「1人娘の自殺はいじめが原因」 東京地裁、両親の訴えを棄却
「1人娘の自殺は学校でのいじめが原因だった」として、国などを相手取り、埼玉・北本市の中井紳二さん・節子さん夫妻が損害賠償を請求した裁判。9日午後に言い渡された注目の判決に、節子さんは声を詰まらせた。
2005年、当時中学1年生だった1人娘の佑美さんは、登校途中にマンションから飛び降り自殺した。
佑美さんの机からは、母親宛ての手紙が見つかり、その中には、自殺の動機が、クラスの一部の生徒によるいじめとも受けとれる一文が記されていた。
手紙には「死んだのは、学校の美術部のみんなでも、学校の先生でもありません。クラスの一部に勉強にテストのせいかも」とつづられていた。
両親は、この手紙が佑美さんの遺書であると主張したが、学校側や市は「遺書ではない」とし、その後、全校生徒を対象に行ったアンケート調査でも、「いじめはなかった」と結論づけていた。
しかし、紳二さんは2006年11月、このアンケート調査について、「アンケート調査をするといっても、結局、一般的なアンケートで、『学校は好きですか?』とか、『今、困っていることはありますか?』とか、一般的な話であって、うちの子の名前を出さずのアンケートなんですよ。だから、そんな中でアンケートをやったって、(情報が)出てくるわけがない」と語った。
両親は、アンケート調査の手法そのものを疑問視した。
また、学校などが、いじめ防止の義務を怠ったなどとして、市や文部科学省を相手取り、あわせて7,600万円を損害賠償を求める訴えを起こした。
そして迎えた9日の判決。
東京地裁は、「自殺の原因となる行為を受けていたとは認められない。いじめの事実を隠蔽したという事実はない」と、両親の訴えを棄却した。
佑美さんが残した遺書については、文面に、勉強やテストという事柄が列挙されていることなどから、「結局は、さまざまな要素が原因と推察するほかない」と、いじめが自殺の直接の原因であると認めなかった。
また、両親が疑問視していたアンケート調査についても、佑美さんが自殺して、すぐに行われたことなどから、「いじめに関する事実を記入することが、十分に期待できる」としている。
判決を受け、母・節子さんは「本当に残念な結果になりました。佑美に報告ができない。残念です」と語った。
そして、紳二さんは「いじめというのは、複合的要素が多くて、例えばコップの水がだんだんたまっていって、最後の1滴があふれて自殺に至るということがあると思うが、裁判所の判断というのは、その1滴をとらえて、『それは、死ぬほどのいじめではない』と。非常に残念な結果だと思います」と語った。