写真展:「慰安婦」テーマ、中止覆し開幕 問われる「表現の自由」

毎日新聞 2012年06月28日 東京夕刊

 「慰安婦」のテーマをめぐり、会場運営側が写真家に中止を通告していた写真展は26日、東京都新宿区の新宿ニコンサロンで、当初の予定通り始まった(7月9日まで)。名古屋市在住の韓国人写真家、安世鴻(アンセホン)さん(41)の個展「重重 中国に残された朝鮮人元日本軍『慰安婦』の女性たち」。初日には開催に抗議する団体の怒号も飛び交い、改めて「表現の自由」が問われた。

 出品写真は、モノクロ37点。大戦当時、日本軍の慰安婦だったという女性たちの現在を収める。自宅や畑にたたずむ姿、曲がった背中や深く刻まれた顔のしわ−−。つらそうにゆがんだ表情や、裕福ではない暮らしが伝わる写真もあるが、全体としては感情を抑制した作品になっている。被写体や撮影地の説明は掲示せず、見る側に多くを委ねる展示構成だ。安さんは「70年間、精神的・肉体的に苦しんできた女性たちの悲しみを考えてほしい」と話す。

 会場を運営するニコンは公募形式を採っており、作家らが提出した写真を運営委員が選考、個展開催の可否を決める。今回は開催を告知した後に中止を通告するという異例の展開に。安さんは中止決定を無効とする仮処分を東京地裁に申請し、今月22日に認められた。ニコンは異議を申し立てたが決定を受け入れ、同展は開幕した。

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