5月30日、関西広域連合はわざわざ鳥取県まで出張(公務だろうな)会議を開催し、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題について協議し、苦渋の選択として「再稼働を容認」したとのこと。
嘉田滋賀県知事は、京都山田知事と共同で、県民や各地方自治体(特に、長浜市や高島市)と協議したり、何らかの説明もすることなく独断先行で「7項目の提言」を政府に提出し、一躍、世間の耳目を集めた。
このとき、知事たる者がパフォーマンスで、”刀を抜いて大上段に構えたが刀の下ろしどころをどうするのか”と心配していたところ、関西広域連合に助けられた形で刀を鞘に納めることができた。
この関西広域連合の会議前に県内の市町長を集めて会議を開催しようとしたが、これが見事失敗に終わって窮地に落ちいっていたから余計にそのように思う。
独断先行でパフォーマンスをして、その後で、県内市町長(首長)を集めて会議を開催する計画であったが、これを断った長浜、高島、彦根、野洲、栗東、湖南市の各市長並びに多賀町長に絶大なる拍手を送りたい。
嘉田知事が、県内市町長を引き込み、独断での行動を正当化し、原発再稼働に関する7項目の提言は”県民総意”という事実を作り上げようとした策略は不発に終わった。
7人(首長)の侍(前記首長のこと)が会議を欠席されたことは、首長として当然の行動であると思うし、反面、大津、草津、近江八幡、東近江などの首長は、首長としてのポリシーやプライドはどこにあるのかと疑いたくなる。
橋下大阪市長、京都・滋賀知事の3人は、思慮深さに欠ける行動型でパフォーマンスの好きなタイプである。
たしかに、原発依存ではいけないことはすべての国民が理解していること。
しかし、我が国は、電力を原発に依存してきたし、あの大災害が発生していなかったら、まだ依存し続けたであろうと思う。
そうした意味では、高価な代償を支払ったことになるが、その原因は、元はといえば、火山列島に位置する地震という自然の力である。
原発政策は、政府が間違いをしてきたのでなく、国民がこれを容認し、しかも、国民がその恩恵を享受してきた。
だから、世界の超経済大国になれたし、日々、衛生的、機能的、文化的?に過ごせる素晴らしい国になった。
如何に、素晴らしい国であるかは、発展途上にある諸外国等と比較すれば明白である。
なのに、大震災後は、こうした恩恵を忘れ、短絡的に「原発反対」と言うが、反対することは誰でもできること。特に、何事も決まって反対する人が多い。
反対意見を主張するなら、反対したことによって生じるリスクに責任をとるのが当然である。
ましてや、地位ある立場、公人は、何事につけて反対する場合は、こうした責任を負うことを自覚すべきである。
だから、一市民のような軽率な行動、パフォーマンスは要らないのである。
”安全が確保されるまで”というが、この世の中に完璧な安全なんて存在しない。
一歩、家をでれば、危険だらけで、安全は自らが安全行動をすることによって、それこそ自己保身しなくてはならない。
利便性、快適性を求めて、飛行機や新幹線を利用する、高速道路を走行したり高速バスに乗車するが、常に危険は存在し、これまで事故の発生を予想しないまま安全性を信頼して、不幸にも事故で尊い命を失っている。明日は我が身かもしれない。
最近、東京のスカイツリーが完成し、このツリーに昇ることが至難の業(人気があって順番待ちのため)であるが、このツリーに昇るにしても危険を伴う。
絶対安全なんてありえないのであって、利用する者はリスクを負わなければならない。
しかし、仮に、このスカイツリーで事故が起これば、今の国民の体質や風潮からして、運営会社にすべての責任転嫁をすことに終始するだろう。
そして、マスコミはこれを煽るだろう。
マスコミ各社は、今は、スカイツリーを話題にして記事にしたり番組を編成しているが、”今日の友は明日は敵”である。
危険を共有する覚悟ならツリー昇るのもよいが、絶対、事故に遭いたくないなら先を急いでツリーに昇らなくてもよい。
知人に、絶対、飛行機を利用しない人がいるが、それは、その人の安全感?(表現は適切かな。)によるもので、間違いではないし安全行動を尊重する人であろう。決して怖がり屋でない。
ついでに、今回の原発再開問題で言及しておくと、地元の福井県県知事は、大所高所から大きな決断をされた。
福井県知事は賢者だから単刀直入に話されないが、原発設置している県や地元の町長は、この再開問題に関して、電力消費地、者の理解を強く求めるコメントを発信された。
これは、パフォーマンスをした3人への一種の抗議と理解している。
にもかかわらず、滋賀・京都知事が「原発地元」の定義付でも問題を提起したが、そのようなことを言えば、我が国全土が「原発地元」である。
今後、同じアジアの大国である中国が原子力発電政策をどんどん推し進めるのは間違いない事実である。
この中国大陸で原発事故が発生し、放射能漏れなどの事態に陥った時、滋賀や京都、大阪といった関西連合の一地域だけの問題でなく、我が国全土に多大な影響を及ぼすことになる。
周知のとおり、偏西風は中国大陸の黄砂を大量に運んで我が国全土に砂をまき散らしている。この黄砂は色や砂粒という形で黄砂と判断できるが放射能は透明である。
隣国の巨大な国、中国が国民の生活向上を目指して、電力を原子力に頼る中、我が国よりはるかに低い原子力技術で原発事故が発生しないという保障はなく、むしろ、発生する危険性が高いといえるし、それは大飯原発再稼働以上に危険性があると考える。
その時、我が国は、どのように対処するのか。原発事故の発生に伴う放射能漏れは、必然的に我が国に及んでくるのであるが、小さな島国の小さな地方公共団体のパフォーマンス好きな一部のリーダー(知事や市長)は、中国政府にどれだけの影響力を及ぼすことができるのか。
日本政府に提言することと同じことを中国政府に対してできたら大したものである。
しかし、中国政府は何の対応もしないことは明白である。
そうした事態にならないことを願っているが、絶対発生しない保障はなく、発生した場合、また関西広域連合の名を借りて、今回のように、「容認」される?ことはないでしょうね。
原発再稼働を決断する民主党政府を「敵」とまで公言した男が、今度は、一転、これを撤回するのだから、如何にいい加減なリーダーかを大阪市民は気付くべきで、滋賀では、多くの首長が知事のことに気付いていますよ。