つなぐ 希望の木
災難を乗り越えてきた木々を、都内に訪ねた。
【経済】6兆円余らせ なお増税 復興予算未消化問題2012年7月10日 07時02分 税と予算のありように異議がある。政府の二〇一一年度予算では、東日本大震災の復興に向けた約十五兆円のうち約六兆円が使われなかった。被災者の暮らし再建を願い、復興増税を受け入れた国民としては、政府の所業に納得がいかない。あすから参院本会議で社会保障と税の一体改革関連法案の審議が始まるが、予算の使い道がズレたまま増税ばかりを求める政府に、国民の信頼が集まるはずもない。 一一年度の補正を含めた一般会計歳出の約百七兆円のうち、約十五兆円が被災地の道路や住宅などの建設に向けられた復興予算だ。しかし、復興庁がまとめた執行額(実際に使った予算)は、約九兆円にとどまった。残る約六兆円は一一年度内に使われなかったのだ。 なぜ使われなかったのか。被災自治体の復興計画が年度内に整わないなど一二年度以降に繰り越された額が約四兆八千億円あった。さらに、見逃せない点がある。復興事業が遅れたり、被害想定の見込み違いなどで「不用額」と区分された予算が、約一兆一千億円もあった。 安住淳財務相は「足りないよりは過分であった方が被災地にとっても良かった」と話し、被災地のためにあえて甘めに見積もった額だったと明かした。被災自治体の人員不足などで計画が立てられず、年度内に予算が使われなかった面もある。 だからといって、大ざっぱに予算を決める行為はいかがなものか。復興予算の議論が進んだ昨年、各省庁は「復興」の名の下に、あらゆる事業を盛り込んで予算額の奪い合いに走ったことは否めない。結果として、被災地ニーズからも離れてしまった。 政府が昨年夏に定めた復興基本方針では、「五年で少なくとも十九兆円」が復興に必要と見積もった。うち、約十一兆円を所得増税や住民税増税などでまかなう構図だ。 この増税分の一割に当たる約一兆一千億円こそ、一一年度に不用とされた額に相当する。ならば、不用額を増税額の減免に充てるか、いまだ生活に苦しむ被災者に振り向けるべきではないか。 私たちは被災地の復興を否定するものではない。だが、集めた税を適切に使うことができない政府である限り、負担増には承服できない。加えて消費税率引き上げなど、もっての外だといえる。 (東京新聞) PR情報
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