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【外国人登録制度廃止】日本経済支える不法滞在者にも最低限の社会保障適用を 


 日本で暮らす外国人をめぐる法制度が9日から大きく変わった。改正入管難民法などの施行により、60年以上続いた外国人登録が廃止された。合法的に滞在する人は、新たな身分証を交付され、日本人と同じ住民登録に組み入れられる。

 だが、政府による外国人管理が強まり、不法滞在者は最低限の行政サービスさえ受けられなくなる恐れが残る。

 改正法によれば、3カ月を超えて日本に合法滞在する中長期在留者には、法務省入国管理局で「在留カード」が発行され、就労制限の有無などが明記される。韓国・朝鮮籍をはじめとする特別永住者には「特別永住者証明書」が新設される。

 法務省は改正理由を「在留管理のため必要な情報を継続的に把握するとともに、外国人の利便性を向上させる」と説明する。しかし、在日外国人約208万人の大多数を占める中長期在留者にとって、便利になるのは、永住を除き従来3年だった在留期間の上限が5年に延長され、1年以内の一時帰国の際に再入国許可手続きが不要とされることぐらいだ。

 一方、テロ対策を強化する国際的な流れの中で、外国人に対する管理は徹底される。出入国はもちろん、勤務先や通学先に関する情報まで、厳罰を背景に法務省が全て把握できるようになる。住所変更の届け出が遅れただけで、14日を過ぎれば20万円以下の罰金、90日を超えたら在留資格を取り消され、強制送還されかねない。

 さらに厳しい状況に追い込まれるのは、不法滞在者だ。これまで外国人登録証は出ていたが、在留カードは交付されない。公的身分証を失い、就職がますます難しくなる。行政サービスの基盤となる住民基本台帳(住民票)からも排除される。

 法務省は、不法滞在者を減らすことが法改正の目的の一つだから、こうした不利益は当然との姿勢である。ただし政府は、公立小中学校入学や定期予防接種、困窮する妊婦への出産費用助成などの行政サービスについては法令上、不法滞在者も従来通り対象にすると明言している。

 ところが、改正法施行後、不法滞在者はこうしたサービスの対象外になると誤解している自治体が少なくない。市民団体が1~3月、外国人の多い自治体に行った調査によると、例えば予防接種を「居住実態が確認できれば実施する」との回答は17%にとどまり、「住民登録がなければ不可」が46%に達した。このままでは、市区町村窓口で不当なサービス拒否が起きるのは避けられない。

 政府、自治体は中長期在留者の過重な負担にならないよう改正法を弾力的に運用するとともに、労働者として日本経済を支える不法滞在者にも最低限の教育や社会保障は提供するべきだ。そして、新制度で大きな問題が起きれば、3年の見直し期限を待たずに改善しなければならない。(共同通信)

2012/07/09 17:00

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