東電の“安全宣言”と相反する福島第一原発4号機の危険な現状

2012年7月9日 17時30分

5日、福島第一原発事故に関する最終報告書が事故調査委員会によって衆参両院議長に提出され、「事故は、自然災害でなく明らかに人災だった」と結論づけられたことで大きな波紋を呼んでいる。

東日本大震災という自然災害による揺れと津波。だが、事故をここまで拡大させてしまったのは東京電力、および政府の対応に問題があったということだ。

東電は6月25日、水素爆発により原子炉建屋が破損した福島第1原発4号機の耐震性について「問題ない」とする報告書を経産省の原子力安全保安院に提出した。だが、はたしてその報告は信用できるのか。

元東芝・原子炉格納容器設計者の後藤政志氏がこう話す。

「政府は昨年12月、原発事故は収束し、原子炉は『冷温停止状態』にあると宣言しましたが、とんでもありません。損傷が激しい1~4号機は予断を許さない状況が今も続いています。そのなかでも、最も危険なのが4号機。水素爆発で原子炉建屋の屋根は吹っ飛び、壁の一部は崩れ落ち、ひしゃげた鉄骨がむき出しになっています」

震災前から原発の運転停止などを訴えてきた元スイス大使で東海学園大学名誉教授の村田光平氏も、こう続ける。

「4号機の5階には燃料棒など数多くの重たい機材が置かれ、事故直後から復旧作業に当たっている業者の話では、重さは1800tにも及ぶそうです。それらのすべてが、地上30mの5階部分で宙づりになっているのが現状。しかも下層部は事故で耐震強度が弱まっている。もう一度大地震が来れば、建物の崩壊は避けられません」

万が一、4号機建屋が崩壊したらどうなるのか。村田氏は「被害は東日本だけにとどまらない」とみる。

「実は、4号機から50mほどの場所に1号機から6号機の共有の使用済み核燃料プール(「共用プール」)があり、そこには6375本もの燃料棒が保管されています。至近距離にある4号機建屋が崩壊すると、その影響で共用プールの冷却機能が停止するなど深刻なトラブルにつながりかねない。そうなれば膨大な量の放射能が放出され、日本に住めなくなるのみならず、地球規模の大惨事に発展する危険性も否定できません」

想定外の事態を予測できない東電の“安全宣言”など、鵜呑みにはできない。

(取材/興山英雄、有賀 訓)

■週刊プレイボーイ30号「福島第一原発4号機燃料プールの綱渡りな現状!」より

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