sad story
島村さんに判決が言い渡された.「有罪.懲役3年.執行猶予4年」.ほぼ予想通りの結果だろう.罪については,原告側の主張が100%認められたことになる.「島村さんに地震計を売る権限はない.海底地震計は島村さんではなく北大に帰属する.ベルゲン大学に対する悪質な詐欺である」.島村さんの弁明はすべて否定された.証拠も証人もなかったのだから仕方ない.
さて裁判.傍聴人は約60人と,これまででもっとも多かった.開始前,通常なら裁判官よりも先に入場する被告が入らず,裁判所の方がマスコミ用の写真撮影が行われると告げる.そして先に裁判官が席に着き,約2分間,無言のビデオタイム.カメラが退いてから被告が入廷し,裁判が始まった.なるほど,よくテレビで見る,裁判官はいるが被告は映っていない映像はこういう手順で撮られるのかと納得.
今回の裁判は判決の言い渡しなので,被告が正面に立って,裁判官がまず判決を述べた.これを待っていた,いやこれだけを待っていたマスコミは一斉に退席.いつものことだが,マスコミは身勝手で非礼な連中だ.島村さんには見向きもせずに音を立てて出て行った.こういう人たちにとっては,人の運命を左右する場もスーパーの売り場も公衆トイレも同じなのだろう.
主文の後,島村さんは着席し,裁判官がさらに約30分の説明.原告側の証人がすべて信用おけること,被告の弁明は認められないこと,悪質な詐欺事件だが執行猶予をつけることなどを話した.よく考えると,裁判中,声を発したのは裁判官だけで,副裁判官も被告も弁護人も検察官も無言.質疑もなにもない.
終わってから,何気なく傍聴席にいたら,被告の親族か友人らしき一団が,「今までやってきたことは何だったんだろう」と話しているのが聞こえた.判決に不服なのかもしれないが,私には弁護士団の能力不足に対する不満に思えた.いままでちやほやしてくれていたマスコミに見放され,実はすべて予測していた弁護士にはいいようにお金だけ取られたのだとしたら,まさに哀れである.それでもまだ一人で,そして口だけで戦うのだろうか.
裁判の後,ノルウェーのミエルデ氏にメールを送り,判決の結果を報告した.私は最後に sad story と書いたところ,彼からはすぐに, yes, very sad story と返ってきた.
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
最近のコメント