星羅は、笑いをこらえつつ、話し始める。
「ふふふふ・・・・・・。 それじゃあ、キャラクターの職業と名前を決めましょう。」
まずは、職業から決めようか。
消去法でいくと、知力が低いので魔法使い系は適性がない。
それ以外でいくとなると、
戦士・
盗賊・レンジャー・忍者・
剣士・
騎士・・・・・・
まあ、いろいろあるけど、ここは無難に戦士にしよう。
戦士の最大の利点は、装備できる武器に制限が無いことだ。
「職業は、戦士にする。 名前は・・・・・・ 」
俺は星羅に話しかけて、止まった。
名前は考えていなかったな。
最近のコンピューターのRPGゲームは、最初から主人公の名前がついてある。
自分で名前を考えるのは、ひさしぶりだ。
適当にア行から考えよう、アース、アレス、アレキサンダー、アアアアア・・・・・・
どれもいまひとつだな。
ん!
そうだ、アキレス! アキレスという名前にしよう!
ギリシャ神話にでてくる英雄の名前だ! 格好良い!
俺は星羅に告げる。
「名前は、アキレス! 女戦士アキレスだッ!」
その言葉を告げた瞬間、星羅は吹き出す。
「ブハッ! ダハハハハハハッ! アキレスッ! アキレスッ!? アハハハハハッ!」
どうした? ついに狂ったのか? 何も変なことは言ってないはずだが。
俺は、笑い転げる星羅に尋ねる。
「何が面白いんだ? アキレスは普通の名前だろう。」
星羅は笑いをひきつりながら話す。
「だって、ケンちゃんが・・・・・・ アキレス。 ケンちゃんが! アキレス
健よ! ブハッ!」
ああ、『アキレス』と俺の名前『健一』をかけて『アキレス
腱』と・・・・・・
ダジャレかッ! しかもくだらねぇッ!
ごめんママ、初めて人を殺したいと思っているよ。
星羅はまだ笑い転げている、よほどツボに入ったのだろう。
そういや昔、笑い袋っておもちゃがあったな・・・・・・
こうして俺の分身、このゲームの世界の主人公。
女戦士アキレスは、星羅の大爆笑と共に誕生した。
名前: アキレス 職業: 戦士
レベル: 1
生命力: 17 筋力: 17 敏捷度: 17 知力: 7
初期資金で、装備をととのえる。
剣と盾、鎧と兜を装備する。
「さて、キャラクターもできたし、いよいよ冒険の始まりね。」
星羅は話し始めた。
「準備オーケーだ! 星羅・・・・・・ いや、ゲームマスター!」
俺も返事する。
「うふふふ、切れなきゃいいけど。」
星羅は不敵な笑みを浮かべる。
「切れる? 何が?」
「アキレス腱がね、アハッ!」
・・・・・・その前に、堪忍袋の緒が切れそうだよ。