再び、ゲームという想像の世界に構築された、俺の女戦士アキレス。
直後、冒険者ギルドの建物の天井を突き破って現れるドラゴン。
赤き神竜、エンシェント・レッド・ドラゴン!
俺はコマンドを宣言する。
「女戦士アキレス! ドラゴンに話しかける!」
ゲームマスター星羅は、微妙な顔をする。
「ドラゴンに話しかける?」
「ああ、ルールブックに書いてある。 エンシェント・ドラゴンは、人間より高い知能を持ち、会話が可能であるとね。」
「・・・・・・いいわ。 話を聞いてあげる。」
女戦士アキレスは、ドラゴンに声をかける。
「こんにちわ。」
まずは、
挨拶する。
これは、一般常識。
ドラゴンの口は構造上、言葉を発生できない。
しかし、魔法のテレパシーで、女戦士アキレスの脳に直接、語りかける。
『 ・・・・・・おう! 』
挨拶に応じてきた、では自己紹介をしよう。
「私は、女戦士アキレスと申します。 よろしくお願いします。」
『 ん? ああ、どうも。 』
お互い初対面だ、ぎこちない。
ここは、時節的な話題から共通の意思を詮索する。
「今日は、いい天気ですね。 最近は、春らしく暖かくなってきましたね。」
『 そうだな。 死ぬには良い日だな。 』
ドラゴンから殺気は消えていない。
だが、会話には応じた。
本題を切り出そう!
「ところで、ドラゴンさん。 あなたは、何故、私を襲うのです?」
ドラゴンは少し黙るが、返事をした。
『 ある者との契約でな、お前を殺さなければならないのだ。 』
「ある者とは、誰でしょう? 教えてください。」
『 それは、答えることはできない。 』
ある者?
誰かの恨みをかうような事はしてないはずだが・・・・・・
だが、このドラゴンにはアキレスを殺すという明確な意思がある。
ならば、買収に移行しよう。
「どうでしょう? 私には前回の冒険で手に入れた、財宝があります。 これで、なんとか見逃してもらえませんか?」
『 ダメだ! 契約は絶対実行するのが、竜の掟だ。 それに、財宝はお前を殺してから戴く。』
買収が、通用しない。
ならば、奇襲をかけるまで。
「では、死ぬ前にお願いがあります。」
『 何だ? 言ってみろ。』
「ドラゴンブレスって、どういう仕組みで出すんですか?」
『 ・・・・・・んん。 いや、腹の中に炎を吐き出す、ドラゴン袋があってだな。』
やや、不明確な回答をするドラゴン。
「へえ、ちょっと口の中を見せてもらえませんか?」
『 ・・・・・・まあ、別にいいけど。』
ドラゴンは大きな口を、カパッと開けると、アキレスに見せてくれた。
ここが、チャンスだッ!
「でっけえ口だな、オイ!
鉛玉でも喰らいやがれッ!」
女戦士アキレスは、
CZ75で、ドラゴンの口の中に発砲する!
俺は、星羅に声をかける。
「全身、魔法のオーラで覆われてても、体内までは覆われてないだろう?」
星羅は、苦笑いをする。
「チッ! 卑怯ね! ケンちゃん。」
お前に卑怯と言われたくはないな。
「至近距離だ、命中判定は省略させてもらうぜ。」
俺は、ダメージ判定のダイスを、右手で振る。
結果は、5と3、合わせて8。
CZ75の基本攻撃力に修正値を加算する。
「よし! ドラゴンに52のダメージ。」
『 ギャオオオオーーーーッ! 』
赤い竜は、悲鳴をあげる!
だが、倒れない!
「やっぱり、一撃じゃ無理か・・・・・・。」
そうなると、残された手段はたった一つ。
俺は、宣言する。
「女戦士アキレス! 逃走するぞ!」