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在留資格がない子どもの通学は? 新制度の運用控え、学校現場に不安の声/神奈川

2012年6月28日

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 外国人登録制度の廃止などを含む、新たな在留管理制度の開始まで2週間を切る中、学校現場では不安の声が絶えない。国は、学齢期であれば、在留資格にかかわらず子どもを学校に受け入れることを明言するが、その具体的な方法は示されていない。県内でも特に外国人が多く生活し、在留資格がない子どもがいる可能性がある横浜市心部では喫緊の課題だが、横浜市教育委員会から各校長への説明は、ようやく今月中旬に始まったばかり。校長らは情報収集に奔走している。

 横浜市中区内の市立学校の校長は25日、困惑の表情で話した。「どうすればいいのかいまだに分からない。現場任せで、受け入れ側の学校がデリケートな判断と対応をすることになるのか。教育委員会には、きちんと対応してほしい」

 これまでは、在留管理制度と切り離された外国人登録をしていれば、在留資格がなくても身分証が発行された。このため就学通知が当該の子どもには発行され、手続きはスムーズに進んだ。また、プライバシーの問題もあり、在留資格の有無を学校がことさら確認しなくても済んだ。

 だが、新制度では非正規滞在者への身分証明書はなくなり、就学通知も発行できなくなる。このため、「通いたい」という子どもが学校を訪れれば、非正規滞在と分かってしまう。「その場合は通報しなければならないのか。受け入れるのなら、そのへんをはっきりしてほしい」

 市教委は今月12日から、校長会を通して資料を配布しているが、まだ全校には行き渡っていない。前出の校長は、自ら市教委に掛け合い、具体的な対応策について説明の場を設けた。

 学校現場での疑問は、もう一つある「在留資格がない子どもの身分は、どう確認するのか」という点だ。

 身分を証明するものがなくなる以上、その子どもの名前、住所などをどう確認するのか。外国人の子どもを支援する団体などからも、「身分証がない中で、本当にきちんと学校に受け入れてもらえるのか」と不安の声が上がる。

 市教委側はこう強調する。「いろいろな疑問はあろうが、(在留資格がない子どもの学校への受け入れ根拠となる)国際人権規約と子どもの権利条約は、国内法より優先する。学校に受け入れ、子どもの教育を受ける権利を保障することは、変わらない」


◆新在留管理制度
 日本に在住する外国人の情報を継続的に把握し、適法に在留する外国人の利便性を向上させる狙いで2009年7月に公布された改正入管難民法にもとづき今年7月9日に開始する。在留資格を持つ中長期滞在者に在留カードを発行し、それを基に市町村で住民票が発行される。また、これに伴い非正規滞在者が登録できた外国人登録制度は廃止される。



■横浜市教委説明の趣旨

◎横浜市教委が市立学校長に説明している趣旨は、次の通り。

Q 学校には、在留資格がない子どもを通報する義務があるのか。

A 法務省通知に、通報によって(教育を受けさせるという)行政目的が達成できない場合は、「通報義務により守られるべき利益と各官署の職務の遂行という公益を比較衡量して、通報するかどうかを個別に判断することも可能である」とある。これまでも公務員には通報義務があったが、学校に子どもを受け入れた。新制度でも、それは変わらない。

Q 在留資格がない子どもの身分証明はどうするのか。

A 名前や生年月日、国籍を示すパスポートや出生証明書などの公的身分証書、住所については家の賃貸契約書や公共料金請求書・領収書、名前と住所が書かれた郵便物などの状況的証拠書面が資料として考えられる。窓口で、それらを基に判断することになる。


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