俺の女戦士アキレスは、ゲームの世界に転生する。
もう、銃は持っていない。
剣と盾を装備した、典型的な戦士だ。
そして、もう一人の主人公がゲームの世界に転生する。
エルフの
女忍者、名前は・・・・・・ サスケ。
サスケを操るプレイヤー、その名は、
赤城 星羅。
女戦士アキレスは、仲間の女忍者サスケに話しかける。
「エルフで、忍者っていうのは・・・・・・ どうなんだろう?」
サスケは、ツンとした態度で返事する。
「何よ! いいじゃない。 エルフも忍者も格好良いでしょ!」
「でも、忍者なのに目立ちすぎじゃないか? それに、女なのにサスケって・・・・・・」
「ケンちゃんに名前の事は、言われたくないわ! アキレス
腱のくせに。」
「アキレス
腱って言うな!」
さっそく、仲間割れする微笑ましいパーティー。
そこに、ゲームマスターが声をかける。
「おいおい、2人とも喧嘩してないで、ゲームを始めるよ。」
ゲームマスターは、何故か半裸で、マッチョで、仮面のナイスガイ。
星羅のお兄さん、
赤城 星士郎。
俺は、星士郎さんの筋肉をうっとりと見つめる。
星羅が、何故か俺の頭を殴る! グーで!
「何すんだよッ! 痛いなあ。」
「何、見てたのよ? この変態!」
女戦士アキレスと、女忍者サスケが現在いるのは、冒険者ギルド。
冒険は、いつもここから始まる。
女戦士アキレスは聞く。
「今日の依頼は何かな? ゲームマスター。」
ゲームマスター、星士郎さんは笑顔で答える。
「ああ、今日の依頼は・・・・・・ 迷子の犬を探してもらう。」
俺と星羅は、同時に声をあげる。
「迷子の犬?」
犬を探す! そんな依頼があるのか?
女忍者サスケは、そっぽを向く。
「そんな依頼、受けるわけないじゃない! お断りよ!」
いやいや、依頼を断ったらゲームが終了してしまう。
女戦士アキレスは、あわてて答える。
「いやいや、その依頼受けるよ! 迷子の犬を探そう!」
「何でよ!」
「まあ、たまにはいいじゃない。 犬を探すなんて、面白い冒険だよ。」
「しょうがないわね。 その犬の特徴を教えてちょうだい!」
ゲームマスター、星士郎さんは笑顔で答える。
「オッケー! 犬種は、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク。」
「コーギーか・・・・・・。」
たぶん、星士郎さんは犬好きなんだな。
女戦士アキレスは、真剣な顔で話す。
「あ、あの! 俺も好きです、コーギー! 可愛いですよね!」
女忍者サスケが冷たい目で睨む。
「あんたの好みは関係ないでしょ!」
「あ、ああ・・・・・・ ごめん、そうだね。」
迷子のワンコ。
犬種は、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク。
胴長で短足、骨太、非常に短い尻尾を持つ。
犬の名前は、『 アーサー・ランスロット・シローマサムネトキサダ 』
犬のくせに、随分と長い名前だ。
「最低のネーミングセンスだわ。」
女忍者サスケは、苦笑いする。
女戦士アキレスは、目をキラキラさせて言う。
「素敵な名前じゃないか! 俺は最高だと思います! ゲームマスター!」
裕福な貴族のペットらしく、宝石で装飾された首輪をしているらしい。
女忍者サスケは、邪悪な顔をする。
「犬を殺して、首輪を売ったほうが儲かりそうね!」
女戦士アキレスは、軽蔑の目をサスケに向ける。
「ひどいやつだな! 冒険者の信用に関わるだろう!」
女忍者サスケは、思いつく。
「そうだわ、犬は飼主に返すけど。 首輪は、こっそりネコババしましょう!」
女戦士アキレスは、さらに軽蔑の目をサスケに向ける。
「本当に、最低なヤツだ! とりあえず探しに行くぞ!」
街の広場でうろうろする、アキレスとサスケ。
「確かこの辺で、居なくなったという話らしいが。」
女戦士アキレスは考え込む。
「これって、結構難しいミッションだな。 どうやって、探せばいいんだ?」
女忍者サスケは、鼻で笑う。
「お馬鹿な、アキレスちゃんには分からないでしょうね! くすくす。」
「何かいい方法でもあるのか?」
「本当にバカね! こういう時は、目撃情報を集めるのよ。」
「なるほど! コーギーなら、結構目立つから目撃者は多いかもしれない。」
「おまけに、宝石の首輪をつけているわ。」
「なおさら、目立つな!」
「ただ、宝石の首輪を狙う悪い人間に捕まってる可能性もあるわね。」
「そうか! じゃあ、急いで聞き込みを始めよう!」
アキレスとサスケは、街の人々から情報を集める。
「あっちで見たよ。」「こっちで見たよ。」
有力な情報を頼りに、街中を探し続けた。
ゲームという想像の中の世界の街・・・・・・
想像の中の街の住民たち・・・・・・
俺たちは、頭の中で街をイメージする。
中世のヨーロッパのクラシックな建物のイメージ。
レンガ造りの建物、石畳の道・・・・・・
俺は、だんだん楽しくなった。
星羅も、最初は文句を言っていたのに、今は楽しそうに笑っている。
女戦士アキレスと女忍者サスケは、ついに有力な情報を入手した。
街の中のスラム街・・・・・・
この街にも闇の地区がある。
そこにいるチンピラたちのグループが、犬を捕まえているらしい。
宝石の首輪をつけていたので、捕まえたところ。
裕福な貴族の犬だと分かって、今度は身代金を要求するつもりらしい。
女忍者サスケは、ため息をつく。
「これだから、人間って嫌なのよね! 野蛮だわ。」
女戦士アキレスは、サスケを冷たい目で見る。
「お前、最初の頃に犬を殺して首輪を奪うって、言ってたぞ!」
「そんなこと言うわけないじゃない! 私は崇高なエルフの忍者よ!」
「まあいいや、それより忍者なら偵察して来てくれよ。」
「はいはい、任せといて!」
女忍者サスケは、俊敏な動きでスラム街へ潜入してゆく。
チンピラたちのアジトはすぐに見つかった。
犬の、アーサー・ランスロット・シローマサムネトキサダもまだ無事だった。
チンピラの数は8人、派手な武器は持っていないが、ナイフなどで武装している。
女戦士アキレスは、女忍者サスケに聞く。
「
CZ75とか、スナイパーライフルは持ってなかったか?」
「・・・・・・大丈夫よ。 持ってないわ。」
「じゃあ、速攻で叩き潰すか!」
「ちょっと! 待ちなさいよ! 正面から行ってどうするの。 人質、じゃなくて犬質がいるのよ。」
「あ、そうか! チンピラを倒しても、アーサーが無事じゃないと意味ないな。」
アキレスとサスケは、作戦会議を始める。
俺と星羅は、楽しそうに作戦を考えた。
ゲームマスターの星士郎さんもニコニコしている。
俺の女戦士アキレスは、チンピラのアジトの扉を派手に蹴り破る!
「正義の女戦士アキレス参上! 死にたいやつから、かかってきな!」
「何だ、この野郎!」
チンピラ達が、アキレスに襲い掛かる!
「とろいんだよッ! あと、俺は女だ! 野郎じゃねえ!」
アキレスは、戦闘民族!
チンピラたちを、剣で切り捨てる!
「安心しな! みねうちだ・・・・・・」
かっこよく決める、両刃の剣だけど。
「チッ! 犬を連れてずらからぞッ!」
残りのチンピラ達は逃げようとするが・・・・・・
犬が居ない!
「ワンちゃんなら、ここに居るわよ! 人間さんたち!」
エルフの女忍者サスケが、裏口の近くで犬をだっこしていた。
あらかじめ、サスケの方が先に潜入して、犬を救出していたのだ。
「あと、逃がしてあげない! いくわよ、エルフ忍法! サラマンダー
火遁の術!」
精霊魔法と忍術の合体技!
知力の高いエルフの忍法が、チンピラたちを焼き尽くす。
女戦士アキレスと、女忍者サスケは勝利の声をあげた!
「ミッション・コンプリート!」
アキレスとサスケの冒険は続く・・・・・・
俺たちの、テーブルトークRPGも続く・・・・・・
人生という名の、RPGも続く・・・・・・
To Be Continued!
