このゲーム、『ソード・アンド・ワールドRPG』の世界ではプレイヤーのキャラクターは冒険者となる。
冒険者っていうのは現代風に言うと、いわゆる無職だ。
冒険者ギルドという所で仕事の
斡旋を受けて生計を立てている。
その仕事内容はモンスター討伐だったり、ダンジョン探検だったり・・・・・・
ゲームマスターの作ったシナリオの中で冒険をするわけだ。
しかし、現実の世界で考えると少額の報酬を得るために、
命張ってる正気とは思えない連中だ。
俺の女戦士アキレスも、さっそく冒険者ギルドに登録する。
問題は依頼の内容だが・・・・・・
ゲームマスターは、このド
Sの最低女、
赤城 星羅。
最初からどんなシナリオを作るか、分かったもんじゃない。
いきなりデスダンジョンに放り込まれたり、ドラゴンをぶち込んでくるかもしれない。
ゲームマスター星羅は、俺に語りかける。
「女戦士アキレスは、冒険者ギルドから最初の依頼を受けるわ。」
「
OK! ミッションの内容を聴こうか。」
俺は緊張する、何だ? どんな依頼だ?
「冒険者ギルドからの最初の依頼は、ゴブリン退治よ。」
え? ゴブリン退治?
俺は肩透かしを食らった気分だ。
ゴブリンといえば、このゲームの世界では定番の
雑魚モンスター。
経験値をかせいで、レベルを上げるにはもってこいだ。
「とある小さな村のはずれにある、廃墟となった教会に数匹のゴブリンたちが住み着いているらしいわ。」
星羅の話を聞いて、俺は気付いた。
ゴブリンの数は数匹、つまりレベル1の女戦士アキレスでも倒せる数。
俺は、この女を、星羅を誤解していたのかもしれない。
彼女は、ゲームをしたかったんだ。
友達もいない孤独な女だ、テーブルトークRPGは1人じゃできない。
ずっと、誰かとゲームをしたかったんだ。
プレイヤーを即死させるようなゲームシナリオを作るわけないじゃないか。
俺と一緒に、ゲームを楽しみたいだけ・・・・・・ だったんだ。
「ごめん・・・・・・。」
俺は、突然声を出してしまった。
星羅は困惑した顔をする。
「どうしたの? ケンちゃん、急に謝ったりして。」
俺は笑顔で返事をした。
「いや、何でもないよ。 さあ、行こうか! 最初の冒険だ。」
「そうね、女戦士アキレスは旅立つわ。」
こうして、俺の女戦士アキレスの最初の冒険が始まった。
目指すは、とある小さな村はずれにある廃墟となった教会。
目的は、そこに住み着いた数匹のゴブリンの排除。