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葡萄の女王とセブンズソード
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 七つの大罪と言われるものがある。

 「傲慢ごうまん」、「嫉妬しっと」、「憤怒ふんど」、「怠惰たいだ」、「暴食ぼうしょく」、「色欲しきよく」、「強欲ごうよく

 これらの罪を、一つでも犯さぬ人間はいるのだろうか。

 七つの大罪を打ち消すために、七つのつるぎが作られた。

 その剣の名は、「希望きぼう」、「勇気ゆうき」、「努力どりょく」、「忍耐にんたい」、「信頼しんらい」、「無欲むよく」・・・・・・

 そして、最後の七つ目の剣は・・・・・・封印された、禁じられた剣。

 その名は、「あい

 その七つ目の剣は、諸刃の剣。

 愛は人を癒し、そして傷つける。

 愛は世界に平和をもたらし、時に戦争を引き起こす。

 愛は優しさとなり、やがて憎しみへ変わる。

 愛は全てを救う・・・・・・、故に・・・・・・全てを破壊する。

 それは、禁断の剣。



 ここは、日本。

 中国地方の、とある県にあるゼット市。

 ゼット市の特産品は、マスカット・オブ・アレキサンドリア。

 葡萄ぶどうの女王と呼ばれる、エメラルドのように輝く緑色の葡萄。

 僕が勤めている会社の名前は、「社団法人Z市観光協会」

 そこのマスコットキャラクターは『アレキサンダーくん』という名の『ゆるキャラ』

 僕は、「第2回 日本全国『ゆるキャラ』武道大会」に『アレキサンダーくん』として出場した。

 結果は、1回戦敗退・・・・・・

 意識不明の重体となり、病院のICUで2,3日ほど生死の境をさ迷った。

 奇跡的に意識を取り戻した僕は、半年ほど入院し、ようやく職場に復帰する事ができた。

 戻ってきた僕を、会社の同僚達は快く受け入れてくれた。

 しかし、すぐに僕は理事長室に呼び出された。

 この会社の理事長。

 僕の殺したい人間ランキング1位の人間だ。

 以前、僕は妻子を持つ身でありながら、職場の女子社員と不倫をした。

 それをネタに脅迫され、「第2回 日本全国『ゆるキャラ』武道大会」に出場させられたのだ。



 僕はドアをノックして、理事長室に入る。

 理事長は笑顔で僕に声をかけた。

 「ひさしぶりだなあ、体のほうはもう大丈夫かね? きみ。」

 僕は思いっきり皮肉をこめて返事をする。

 「おかげさまで、5年前に他界した祖母と話ができましたよ。」

 「それはよかったじゃないか。」

 理事長は全く悪びれる様子も無い。

 「ところで、さっそく君にコレを見てもらいたいんだが。」

 理事長は僕に1枚のチラシを渡す。

 チラシにはこう書いてある。


 「第3回 日本全国『ゆるキャラ』武道大会」

 日本最強の『ゆるキャラ』の栄冠は、誰の手に・・・・・・ 

 
 またかよ。

 また『ゆるキャラ』同士の戦いをさせる気なのか。

 僕は即答する。

 「お断りします。」

 理事長は顔色を変えずに声を出す。

 「ほう、断るつもりなのかね? 君。」

 前回は、女子社員との不倫をネタに脅迫されたが、今回はそうはいかないぞ。

 「もう、あの女子社員とは別れました! 僕は潔白ですよ。」

 理事長に言い返してやった。

 「ふうん、潔白ねぇ。」

 理事長はニヤニヤしながら話す。

 「女子社員の次は、白衣の天使か・・・・・・君も隅に置けない男だ。」

 「うッ!」

 僕は思わず声を漏らしてしまった。

 「最近の看護婦は、口移しで薬を飲ませてくれるんだ。」

 理事長はそう言いながら、1枚の写真を懐から取り出す。

 「いつの間にッ!」

 僕は驚愕の声を上げる。

 「こんな手厚い看護、私も受けてみたいよ・・・・・・ねぇ、君。」

 さらに理事長は数枚の写真を僕に見せる。

 「ああッ。」

 僕は激しく動揺する。

 「奥さんに見せてもいいかね? 君。」

 顔から汗が止まらない。

 「それとも、Tシャツにプリントして社内に配ってやろうか? ああッ?」

 理事長の言葉に、僕はもう抗う術はなかった。

 「すみません、やらせて下さい。」

 僕は頭を下げる。

 「初めから、そう言えばいいんだよッ! この若造がッ!」

 理事長はつばを吐く。



 数分後、落ち着きを取り戻した僕に理事長は話す。

 「安心したまえ、今回は君のためにとっておきの『ゆるキャラ』を用意しておいた。」

 「はあ、『アレキサンダーくん』じゃないんですか?」

 「うむ、今回は『マークⅡ』だよ、君。」

 「『マークⅡ』?車の名前ですか?」

 「違う、『アレキサンダーくん・マークⅡ』だ。」

 理事長は1枚の写真を僕に見せた。

 挿絵(By みてみん)

 どう見ても『ゆるキャラ』じゃない。

 ゆるい、というよりカタいよ・・・・・・ガッチ、ガチだ。

 僕は率直に感想を言う。

 「ロボットにしか見えないんですが。」

 理事長はにやりと笑う。

 「そうだろうな、元々は某国で開発された人型兵器だ。」

 「人型兵器・・・・・・、じゃぁ完全に『ゆるキャラ』ではないんじゃ。」

 「ところがどっこい、君がなんと言おうと、これは『ゆるキャラ』なんだよ。」

 「言ってる意味が分かりません。」
 
 「この『アレキサンダーくん・マークⅡ』は、全国ゆるキャラ協会から正式な認可を受けている。」

 「認可?」

 「正式に審査を受けて、立派に『ゆるキャラ』として登録されているのだよ。」

 なんてユルい審査だ、どいつもこいつも頭のネジがユルんでやがる。

 「全長約15メートル、重量は約50トン。」

 「でかッ!」

 まるで、アニメの巨大ロボットだ。

 僕は素直に、理事長に疑問をぶつける。

 「そんなもの、よく手に入れましたね。」

 理事長は笑いながら答える。

 「それが意外に安く買えたのだよ。」

 買ったのか・・・・・・。
 
 「人型兵器というのは、兵器としては弱いんだよ、君。」

 「そうなんですか?」

 「ああ、走行速度は車より遅い、飛行機みたいに飛ぶこともできない。」

 「はあ。」

 「おまけに直立しているから、自分で的を大きくしている、90式戦車より弱いな。」

 なんと、まあ夢の無い話だ。

 「しかし『ゆるキャラ』としては、世界最大、そして世界最強なのだよ。」

 とても『ゆるキャラ』とは思えないけどね・・・・・・。



 そして、数日後・・・・・・ 

 「第3回 日本全国『ゆるキャラ』武道大会」当日。

 第1回戦。

 挿絵(By みてみん) 

 僕は、『アレキサンダーくん・マークⅡ』に乗り込み会場に立った。

 女性オペレーターから通信が入る。

 「システムを起動します、パイロットの呼吸、脈拍、血糖値、中性脂質・・・・・・正常値です。」

 何で、血糖値や中性脂質を検査するんだ。

 男性エンジニアからの通信が入る。

 「了解! システムの起動を確認、第1核融合炉エンジンを始動。」

 ちょっと待て! いま核って言ったぞ! 僕はあわてて叫ぶ。

 「おいッ! 核融合炉ってなんだよッ! メルトダウンとかしないだろうなッ!」

 女性オペレーターから通信が入る。

 「パイロットの呼吸、脈拍、乱れています! 直腸より鎮静剤を投入します。」

 「あうッ!」

 悲痛な叫びを上げる僕に、理事長から通信が入る。

 「君、落ち着きたまえ! 『アレキサンダーくん・マークⅡ』は無敵だ。」

 まあ、確かにこの『ゆるキャラ』に対抗できる『ゆるキャラ』がいるとは思えない。

 僕は、覚悟を決めて会場へ『アレキサンダーくん・マークⅡ』と供に向かう。



 ・・・・・・何か違う。

 前回の会場は、四角いリングに大勢の観客がいた。

 しかし、今回の会場は誰もいない。

 だだっ広い、野外のグラウンドだ。

 嫌な予感がする。

 上空のヘリコプターから、アナウンサーの音声が聞こえる。

 「ただいまより、第3回 日本全国『ゆるキャラ』武道大会を開始しますッ!」

 何故、上空から解説するんだ。

 「第1回戦、西の方角!Z市代表、『アレキサンダーくん・マークⅡ』ッ!」

 僕はグラウンドの中央へと発進する。

 上空より、再びアナウンサーの音声が聞こえる。

 「東の方角!キュー市代表、『セブンズソードちゃん』ッ!」

 『セブンズソードちゃん』?

 僕の目の前に敵の『ゆるキャラ』が現れた。

 挿絵(By みてみん)

 僕は驚愕する! 女性オペレーターより通信が入る。

 「敵性ゆるキャラのコード認識、本機体とほぼ同型です。」

 敵もロボット・・・・・・しかも刀っぽいの持ってる。

 僕は叫んだ!

 「おいッ! 敵もロボットじゃねぇかッ! こっちには武器とか無いのかよッ!」

 理事長から通信が入る。

 「君、落ち着きなさい! 武器ならある、パンチとかキックとか・・・・・・あとは君の勇気だ!」

 「それは武器じゃねぇッ! 最後の勇気も持ってねぇよッ!」

 悲鳴をあげる僕にかまわずに、上空からアナウンサーの声がする。

 「それでは、『ゆるキャラ』ファイト!レディーッ、ゴォォォッ!」

 うろたえる、『アレキサンダーくん・マークⅡ』

 ゆっくりと歩み寄る、『セブンズソードちゃん』

 向こうは両手に剣を持ってるのに、こっちは素手だ。

 まともに戦えば、勝ち目は無い・・・・・・どうすればいいんだ。

 そうだ、負ければいいじゃん。

 僕は端末を操作して『セブンズソードちゃん』に通信する。

 「聞いてくれッ! 降参だッ! 降参するッ!」

 だが、『セブンズソードちゃん』はそのままこちらへ近づいてくる。

 おいおい、聞こえてないのか。

 女性オペレーターより通信が入る。

 「敵性ゆるキャラより、通信を受信しました。」

 端末の画面に「VOICE ONLY」の表示と声が聞こえる。

 この声は、聞き覚えがある・・・・・・僕の妻の声だッ!

 「あなた・・・・・・、よくも浮気してくれたわね。」

 顔から汗が止まらない、浮気バレてるし。

 僕は必死で言い訳をした。

 「待ってくれッ! 違うんだ、僕が愛しているのは君だけだッ! 本当だッ!」

 妻から通信が入る。

 「私も愛してる、あなたを愛してる。」

 おお、僕の声は妻の心に届いたようだ。

 「愛してる、だから許せないッ! あなたッ! 死んでちょうだいッ!」

 全然、届いてない。

 史上最大の『ゆるキャラ』同士による戦い、史上最大の夫婦喧嘩が始まった。

 『セブンズソードちゃん』は『アレキサンダーくん・マークⅡ』に斬りかかる。

 『アレキサンダーくん・マークⅡ』は、なんとかその攻撃をかわした。

 僕は妻を説得するために叫ぶ!

 「やめろッ! なんで、愛し合う者同士が戦わないといけないんだッ!」

 妻の怒りの叫びの通信が入る。

 「てめぇが・・・・・・、浮気するからだろうがぁーッ!」

 おっしゃるとおりで。

 『セブンズソードちゃん』は再び『アレキサンダーくん・マークⅡ』に斬りかかる。

 だめだ、今度は避けきれない・・・・・・

 僕は、死ぬのか・・・・・・ヴァルハラに行くのか・・・・・・

 嫌だ、死にたくない。

 
 僕は叫ぶッ!


 「こんなところで、死んでたまるかぁーッ!」


 その時、僕は光に包まれた・・・・・・エメラルドのような輝く緑色。

 『アレキサンダーくん・マークⅡ』が光り輝く。

 挿絵(By みてみん)

 そして緑色の閃光となり、『セブンズソードちゃん』の剣を弾いた。

 何が起こったんだ?

 女性オペレーターから通信が入る。

 「システム制御不能! 『アレキサンダーくん・マークⅡ』暴走しています。」

 暴走だと?

 『アレキサンダーくん・マークⅡ』の動きが違う、獣のように鋭い動き!

 『セブンズソードちゃん』の持つ剣を次々となぎ払う。

 形勢は逆転した。

 全ての剣を無くした『セブンズソードちゃん』を『アレキサンダーくん・マークⅡ』は組み伏せる。

 勝った!

 僕は、妻へ通信する。

 「もう、あきらめろ! こっちの勝ちだ、こんな戦いはやめよう。」

 妻からの通信が入る。

 「嫌よッ! それに最後の武器が残っているわ。」

 女性オペレーターから通信が入る。

 「敵性ゆるキャラより熱源反応! 敵性ゆるキャラ、自爆装置を起動した模様です。」

 自爆だって?

 妻からの通信が入る。

 「あなた、愛しているわ・・・・・・一緒に死んでちょうだい。」

 女性オペレーターから通信が入る。

 「自爆まで、あと30秒、29、28・・・・・・。」

 ダメだッ! そんなのダメだッ!

 「死んだらダメだッ!」

 僕は必死に叫ぶ!

 「死んでも、愛してるわ・・・・・・、あなた。」

 妻の悲しい声が聞こえる。

 「ダメだよ、死んだら君を愛せなくなるッ!」

 女性オペレーターから通信が入る。

 「残り時間、あと5秒、4、3、2、1・・・・・・。」


 会場は光に包まれた。

 激しい爆発、轟く轟音。

 愛は命を救い、愛は命を奪う。

 運命というものがあるというならば、人はそれに逆らう事はできないのだろうか。

 いや、運命は変えられる。

 愛は運命を変えて、人生を変える。

 挿絵(By みてみん) 

 『アレキサンダーくん・マークⅡ』は立っていた。

 両手に愛を包むように、僕の命と妻の命を救った。

 僕は妻に通信する。

 「愛してるよ。」

 妻から通信が入る。

 「私も愛してるわ・・・・・・でも、今度浮気したら殺す。」

 僕達夫婦の絆は、『ゆるキャラ』によって固くなった。
 

 
今回はがんばりました。
挿絵をがんばって描きました。
文章と内容はゴミです。
酷評してください。

ロボットものを1度、書いてみたかったんですが。
失敗です、難しいです。
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