関西電力は9日、大飯原発3号機(福井県おおい町、118万キロワット、加圧水型軽水炉)の原子炉が同日午前1時ごろ、フル稼働に達したと発表した。昨年3月の東京電力福島第1原発事故後、定期検査で停止した国内の原発が運転を再開し、フル稼働するのは初めて。これを受け、8月の関電管内のピーク時における電力不足は14.9%から9.2%へ縮小する見込み。
政府はフル稼働を確認した上で、2010年夏に比べた関電管内の節電目標を15%から10%に緩和する。関電への電力融通を見込んで5%の目標を設けた中部、北陸は4%に、同様に5%の中国は3%に引き下げる方針だ。
関電は8日夕、3号機の海水取水口付近でクラゲが大量発生し、電気出力が約1.7%低下したと発表したが、同日夜までにクラゲは減り、出力は回復した。
大飯3号機は1日夜に約1年3カ月ぶりに起動し、翌2日早朝に核分裂の連鎖反応が持続する臨界に達した。5日に関西などへの送電を始めた後、段階的に電気出力を上げ、8日までに100%に達していた。
8日の検査で問題はなく、さらに1次冷却水中のホウ素濃度を下げて加熱し、原子炉がフル稼働する「定格熱出力一定運転」に到達。これで3号機は、本格運転と同じ状態で送電しながら、検査を続ける「調整運転」の段階に入った。
今後、約1カ月間、原子炉の安定状態などを確認して経済産業省原子力安全・保安院の最終試験に合格すれば定検が終わり、正式に「営業運転」となる。
関電は大飯4号機でも再稼働準備を進めており、早ければ18日に起動し、25日以降にフル稼働する。〔共同〕
関西電力、東京電力
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