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最終更新:2012年7月9日(月) 20時37分

不法滞在、行政サービスに自治体困惑

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 9日から日本で暮らす外国人に対し、これまでの「外国人登録証」に代わり新しい「在留カード」が発行されるなど、国の制度が大きく変わります。狙いの一つは不法滞在や不法就労を防ぐことにありますが、自治体には、これまで不法滞在の場合でも実施してきた行政サービスをどこまで行えばいいのか困惑が広がっています。

 9日から日本で暮らす外国人に発行された「在留カード」。

 「仕事するときにこのカードがないと仕事ができない」
 「入国審査のときはこれ1枚あればすんなり行き来でき、時間節約できる」(手続きに来た外国人)

 しかし、入国管理局では初日からシステムトラブルが発生、カードの発行が遅れる状態が続きました。

 この「在留カード」と「外国人登録証」の最も大きな違いは、推計で8万人に上るオーバーステイの人には発行されないことです。最低限の住民サービスを実施するためにも必要なことから、自治体ではオーバーステイの場合でも「外国人登録証」を発行してきました。

 埼玉県に住むアフリカ出身の女性。およそ20年前からオーバーステイの状態が続いていて、日本で生まれた9歳の娘を抱えています。これまでは外国人登録をすることで母子手帳の交付を受けたり子どもを小学校に通わせたりすることができました。

 「今、ビザはないが、(外国人)登録証はある。月曜日(9日)から(外国人登録証が)ないからどうしよう」(オーバーステイのアフリカ出身の女性)

 外国人の人権問題に取り組むNPOがおよそ100の自治体に調査したところ、「在留カードを持たない外国人には予防接種を行わない」と回答した自治体が5割近くに。こうした状況を受け、厚労省や文科省は全国の自治体に対し、法改正後も在留資格にかかわらず予防接種や子どもの就学を認めるよう通知を出しています。

 「生命の根幹に関わる公衆衛生とかベース(教育など)の部分、日本の中でそう$$$&$3$H!J9T@/%5!<%S%9!K$rE0Dl$9$k$N$O=EMW!W!J309q?M$N?M8"LdBj$K>\$7$$ 名城大学法学部 近藤敦教授)

 しかし、実際に行政サービスをどの程度提供するのかはそれぞれの自治体に委ねられています。

 「(オーバーステイの子どもも)できる限り就学させたいと思って進めている。何とか不就学の子どもが出ないような形にしたい」(新宿区教育委員会事務局 米山亨学校運営課長)

 国はオーバーステイの外国人に対し締め付けを強くする一方で、自治体へは行政サービスを引き続き行うよう求めていて、自治体には困惑が広がっています。(09日16:43)

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