泣いて、笑っての“桂里奈ショー”で、ロンドン五輪へ向けたなでしこジャパンの国内合宿が幕を開けた。
集合に先だって丸山は、都内で行われた「ホリプロ」の壮行会に出席。熱烈なエールに「目標は1試合1得点。金メダルを持って帰ってこられるよう頑張ります」と力強く宣言した。
しかし、大ファンという男女3人組のアーティスト「RAM WIRE(ラムワイヤー)」にサプライズの生歌をプレゼントされると笑顔が一転。涙をぼろぼろとこぼし、「リハビリのとき、ずっとこの『歩み』という曲を聴いていて乗り越えてきた。思い出したら涙が止まらなかった」と顔を覆った。
昨年9月の五輪アジア予選で、右膝前十字靱帯(じんたい)損傷で全治6カ月の大けがを負った。だが、「信じていこう ためらいながら一歩踏み出す君の歩みよ 強くあれ」との歌詞にも励まされ、五輪メンバーに滑り込んだ。
くしくも7月9日は、昨年のW杯準々決勝・ドイツ戦で決勝ゴールを挙げた日。快挙の立役者となって1年。練習場のピッチに立つと「精神的に強くなって、またこの場に帰って来られた。けがをしてよかった」と大きく息を吸い込んだ。
「(手術の執刀)医師も『前よりも強く太い靱帯にした。もう絶対切れないから』と言ってくださった。動き出しはけがする前よりも速い」とミニゲームではシュートを放ち、気を吐いた。
親友の存在も大きい。過去2度の五輪の悔しさを共有する同学年のFW安藤は宿舎で同部屋。ドイツW杯でも同部屋だっただけに「縁起がいい」と笑った。新しく施した右手小指のネイルアートは、安藤の背番号「7」。自身の番号「13」にした薬指の隣に描いた。
この日が30歳の誕生日だった安藤には、夕食時に熱唱を贈る。後ろで結んだヘアスタイルが芸人・綾小路きみまろに似ていることから、チーム内での“芸名”「綾小路かりまろ」で盛り上げる。
復活したムードメーカーは、「北京で4位に終わった後、ノリさん(佐々木監督)が世界一という目標を掲げて4年間やってきた。その強い思いは分かっている」。自身3度目の五輪で目指すのは、W杯に続く頂点だけだ。(丸山汎)
★公私ともに充実、彦星に会えた
丸山は七夕の翌日だった8日のブログに「織姫と彦星が出会う日 みなさんは大切な人に会えましたか? 私は、会えました」と意味深げな書き込み。報道陣から「どういう存在の方ですか」と聞かれると「えー、それは秘密です。そこはね」と思わずにんまり。五輪を目前に公私ともに充実している?
★まさに日本代表、東京タワーも
丸山は8日に自慢のネイルアートを一新。左手には五輪の舞台となる英国の国旗や、両親のイニシャル「T、K」をあしらった。本人いわく、目玉は右手中指の「東京タワーと東京スカイツリー」。自立式の鉄塔としては世界一の高さを誇るスカイツリーなどを施した理由は「日本を代表する建造物だから」。日本代表への熱い思いは指先にまであふれている。
(紙面から)