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今回は、長いです。頑張りました。

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七話 紅い蟷螂
 ヒャッホォォォォォウ!!!

 異世界生活八日目だ!
 テンションが無駄に高くてうざいって!?
 あと五日、日付が違わないかって!?
 それにはもちろんワケがある!
 なんと、四日目の天気は―――雨だったのだ!
 なんで雨上がりでこんなにテンションが上がるか?
 それは、昨日は家(洞窟)から出られなかったからだ!雨のせいで。
 
 雨ぐらいで引きこもるな、ってか?
 残念ながら、そう考えている奴は重要なことを一つ忘れている。

 そうそれは―――ここが異世界というところだ。

 早めに気づいてよかったよ。本当に。
 だって、洞窟から出ようと思ったら、なんか地面から煙出てるもん溶けてるもん。
 ちなみに、植物は大丈夫。進化の果てに、耐性でも見つけたんだろう。
 一応実験で、【鋼糸生成】で作った鋼糸を、洞窟の外にはなってみた。
 まさに恐怖、五秒で消えてなくなるとは思わなかった。
 酸性雨、というか猛酸雨ってかんじかな。

 とまあ、こんな感じでほぼ一週間一歩も洞窟から出られないまま、飯も無しに過ごしていたってわけだ。
 雨止んでも、水たまりとか少し残ってるし。
 だからもう、腹が減って減って、早く何か食わないと多分死ぬ。
 昔テレビで聞いた。大型の生物は、餌を食べ続けないと死ぬって。
 俺なんか、やたらとデカイ体だし。異世界とはいえ、世界の法則が違うということはないだろう。

 さあ、いそいで何か飯を食わなければ!



          *



 ふう、とりあえずゴブリン部隊が、二個ほど見つかり、なんとか餓死からは逃れられた。
 ちなみに、内訳は、

・『緑鬼隊長(ゴブリンリーダー)』 二匹
・『緑鬼小僧(ゴブリン)』 三匹
・『緑鬼魔術師(ゴブリンウィザード)』 一匹

 という感じだ。
 今回は、部隊の中に魔術師が入っていた。 
 なんでわかるか?呪文唱えて火の球出てきたら、魔術師以外ねえだろ。
 全く熱くなかったけど。
 とにかく、『緑鬼隊長(ゴブリンリーダー)』も二匹手に入ったし、早速いただきます。

 うん!安定した旨さだ!
 
 さて、お次は『緑鬼魔術師(ゴブリンウィザード)』。
 一体しかいないので、噛み締めて食べる。

 うん、実に美味だ。
 やっぱり後方援護職のせいなのだろうか、歯ごたえがあまりない。
 でも、このやわらかさはクセになるかもしれない。
 あと、なんか体の中で何かが満たされる感じがするし。

 さあ、次はどこに行こうか?



          *



 そして俺は着いた―――屍街道(俺命名)に。
 ああもちろん最初に、人の死体を見つけた場所ね。
 本当に懐かしい。
 あの時、ここにあった死体が持っていた剣のおかげで、今俺はここにいられるのだから。
 あの時、この人が居なかったら、俺は【鋼糸生成】を手に入れることができず、『緑鬼小僧(ゴブリン)』に食われて、その短い人生(虫生?)を終わらせていただろう。
 とりあえず、お供え物として森の奥の方にあった、綺麗な花を添えておく。
 本当に綺麗なんだよな、この花。
 なんかキラキラしてるし、光ってるし。
 ちなみに、味は中々の物。噛めば噛むほど、甘味が出てくる。
 
 黙祷を捧げたあと、しばらく探索すると、新たな死体が見つかった。
 ちなみ男で、死んでから二日くらいかな?あんまり腐敗は進んでない。
 少し痩せているが、なかなかでかいカバンを持っている。
 勝手にカバンの中を探るのもなんだが、死んでるしまあいいだろう。

・割れたビンの欠片
・中身の詰まったビン
・鉄製のカード
・数冊の本
・小さな綺麗な結晶(複数)
・色とりどりの葉っぱ
・少しかじられた『ドクレシア』

 ・・・また毒死か。
 道理で、死体あさりがこないわけだ。この花食べた奴は猛毒だし。
 それにしても、何故この色を見て食べようとするのだろう。
 顔は、なかなか理知的なのに。
 
 まあ、すぎたことをいつまで言っていてもしょうがない。
 持ち物の詳細でも確認するとしよう。

 最初の品は、割れたビンの欠片。
 うん、ビンの欠片だ。特に無し。

 次、中身の詰まったビン。
 こちらは、少しヒビが入っているが、中身はこぼれていないみたいだ。
 少し飲んでみる。
 
 ゴクゴク、プ八ァ!

 風呂上りにこれ一本!―――って全部飲んじゃったよ!
 まあ、美味かったししょうがないよね。
 
 次、鉄製カード。
 前のやつも持っていたな。身分証明書かなんかかな?しまっておく。

 次、数冊の本。
 中身をパラリ。
 ・・・だめだ。読めない。
 やっぱり世界が違うと文字は読めないか・・・こーゆう時って自動翻訳機能とか或もんだと思ったけど。
 ほかのやつも、同じ感じ。ちなみに挿絵は無し。
 ラノベファンにはきついぜ!

 次、色とりどりの葉っぱ
 いろんな色がある。
 なんとなく、ひとかじり。ムシャ。
 ・・・苦い。
 
 次、小さな綺麗な結晶(複数)
 見たまんま、色とりどりの指先ぐらいの大きさの小さな綺麗な結晶。ちなみにカバンの中は、ほとんどこれで埋まっている。
 種類別にすると、赤五十個 緑三百二十五個 青四十個 黄色六十個だった。
 なんか、めっちゃ緑色があるんだけど。
 とりあえず、たくさんあるので、黄色を一個食べてみる。

 パキパキ、ガリガリ。

 ちょっと、甘い、そして硬い。
 う~ん、甘辛せんべいみたいな感じか?硬いけど。
 スナック感覚、他のもポリポリ―――はっ、いつの間にか半分以上も食べてしまった。
 やっぱり、スナック菓子と似ている感じのせいか、食べるのをやめられない。
 そういえば、人間だったころも少し食べたらやめようと思っても、結局全部食べてしまったのはいい思い出だ。
 最後の一つ!と自分に言い聞かせ、一色ずつ食べる。

『 能力(スキル)電子操作(エレクトロマスター)】を、獲得しました 』

『 能力(スキル)万象発炎(パイロキネシス)】を、獲得しました 』

『 能力(スキル)【水流操作】を、獲得しました 』

『 能力(スキル)瞬間治癒(ハイパーヒーリング)】を、獲得しました 』

 えっ、なにこれ、こわい。
 まさか、いままで食べてたのって魔法石か何かなの?
 てか、魔法ってあるの?いや、実物をもう見たか、あんまり熱くなかったけど。
 ステタス、ステタス。


―――――――――――――――――――――――――

《種族》  鋼装巨蟲アイアントキャタピロス・異常種

能力(スキル)》  【絶対捕食】【同属吸収】【麻痺耐性】【粘糸生成】【鋼糸生成】【猛毒耐性】【鋼装強化】【超突猛進】【疾風怒濤(ドランク・トランク)】【覇激連突】【電子操作(エレクトロマスター)】【万象発炎(パイロキネシス)】【水流操作】【瞬間治癒(ハイパーヒーリング)

《称号》  【輪廻異常者】 【不釣り合いな魂】 【罪を背負う者】 【屍喰い】【鬼殺し】【罠師】【下克上】

《加護》  無し

《祝福》  無し

―――――――――――――――――――――――――

 色々増えてるな。
 説明は・・・。


電子操作(エレクトロマスター)】:とても貴重な雷の属性の精霊石を大量に食べたせいで、体が雷属性を得たよ。雷属性の耐性と雷を自由自在に使えるようになったよ。本当に食べるなんてもったいない。

万象発火(パイロキネシス)】:とても貴重な炎属性の精霊石を大量に食べたせいで、体が炎属性を得たよ。炎属性の耐性と炎をあらゆる場所から出せるようになったよ。本当に、本当に、もったいない。

【水流操作】:とても貴重な水属性の精霊石を大量に食べたせいで、体が水属性を得たよ。水耐性と水を操ることができるよ。どんだけ貴重かわかってる?

瞬間治癒(ハイパーヒーリング)】:とても貴重な治癒属性の精霊石を大量に食べたせいで、体が治癒属性を得たよ。自分の怪我や病気なら一瞬で治せるよ。これら一個で、平民一人の年収に匹敵するんだよ。

 
 なかなか、いい能力(スキル)ばかりじゃないか。説明はあいも変わらずうざいけど。
 わかってるよ。貴重なのはわかったから、そんなに念をおさなくてもわかったから。

 余った精霊石は、カバンの中に。高いもんらしいしね。それより、そんな貴重なものをなんでこいつが大量に持っているのかが凄く気になるけどね。

 早速効果検証。
 森の中では、被害がでかいので川原に移動。

 最初は、【電子操作(エレクトロマスター)】。
 的は、そのへんにあった流木。
 えいっ!

 バババッ!ドカーン!

 真っ直ぐに流木に向かった雷は、いともあっさり流木を撃ち抜き、その先にあった水たまりで水蒸気爆発を起こした。
 えっ、強すぎね?
 的は、あまりの電圧に黒焦げだし、爆発のせいで川原吹っ飛んでるし。
 うん、こんなん生命体に使ったら、即消し炭になるな。
 ということで、封印決定。折角遠距離攻撃ができるようになったと思ったのに・・・。

 さあ、次は【万象発炎(パイロキネシス)】だ!嫌な予感は気のせいだと信じたい。
 的は流木だと燃えそうなので、でかい石。
 そいやっ!

 ボウッ!

 白い炎が一瞬立ち上がり、消えた。
 ・・・まさかのこれだけ?一瞬しかついてなかったじゃん。
 と思ったら、石が溶けていた。
 あれか、あまりの熱量に酸素が一瞬で燃え尽きて消えたってか。
 ・・・これも、封印だな。これで肉を焼けると思ったが、一瞬で食料が灰になりかねない。
 ちなみに、効果範囲は自分が知覚できる場所。つまり目に見えない場所は無理。
 うう、もうちょっと使い勝手がいいやつが欲しい・・・。

 最後、【水流操作】。えっ【瞬間治癒(ハイパーヒーリング)】?いやあれ使おうと思っても、この体全く傷つかないし。自分でも傷つけようがないし。
 最後の的は、やたらと硬そうな岩。
 川原から、水を操って・・・ショット!

 バカーン!

 川から放たれた水の弾丸は、岩を木っ端微塵に砕いた。
 次は・・・ウォーターカッター!

 スパン!

 水の刃は、いとも簡単に残った岩を切り裂いた。
 う~ん、一番ましなのはこれか?威力調整は、一番簡単そうだし。
 ちなみに、水は空気中の水分を集めて作ることもできるみたいだ。便利。
 
 これで実験は終了。
 そろそろ暗くなってきたし、帰るか。

 カバンを拾い、自分の住処に帰る。いちおう、中身は貴重らしいし。
 もし人間と(もちろん生きている)出会った時に、何らかの取引で使えるだろう。
 日が暮れそうなので、【疾風怒濤(ドランク・トランク)】を使い、いそいで帰る。
 あんまり速度は変わらないが、ないよりはましだろう。
 
 
 
          * 



 家に帰ると、誰かが俺の家の中に入り込んでいた。空き巣?そんな珍しいもんは置いてないけどな。
 こちらが外にいるのに気づいたのか、そいつは出てきた。

 それは、人間でなく。―――カマキリだった。

 しかし、ここが異世界であることを忘れてはいけない。
 全長二メートル。
 紅い体に――刃渡り二メートルはあるだろうか――大きな紅い鎌が―――四本。
 俺に比べれば、遥かに小さな敵だが、その小さな体からは考えられないほどの威圧感が漂っている。
 これは・・・強敵だ。
 かばんを下ろし、戦闘態勢を整える。
 紅いカマキリ―――『紅鎌蟷螂(クリムゾンマンティス)』もその大きな鎌を振り上げる。
 
 
 
 ―――戦いが始まった。











 ・・・まさか、こんなことになるとは・・・。

 そこにあるのは、頭だけ綺麗に消滅した『紅鎌蟷螂(クリムゾンマンティス)』。ちなみに、体はまだピクピク動いてる。
 あのあと、俺は速攻で【電子操作(エレクトロマスター)】を発動し、『紅鎌蟷螂(クリムゾンマンティス)』を殺した。
 卑怯?だって強そうだったし。持てる力を持って戦っただけだ。俺は何も悪くない。

 それにしても、丁度よかった。
 さっきまでしていた練習のせいか、少し腹が減っていたのだ。
 早速、いっただっきマース!

 バリバリ、ムシャムシャ。

 ・・・こ、これは!
 なんという、美味さ!
 少し硬い外骨格となかのプリプリの甘い身がなんとも言えない感じを表現する。
 中の身は味は濃い目だが、味が薄い外骨格と合わせるとちょうどいい感じの味になる。
 食べ物で表現すると・・・そう!サクサクの揚げたてエビフライだな!
 いや~思わぬ儲けものをしてしまった。今日は本当に良い日だ。
 そう思い、最後の鎌をバリバリと食べる。
 すると、頭にまた、アナウンスが響いた。

『 能力(スキル)【同属吸収】が、発動しました 』

『 能力(スキル)【大鎌生成】を、獲得しました 』

『 能力(スキル)【首狩り】を、獲得しました 』

『 能力(スキル)【四刃乱舞】を、獲得しました 』

『 能力(スキル)【高速移動】を、獲得しました 』

『 能力(スキル)【強靭なる生命力】を、獲得しました 』

『 能力(スキル)【威嚇叫声】を、獲得しました 』

『 能力(スキル)【無音殺害】を、獲得しました 』
 
 おう、いきなりの情報量に頭がパンクしそうだ。
 どうやら、【同属吸収】が発動したみたい。存在忘れてた。
 それにしても、本当に大量の能力(スキル)が手に入った。まだあるみたいだし。
 まあ、今日はもう疲れたし、確認は明日にして寝るか。

 そして、俺は睡魔にその体を任せた。


『 レベルが一定の量に達しました 』

『 【山地蹂躙】【一撃必殺】【巨大化】【森王殺害】【複数属性】【傷つけられぬ鋼鎧】などの条件を満たしているので、混沌百足(カオスセンチビートル)・異常種に存在進化(ランクアップ)できます 』

『 存在進化(ランクアップ)しますか? 』

    【YES】or【NO】

『 ****により、強制的に、【YES】が、選択されました 』

『 存在進化(ランクアップ)を開始します 』










 だから俺の意志は!?
まさかの、一撃死!
サブタイトルにもなってるんだから、もうちょっと頑張ってくれたほうがよかったかな・・・?

ちなみに、主人公は口にくわえるか、トリモチロープで持ち物を運んでいます。
後は、体の棘に引っ掛けるくらいですかね。

訂正
・最初のほうの日付を変更しました
・色とりどりの葉っぱについて追加しました
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