« スカンディア@関内 | Main | らーめん木尾田@本八幡 »

Sunday, 18 January 2009

オリヂナル・ジョーズ@関内

Joes2浜には老舗のレストランが数多く存在しますが、その中でもお気に入りのお店の一つが関内にある「オリヂナル・ジョーズ」です。創業は1953年と今から半世紀以上も前に遡ります。その歴史や風格で日本のイタリアン界で燻し銀のような存在感を示すお店で、関東で最も古く全国でも二番目に古い歴史を持つというイタリア料理レストラン。東京で歴史のあるイタリアンと言えば、青山にある「アントニオ」を思い浮かべますが、アントニオさんが日本で最初にイタリアンを始めたのは青山ではなく神戸です。ちなみに神戸でのアントニオ創業は1944年と、横浜のオリヂナル・ジョーズよりも古いわけですが、そうなると日本で一番がアントニオで、二番目がオリヂナル・ジョーズ。アントニオの東京への進出は1953年以降、ということになるのでしょう。

 いずれにしても日本にイタリア料理がやってきたのは意外にも最近で、60年程前のことになります。奇しくも当時は第二次世界大戦の真っただ中。先の大戦で大日本帝国とイタリア王国は同盟国(ここにナチスドイツが加わり日独伊三国軍事同盟を形成していました)でしたので、神戸港にはイタリアの船が入港していました。イタリアの輸送艦カリテア号は日本の軍事行動の支援部隊として、物資輸送に従事している船でした。しかし1943年9月、イタリアの無条件降伏によりその活動はストップ。乗組員150人は船から降りて日本軍の捕虜に成らざるを得ませんでした。その乗組員たちがその後日本で伝えたのがイタリア料理なのです。アントニオの創始者、アントニオ・カンチェーミ氏を始め、宝塚の「アモーレ・アベーラ」創始者であるオラツィオ・アベーラ氏、三宮の「リストランテ・ドンナロイヤ」創始者、ジュゼッペ・ドンナロイヤ氏も皆カリテア号の乗組員だったのだそうです。

 この60年という長いようで短い期間、神戸や横浜といった港町を起点に、戦後の日本の復興と共にイタリア料理は日本人に愛されて発展してきたのです。街にはイタリア料理専門のファミリーレストランなどが数多く存在し、ピッツァに至っては出前までやっています。僕たちの生活で今やスパゲッティやピッツァがない食生活は考えにくいでしょう。そのきっかけに戦争があったというのは、なかなか興味深いものがあり、そう考えながらパスタやピッツァを食べるとまた違った味わいがして来るような気がします。

 さて「オリヂナル・ジョーズ」に話を戻しますと、こちらは創業当初は山下町の方で営まれていたようですが、現在の場所に移転して来たのは1967年だそうです。といってももう40年以上現在の場所で営業をされているのですね。関内の桜通りに朧げに漏れる店内の優しい灯りと赤い天幕。ひっそり街並に馴染むこの店の佇まいは、まるでニューヨークのダウンタウンの路地裏にある小さなイタリアンレストランのよう。どっしりとした木の扉を入れば、初老のホールスタッフの方がすっとやってきて人数を確認し、コートを素早く預かってくれます。そしてちょっと固めの赤い革張りのボックスシートに腰を掛ければ、半世紀の時代を超えて古き良き横浜の情景が浮かんできます。ギンガムチェックのクロスの上に真っ白いテーブルクロス。卓上のシルバーをきちっと並べ直し、キャンドルに火を灯す。一昔前、町中のレストランでは普通にあった光景が、今でもこのお店にはしっかりと受け継がれて残っています。

Joesp 前菜やパスタ、メインをプリフィクスで選ぶコースも4,200円と安くて使いやすいですが、アラカルトをいくつか適当に取って、ワインなどと共にシェアしてワイワイとつまむのが、この店らしい楽しみ方のようにも思います。エスカルゴのオーブン焼きや、オニオングラタンスープなどスペシャリティは数あれど、やはりこの店で食べて頂きたいのは創業当時から変わらぬレシピで提供される「ミックスピッツァ(写真)」(1,630円)でしょう。柔らかい食感を持つ生地のいわゆるパンピザではなく、薄くてカリッとした食感の生地がたまりません。たっぷりのチーズに茸の他、自家製のソーセージやサラミもたっぷりと入っています。

Joesm2 また、数あるパスタの中でも「スパゲティマリナラ」(1,470円)もこの店ならではのオリジナル。マリナラとは簡単に言えばトマトとオリーブオイルを使って作るトマトソースのこと。ミートソースよりもさらっとした味わいは主に魚介素材とよく合わせられますが、そもそもマリナラという言葉は「船乗り風」という意味ですから、それもうなづけるというものです。こちらの場合はプリプリの海老とマッシュルームがたっぷりと入り、アンチョビを隠し味に使って全体的に甘めに仕上げています。ピッツァもパスタもどちらもポーションとしては通常の1人前程度ですので、この他に前菜かサラダ、メインを1品ずつ取って、2人でシェアすればちょうどいいお腹になるのではないでしょうか。メインのお薦めはいくつもありますが、この日は「仔牛肉のカツレツチーズ焼き(写真)」(2,100円)をチョイス。程よい酸味のトマトソースがカリッと揚がったカツレツに合っています。

 気軽に使えるお店ですので、小さなお子さん連れでも問題なく利用出来ると思います。また、基本的に予約無しでも入れますが、週末夜などは混雑していますので予約をした方が無難でかつスマートです。また、予約時にお願いするとグラスワインもしくはソフトドリンク(炭酸、ペリエを除く)をサービスして下さいます。

Joes■イタリアン:オリヂナルジョーズ
神奈川県横浜市中区相生町3-60泰生ビル1F
045-651-2315
平日 17:00〜22:00(21:15LO)
土曜 11:30〜22:00(21:15LO)
日曜 11:30〜15:00,17:00〜21:00(20:15LO)
無休(年末年始を除く)

|

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/56002/43789450

Listed below are links to weblogs that reference オリヂナル・ジョーズ@関内:

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)