俺の女戦士アキレスは古代の遺跡に到着した。
遺跡といっても、何も無い。
ただ、あるのは地下へと続く階段だけ。
つまり、ここはダンジョンの入り口だ。
俺は宣言する。
「女戦士アキレス! 地下への階段を降りてゆくぞ!」
ちなみに、ダンジョンっていうのは、本来は地下牢という意味らしい。
女戦士アキレスは、慎重に階段を降りてゆく。
ここは、変態ゲームマスター星羅が作ったダンジョンだ。
どんな罠やモンスターが待っているか分からない!
しかし、女戦士アキレスを待っていたのは・・・・・・
闇だった。
そう、暗闇。
星羅が俺に告げる。
「階段を降りてゆくと、辺りはどんどん暗くなってゆくわ。 どうする? もうすぐ足元も見えなくなるわよ。」
俺は気付いた。
「明かりがないのか?」
そう、明かりという概念。
星羅は当然のように言う。
「そりゃあ、地下だもの。 光が届かないから暗くなるわ。」
確かに、昔の竜をクエストするRPGゲームにも洞窟内は暗くなる。
松明か、魔法で明かりを灯さなければならない。
しょうがない、俺は宣言する。
「女戦士アキレス! 街へ引き返す! 道具屋に行くぞ。」
最近のゲームじゃ、ダンジョンは照明付だが・・・・・・
リアルに考えれば照明がついているほうがおかしいな。
こんな道理で出鼻をくじかれるとは。
これが、星羅の言っていた、RPGの真の恐ろしさか。
俺の女戦士アキレスは、道具屋で照明器具を購入する。
この世界には、銃はあるが懐中電灯はない。
中世のヨーロッパをベースにしている世界だ。
原始的な照明器具を買うしかない。
松明か、カンテラという油式のランプの2択になるわけだが・・・・・・
ここは、カンテラを選択しよう。
理由は、松明より照明時間が長持ちするからだ。
念のため、予備の燃料も購入しておく。
ここで、問題がひとつ発生する。
右手に拳銃、左手にカンテラ・・・・・・
本来なら、もうひとつ左手に銃を装備して攻撃力を上げる。
もしくは、盾を装備して防御力を上げたいところだが・・・・・・
ダンジョンの中では、照明のためにカンテラを装備せざるを得ない。
これが、本当のダンジョンクエストの恐ろしさなのだ。
まあ、敵が現れたらカンテラを地面において戦うこともできるが。
とりあえず、準備は整った。
俺は、再び宣言する。
「よし! 照明はオーケーだ! 女戦士アキレス、再びダンジョンに突入する!」
星羅は、くすくすと笑っている。
「うふふふ、本当のダンジョンの恐さはこれからよ。」
小さな声で呟いた。
何か嫌な予感がする・・・・・・
何か、まだ忘れているような・・・・・・
いや、大丈夫だ! ノープロブレム!
俺の女戦士アキレスは、再び地下への階段を降りてゆく。
足元を頼りないカンテラの光で照らしながら・・・・・・