東京都内で昨年上半期(1~6月)の発生がゼロだった振り込め詐欺の一種「還付金詐欺」が、今年上半期はすでに153件発生し、1件当たりの平均被害額も95万円にのぼっていることが5日、警視庁への取材で分かった。還付金詐欺は4年前のピーク時を境に年々減少していたが、警視庁は「再び活発化し始めている」として警戒を強めている。
還付金詐欺は、社会保険庁や市役所・区役所の職員などを装って「医療費が還付される」などと電話し、現金自動預払機(ATM)の扱いが苦手な高齢者に携帯電話で指示して逆に振り込み手続きをさせ、現金をだまし取る詐欺。
警視庁犯罪抑止対策本部によると、都内の還付金詐欺の年間被害件数は、平成20年の1083件をピークに年々減少しており、21年は62件、22年は43件。23年は下半期に17件あったものの、上半期はゼロだった。
それが今年に入ると、1月の9件を皮切りに、2月19件▽3月29件▽4月22件▽5月23件-と発生が急増。6月中には、単月では過去3年で最多となる51件の被害が確認された。
携帯電話で会話しながらATMを操作している高齢者に金融機関の職員やコンビニの店員らが声を掛け、被害を未然に防止したケースも、1~6月で62件にのぼったという。
同本部は「ATMを操作して医療費が戻ることは絶対にない」と指摘しており、関係機関に対し、チラシの配布や声掛けなどを通じた注意喚起を強化するよう協力を要請している。