滋賀・大津市男子中2生自殺 「夜回り先生」に話を聞きました。
滋賀・大津市で、いじめを受けていた中学2年の男子生徒が自殺した問題で、大津市はこれまでの調査が不十分だったとして、事実関係を再調査する方針を明らかにしました。
生徒のSOSのサインはなぜ届かなかったのか。
「夜回り先生」としておなじみの、教育評論家・水谷 修氏に話を聞きました。
(生徒に対するアンケートのいじめの目撃証言で、「毎日のようにトイレに連れ込んで殴られていた」、「万引きをさせて、しなかったら殴るけるなどの暴行を加えた」というものがあるが?)
これはね、ちょっと考えてみてください。万引きというのは窃盗、犯罪ですね。殴るけるは暴行罪ですね。
これはもう、このことが書かれた段階で、なぜ学校側は警察に訴えないのか。
これを訴えないということは、犯人隠匿になるわけですし、親告罪ではなくて、これはもう、立派な、知ったら警察に伝えなきゃいけない犯罪なんですね。
(さらに、「昼休みに毎日、自殺の練習をさせられていた」という回答があったにもかかわらず、教育委員会は加害生徒に事実関係を確認していなかったということだが?)
教育的配慮とかいろいろあるんでしょうけれども、その手前でね、アンケートの事実もそうですが、このいじめの実態を担任は知っていた。こう書かれてます。
じゃあ、校長は知っていたのか。学校で生徒指導、僕は生徒指導の教員でした。専門の生徒指導担当は知っていたのか、教育委員会に報告をしていたのか。
じゃあ、何をどう動いたのか、そこまで含めて、きちっとしてほしいし、それもちゃんと報告をしない間に、こういうものが出るということは、もう何をやってるんだと、大津市の教育委員会は、1人の命が本当に失われたのに。怒りしか湧かないですね。
(アンケートには、教師の対応の中に「紙を食べさせられた、首を絞められた、一度先生は注意したけれども、そのあとに一緒になって笑っていた」と。教師としてありえない対応だと思うが?)
これが事実なら、加害者です。教員もいじめていたことになる。
(この場合学校、教育委員会が、今後取るべき対応はどうなってくるのか?)
実はいじめの問題って非常に難しくて、僕は、学校や教育委員会は、この例を見てもわかる通り、もう分析もできなければ、反省もできない、対処もできないですよ。
だって当事者じゃないですか、学校自体も。当事者が当事者を裁いたりとか、正確な判断はできない。
例えば原子力発電所の事故に関しても、第3者機関をきちっと設立する、それを作ればいいんだけど、作らなくても実はあるんです。
いじめというのは、すでに法務省が人権侵害として認定しています。
人権侵害に関しては、人権擁護局というものが動きまして、すべての全国のこの中学校の学区にも、何人かの人権相談員の方がおられて、そこが客観的に判断をして、いじめの事実がどういうものだったか。そこには、例えば刑法犯的な要素があれば、警察に介入していただいたり、速やかにこれ、教育委員会じゃなくて、人権擁護局の方に、人権侵害事案として、きちっと第3者に判断してもらわなければ、何の解決にもならないと思います。
(隠ぺいと取られても仕方のない対応をしてきた学校側だが、そこが実際に第3者の機関を入れて徹底的に調査をするということはあり得るのか?)
これは被害生徒の親が、相談をしてくれればいいし、実は、今もこの事実だけで動けるんです。差別問題であれ、何であれ、人権侵害があった場合には、第3者、僕が訴えることもできる。
僕の方でも連絡します。これは絶対動いていただいて、かつて山形県でもそれでうまく解決した例もあるんでね、動いてもらわなきゃならない。
あともう1つは、僕は加害者、加害者って学校を言っています。加害者ですよ。
だって学校って、最も世界で平和であるべき、安全であるべき場所で、そういうことが日常茶飯事で行われていた。
じゃあ、それを管理していた校長先生、あるいは学校運営に関わってきた教育委員会、教育長にしても校長にしても、自らを処してほしい。
われわれにも責任があったということで、そのうえで、きちっと分析してほしいですね。
次に向けて、繰り返さないように。