第12-15-251号
掲載日:2012年 7月 4日
独立行政法人情報処理推進機構
技術本部 セキュリティセンター
IPA (独立行政法人情報処理推進機構、理事長:藤江 一正)は、2012年6月および2012年上半期のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況をまとめました。
(届出状況の詳細PDF資料はこちら)
1. 今月の呼びかけ
「 フィッシングに注意するとともに、自分が加害者にならないよう気をつけよう! 」
〜 不正アクセス禁止法が改正されました 〜
最近、“海外のウェブサービスのパスワードが大量に流通している”との報道がありました。一方、国内の企業においても、インターネット利用者の多くが複数サイトで同じIDとパスワードを使いまわしている状況に目を付けて、不正に取得したIDとパスワードのリストを悪用して不正アクセスを試みる、「パスワードリスト攻撃」が確認されています※1。
今年3月に不正アクセス禁止法が改正され、5月に改正法が施行されたことにより、パスワードを不正に取得・保管・提供する行為や、騙してパスワードを窃取しようとする行為(フィッシング)も取り締まりの対象になりました。
自分のパスワードも狙われているという現実を知るとともに、改正法を理解することで、 自分の身を守るだけではなく、他人のパスワードの取り扱いにも気を配って、社会全体で犯罪を抑止しましょう。
※1 警察庁 - 平成23年中の不正アクセス行為の発生状況等の公表について
(ここでは「不正ログイン攻撃」として紹介されています)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h23/pdf040.pdf
図1-1:フィッシング手口「サイト構築型」と「メール送信型」のイメージ図
図1-2:「サイト構築型」フィッシング被害の一連の流れのイメージ図
図1-3:「送信プログラム添付型」の例
|
|
図1-4:Internet Explorerでの表示例(青色)
図1-5:Internet Explorerでの表示例(緑色)
図1-6:Internet Explorerでの表示例(青色)
図1-7:Internet Explorerでの表示例(緑色)
6月のウイルスの検出数※1は、21,990個と、5月の20,236個から8.7%の増加となりました。また、6月の届出件数※2は、958件となり、5月の970件から1.2%の減少となりました。
※1 検出数 : 届出にあたり届出者から寄せられたウイルスの発見数(個数)
※2 届出件数: 同じ届出者から寄せられた届出の内、同一発見日で同一種類のウイルスの検出が複数ある場合は、1日何個検出されても届出1件としてカウントしたもの。
・6月は、寄せられたウイルス検出数21,990個を集約した結果、958件の届出件数となっています。
図2-1:ウイルス検出数
図2-2:ウイルス届出件数
6月の不正プログラムの検出数※1は、25,399個と、5月の80,999個から68.6%の減少となりました。
検出数の1位は、オンラインバンキングのID/パスワードを詐取するBancosで5,417個、2位は、偽セキュリティソフトの検知名であるFakeavで3,897個、3位は、広告を表示させるプログラムの総称であるAdwareで2,190個でした。※1 検出数 : 届出にあたり届出者から寄せられたウイルスの発見数(個数)
※ ここでいう「不正プログラムの検知状況」とは、IPAに届出られたものの中から「コンピュータウイルス対策基準」におけるウイルスの定義に当てはまらない不正なプログラムについて集計したものです。
※ コンピュータウイルス対策基準:平成12年12月28日(通商産業省告示 第952号)(最終改定)(平成13年1月6日より、通商産業省は経済産業省に移行しました。)
「コンピュータウイルス対策基準」(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/CvirusCMG.htm
図2-3:不正プログラムの検知件数推移
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 届出(a) 計 | 8 | 13 | 5 | 9 | 10 | 2 | |
| 被害あり(b) | 7 | 9 | 4 | 7 | 6 | 2 | |
| 被害なし(c) | 1 | 4 | 1 | 2 | 4 | 0 | |
| 相談(d) 計 | 35 | 37 | 54 | 46 | 50 | 38 | |
| 被害あり(e) | 9 | 14 | 10 | 9 | 17 | 12 | |
| 被害なし(f) | 26 | 23 | 44 | 37 | 33 | 26 | |
| 合計(a+d) | 43 | 50 | 59 | 55 | 60 | 40 | |
| 被害あり(b+e) | 16 | 23 | 14 | 16 | 23 | 14 | |
| 被害なし(c+f) | 27 | 27 | 45 | 39 | 37 | 26 | |
6月の届出件数は2件であり、それら全てが被害のあったものでした。
不正アクセスに関連した相談件数は38件であり、そのうち何らかの被害のあった件数は12件でした。
被害届出の内訳は、なりすまし1件、不正プログラム埋め込み1件、でした。
「なりすまし」の被害は、オンラインゲームに本人になりすまして何者かにログインされ、サービスを勝手に利用されていたものが1件でした。
「不正プログラム埋め込み」の被害は、バックドア※を埋め込まれてスパムメール配信に悪用されていたものが1件でした。
バックドア(backdoor)※:コンピュータへの侵入者が、侵入成功後にそのシステムに再侵入するために準備する仕掛け。いわゆる「裏口」の侵入経路
| 事 例 |
|
|---|---|
解 説 ・ 対 策 |
パスワードを破る手段として、総当たり攻撃※などのように、ある程度時間のかかる方法の場合、一旦パスワードを変更してしまえば、再度破るにしばらく時間がかかるはずです。 |
総当たり攻撃※:何らかの規則にしたがって文字の組み合わせを総当りで試行する、いわゆる力ずくの攻撃方法
| 事 例 |
|
|---|---|
解 説 ・ 対 策 |
バックドアを仕込まれた場合、目に見える被害(今回はスパムメール配信の踏み台)以外にも何をされているか不明と言えます。ルートキット※を仕込まれた場合に限らず、パソコンにウイルス感染したウイルスは駆除ツールなどでは検知できない場合があるので、パソコンの初期化も検討してください。
|
ルートキット(rootkit)※:攻撃者がコンピュータに侵入した後に利用するためのソフトウェアをまとめたパッケージのこと。一般的には、ログ改ざんツールやバックドアツール、改ざんされたシステムコマンド群などが含まれる。動作中のプロセスやファイル、システム情報などを不可視化し、これらツール群の存在が利用者に察知されないようになっていることが多い。
6月のウイルス・不正アクセス関連相談総件数は1,097件でした。そのうち『ワンクリック請求』に関する相談が319件(5月:243件)、『偽セキュリティソフト』に関する相談が10件(5月:21件)、Winny に関連する相談が3件(5月:3件)、「情報詐取を目的として特定の組織に送られる不審なメール」に関する相談が1件(5月:3件)、などでした。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 合計 | 1,302 | 1,073 | 772 | 750 | 934 | 1,097 | |
| 自動応答システム | 760 | 645 | 427 | 428 | 490 | 578 | |
| 電話 | 485 | 362 | 287 | 270 | 363 | 439 | |
| 電子メール | 49 | 62 | 49 | 50 | 78 | 79 | |
| その他 | 8 | 4 | 9 | 2 | 3 | 1 | |
(備考)
IPA では、「情報セキュリティ安心相談窓口」を開設し、コンピュータウイルス・不正アクセス、Winny 関連、その他情報セキュリティ全般についての相談を受け付けています。
| メール | (これらのメールアドレスに特定電子メールを送信しないでください) |
| 電話番号 | 03-5978-7509 (24時間自動応答、ただし IPA セキュリティセンター員による相談受付は休日を除く月〜金、10:00〜12:00、13:30〜17:00のみ) |
| FAX | 03-5978-7518 (24時間受付) |
「自動応答システム」 : 電話の自動音声による応対件数
「電話」 : IPA セキュリティセンター員による応対件数
合計件数には、「不正アクセスの届出および相談の受付状況」における『相談(d) 計』件数を内数として含みます。
図4-1:ワンクリック請求相談件数の推移
| 相談 | 私の利用しているフリーメール宛てに、友人から件名は空欄で本文にURLだけが貼ってある不審なメールが届いた。友人が「写真か何かを送ったのだろう」と思いそのURLをクリックしてしまった。ウイルスに感染してしまったでしょうか。 |
|---|---|
| 回答 | 不審なメールが届いたとの事ですが、送信者を知っているなら最初に直接、送信の有無を確認して下さい。ウイルス感染の可能性については、まずご利用のウイルス対策ソフトを最新の状態にし全体をスキャンして下さい。また他社製品のオンラインスキャンを併用するなど多角的にスキャンをして下さい。ウイルスが見つかった場合ウイルス対策ソフトでも削除可能ですが、万一を考えるとWindowsであれば「システムの復元」や「パソコンの初期化」をして下さい。 今後の対策として不審なメールが届いても、安易にURLをクリックしたりしないようにして下さい。 (ご参考)
|
| 相談 | スマートフォンを安全に使うための六箇条:「Aスマートフォンにおける改造行為を行わない。」 これは、具体的にどのような改造行為のことですか。 |
|---|---|
| 回答 | 「スマートフォンにおける改造行為」とはメーカーや携帯会社で元々設定していた権限を改変し、正規ではないOSを入れること等により、これまで出来なかったアプリの導入や操作を実現するような行為のことです。いわゆるiPhoneなどiOS端末における「Jailbreak」やAndroid端末における「root権限奪取行為」などのことを指します。 |
一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター:http://www.jpcert.or.jp/
@police:http://www.cyberpolice.go.jp/
フィッシング対策協議会:http://www.antiphishing.jp/
株式会社シマンテック:http://www.symantec.com/ja/jp/
トレンドマイクロ株式会社:http://jp.trendmicro.com/jp/home/
マカフィー株式会社:http://www.mcafee.com/japan/
株式会社カスペルスキー:http://www.viruslistjp.com/analysis/
独立行政法人 情報処理推進機構 技術本部 セキュリティセンター
TEL:03-5978-7591 FAX:03-5978-7518
E-mail:
(このメールアドレスに特定電子メールを送信しないでください)
URL:http://www.ipa.go.jp/security/
| 2012年 7月 5日 | 「今月の呼びかけ」文章修正 |
|---|---|
| 2012年 7月 4日 | 掲載 |