太陽電池 発電効率2倍 京大グループ、半導体素子を開発
熱を加えると特定領域の波長の光を放射する半導体素子を、京都大工学研究科の野田進教授や浅野卓准教授、メーナカ・デ・ゾイサ研究員のグループが開発した。太陽電池の発電効率を2倍以上に向上させる画期的な技術といい、英科学誌ネイチャー・フォトニクスで9日発表した。
■加熱すると特定波長の光放射
太陽光にはさまざまな波長が混ざっている。現在使われている太陽電池は1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)付近の波長の光は効率的に発電できるが、他の波長域は効率が落ちるため、エネルギーをむだにしている。
グループは、加熱すると光を放つガリウムヒ素とアルミニウムガリウムヒ素の半導体素子を用いて、素子に微小間隔の穴を開けることで、特定領域の波長の光のみを生成し放射させることに成功した。この素子は10マイクロメートルの光を放射するが、素材を変えれば1マイクロメートルの光も可能という。
野田教授は「素子を太陽光で熱し、放射された光を太陽電池に照射すれば、発電効率が大幅に向上する」と話している。
【 2012年07月09日 15時40分 】