アングル:米グーグルがネクサスQを国内製造、「自国回帰」進む
[サンフランシスコ 2日 ロイター] 米グーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)がメディアプレーヤー「ネクサスQ」を中国ではなくシリコンバレーで製造することを決めたのは、損益ではなくスピードを重視したからという。
グーグルでアンドロイド・グローバル・パートナーシップを統括するシニアディレクター、ジョン・ラーゲリン氏は、製造コストは「最優先ではなかった」と話す。「迅速なイノベーションを実現したかった」だけであり「米国内でのモノ作りにこだわったわけではない」と述べた。
米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)など消費者向けエレクトロニクスメーカーはこれまで、競争力強化に向けて、中国への製造移管を積極的に進めてきた。
一方、メーカーの間では最近、製造拠点を自国に戻すという新しいトレンドが広がり始めており、グーグルが今回、米国内の業者と組んだこともこうしたトレンドを反映している。「自国回帰」の動きはもともと中国の人件費高騰をきっかけに生まれたものだが、リードタイム(商品の発注から納品までに要する時間)が短くて済むほか、知的財産権保護も強化できるなど、地元で製造することの利点も注目され始めている。
「ネクサスQ」は、アップルのセットトップボックスなどの製品と比べて値が張るため、販売台数が限られる見通しであることも、グーグルが製造コストの削減をそれほど重要視しない要因となっているようだ。
BGCのアナリストであるコリン・ギリス氏は、「ネクサスQ」の販売台数について、せいぜい10万台程度ではないか、と予想している。
<中国で製造する利点もはや「ごく小さい」>
製造業の「自国回帰」につながっている最大の要因は、やはり、中国の人件費高騰だろう。ボストン・コンサルティング・グループによると、中国の工場労働者の時給は、2000年にはわずか0.52ドルだったが、2015年までには4.51ドルに上昇すると予想される。 続く...