【米ワシントン9日=松堂秀樹本紙特派員】米軍普天間飛行場に配備予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、2006年3月に米東南部ノースカロライナ州で飛行準備中に突然上昇し、地面にたたきつけられていたことが分かった。現地紙アマリロ・グローブニュースなどが報じていた。米雑誌ワイアードによると、修理費はクラスAの事故(200万ドル以上)に分類される約706万8千ドル(約8億2800万円=当時)かかったが、海兵隊は「機体は離陸するはずではなかった」との理由で事故に含めなかった。さらに、オスプレイの事故機を含む機体数をめぐり、09年の米議会の調査に海兵隊が回答を繰り返し拒否するなど、「事故隠し」の疑惑が生じている。
オスプレイは09年6月の米議会の調査で、それまで予算付けし海兵隊に納入されたはずの145機のうち、海兵隊へのヒアリングによる保有数を「105機」と記載。40機が所在不明になっており、過去の事故が隠ぺいされている疑いもある。
アマリロ紙などによると、事故は06年3月27日に海兵隊ニューリバー基地(ノースカロライナ州)で発生。3人の乗員が機内で飛行に向けた準備をしていたところ、機体が突然上昇、約9メートルの高さまで上がって地面にたたきつけられた。けが人はなかったが、右翼と右側のエンジンが損壊した。ワイアード誌によると、飛行予定がなかったとの理由で事故の統計から除外された。
米政府活動に関する市民団体サイト「AllGov.com」が09年7月に報じたところによると、海兵航空団トップのジョージ・トラウトマン中将(当時)は同年5月に海兵隊のオスプレイ保有数を「91機」と証言。だが、同中将はその1年前に100機目のオスプレイ取得を祝う式典に参加していた。
こうしたことから、事故機の数などに疑念を強めた米下院監視・政府改革委員会が追及を続け、09年6月に105機の保有を確認。だが、議会がこれまで予算化した機体数は155機で、同月までに145機が納入されているはずだった。同サイトは40機の所在不明について「オスプレイは常に軍にとって問題児のようだ」とやゆした。同委員会も各委員に当てた書簡で「オスプレイを何機保有しているかという単純な質問に対する回答を得るのに大きな困難にぶつかった」と不信感をあらわにしており、今後も保有数などをめぐって議論が続きそうだ。
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