朝鮮人強制連行:真相調査団、新たに3人聞き取り 本にまとめ後世に /秋田
毎日新聞 2012年07月07日 地方版
戦時中、日本に強制連行された朝鮮人の実態を調査している民間団体「県朝鮮人強制連行真相調査団」の野添憲治事務局長は、6月に訪韓して新たに3人の生存者から聞き取りをしたと発表した。
聞き取りをしたのは、旧比内町の大沢鉱山▽旧田沢湖町の田沢湖導水管工事▽同町の東北振興発電工事−−に携わった男性3人。終戦直前の1944年ごろ連行され、当時16〜22歳だったという。
野添事務局長によると、強酸性の玉川の水を飲まされたり、現場監督から棒で殴られるなどの虐待のほか、十分な食料を与えられず草を食べていたことなど、過酷な状況を語ったという。
調査団は10年度末、韓国の政府機関「日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会」の資料から、05年現在で県内から韓国に帰国した生存者246人を確認。10年と11年に計14人の聞き取りをした。しかし、高齢化などのため名簿にある生存者の大半と連絡が取れないという。野添事務局長は「名簿の生存者はほかに2、3人だろう。資料がないので一人でも多くから聞き書きをしたい。生きていてほしいと思っている」と話した。これまでの聞き取り調査結果は本にまとめ、後世に伝えたいとしている。