彼女、
赤城 星羅の家は豪邸だった。
近隣の高級住宅街の中でも一際目立つ、大豪邸だ。
チッ! セレブ女め。
俺は心の中で舌打ちする。
おまけに庭も広い、フットサルができそうなほど広い。
チッ! ブルジョワ女め。
豪華な玄関から入り、豪華な階段を上り、星羅の部屋に入る。
星羅の部屋は、まるで高級ホテルのスィートルームだった。
高級感あふれる家具たち、部屋も広い、広すぎる。
俺の家のリビングより広い。
チッ! リア充女め。
部屋のあちこちに赤色の物が目に写る、星羅の好きな色なのだろう。
血塗られたようなこの女の本性をよく表しているよ。
高級な北欧系っぽいテーブルに向かい合って、俺と星羅は椅子に腰を掛けた。
「さあ、始めましょう! テーブルトークRPGを!」
彼女は楽しそうに声を出す。
「オッケー! 始めようか。」
俺も返事をする。
テーブルの上には、俺の買ったケーキと紅茶が2つずつ・・・・・・
あと、このゲームのルールブック「ソード・アンド・ワールドRPG ルールブック」
そして、それぞれの筆記用具と、サイコロが2つずつ・・・・・・
それから、なぜだか星羅の手元には1台のノートパソコンがある。
テーブルトークRPGは、人間同士が
会話でするゲームだ。
パソコンは必要ないはずだが・・・・・・
俺は星羅に質問する。
「なんで、ノートパソコンがあるの?」
彼女は笑いながら答える。
「うふふ、このパソコンには私の作ったゲームシステムが入っているの。」
「ゲームシステム?」
「そう、色々な判定をする時に便利なの。」
「へえ・・・・・・」
「あと、ルールやシナリオなんかのデータも全て入力してあるわ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「オリジナルのスクリプト言語で作った、手作りのプログラムよ。」
星羅は得意げな顔をしている。
この女、頭いいけど・・・・・・ 馬鹿だな。
パソコン使うなら、テーブルトークしなくてもいいだろう。
それだけのIT技術と、時間があるなら普通にRPGゲーム作れよ。
星羅はカタカタとノートPCのキーボードを打つ。
そしてマウスをダブルクリック!
「オーケー! システム起動したわ、さあ始めましょう。」
「ああ、準備できてるよ。」
覚悟もできてる、心の中でつぶやく。
いよいよ始まる、俺と彼女のテーブルトークRPG。
ゲームの名は、「ソード・アンド・ワールド」
剣と魔法とドラゴン、そしてダンジョン等のクラシックなファンタジー。
中世のヨーロッパをベースにしたオーソドックスなRPG。
ゲームマスターは彼女、
赤城 星羅。
ゲームプレイヤーは俺、
山田 健一。
運命を決めるのは、2つの赤色のダイス。
これは、ただのゲームなんかじゃない。
これは、俺の「
真田丸」ッ! ・・・・・・じゃなくて、プライド
そう、誇りとアイデンティティを賭けた戦いなんだ!
星羅は、静かな声で合図をする。
「ゲーム・スタート。」
さあ、おっぱじめようじゃないか! とんでもないRPGをよう!