に知ってもらう過程であって、その中で興味を持ってくれた人の5~10パーセントでも買い続けてくれれば、それは定番として棚に残りますよ、と。そしてここが重要なのですが、なぜ定番化した人やモノが生き残っているかというと、コアなファンが飽きないように、ちゃんとイノベーションをしているからなんです。松任谷由実さんやサザンオールスターズといった方たちが典型ですけど、彼らは微妙に革新し続けている。同じようなことをしているようで、実はずっと新しいことをやっているんですよね。吉野家の牛丼も然りで、実は味がちょっとずつ変わってるんですよ。お客様が飽きないように、ちゃんとその時のトレンドなどを踏まえて味を変え続けてるんです。
――つまり、変わらないように見えるものでも、実は少しずつ変わっていると。
勝間 「定番」という響きに惑わされてしまいがちなのですが、定番って意外とイノベーションをしている。というか、だからこそ定番として残り続けているんです。一方、いわゆる一発屋で消えてしまう人やモノって、要は同じ芸しか持っていなくて、それが飽きられてしまったら終わってしまう、ということなのかな、と。だから、私がすごく安藤さんにお伝えしたいのは、いろいろ悩むところはあるだろうけど、最後に定番になるためにも、ブームのような喧噪はやはり必要ということ。ブームを、いろいろな人に知っていただくための機会と捉えれば、要はパブリシティーをしてもらっている状況なわけですから、とても大切な段階といえる。一生の中で、そんなにパブリシティーしていただける機会ってないですからね。
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●勝間和代(かつま・かずよ)
1968年東京生まれ。経済評論家、中央大学ビジネススクール客員教授。早稲田大学ファイナンスMBA、慶応義塾大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得、大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。現在、株式会社監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、国土交通省社会資本整備審議会委員、中央大学ビジネススクール客員教授として活躍中。少子化問題、若者の雇用問題、ワークライフバランス、ITを活用した個人の生産性向上、など、幅広い分野で発言をしており、ネットリテラシーの高い若年層を中心に高い支持を受けている。
●安藤美冬(あんどう・みふゆ)
株式会社spree代表取締役社長、自分をつくる学校学長。1980年生まれ、東京育ち。
慶応義塾大学、集英社を経て11年1月独立。ソーシャルメディアでの発信とセルフブランディングを駆使し、複数の仕事、複数の肩書で仕事をする独自のノマドワークスタイルは、「一切営業することなく仕事をするフリーランスの女性」としてジャーナリスト佐々木俊尚さんに紹介されるほか、『情熱大陸』『ニッポンのジレンマ』「朝日新聞」などのメディアでも多数取り上げられる。書籍の企画、イベントプロデュース、野村不動産、リクルート、東京ガスなど企業が参画する「ポスト団塊ジュニアプロジェクト」のアドバイザリー業務、自らが学長を務めるセルフブランディングをテーマとした「自分をつくる学校」の運営など、多岐にわたる仕事を手がけ、新しいワーク&ライフスタイルのオピニオンリーダーとしての活躍が期待されている。