石川のニュース 【7月7日03時01分更新】

空飛ぶ菌から納豆 珠洲上空で採取

納豆の粘り具合を確かめる牧准教授=金大角間キャンパス
 黄砂研究で見つかった「空飛ぶ細菌」から納豆が誕生した。金大理工研究域物質化学類 の牧輝弥准教授は6日までに、金城納豆食品(白山市)の協力を得て、珠洲市上空約3千 メートルの大気に含まれる菌を使った納豆を完成させた。金大の黄砂研究の副産物として 生まれた納豆は「そらなっとう」と命名され、「納豆の日」の7月10日から試験販売さ れる。

 金大の黄砂研究チームはこれまでに、珠洲市や中国・敦煌で、気球や飛行機などを使っ て上空の大気を採取している。

 牧准教授らがこの大気を分析した結果、20〜40種類の細菌が含まれており、その中 に納豆菌と同じ種類の「バチルス・サブチリス」があることが確認された。

 牧准教授は、黄砂の有効利用策として、菌を使った納豆製造に着手。実験を繰り返し、 市販の製品と遜色のない味の納豆ができることが分かった。

 その後、商品化を進めるため、金城納豆食品に複数種の菌を持ち込んで共同実験を始め た。菌によって仕上がりが微妙に異なる中、最も粘りが強く、味が良かったのが、201 0年3月に珠洲上空で取れた菌を使った納豆だった。マグネシウムやカルシウムなども通 常の納豆より多く含まれ、栄養面も優れているという。

 牧准教授によると、黄砂には発がん性のある「多環芳香族炭化水素(PAH)」など健 康被害のある物質が付着しているが、バチルス・サブチリスには毒性がないことが分かっ ており、商品化にはまったく問題はないという。

 珠洲上空の細菌と県産大豆を使った地元の材料だけで作られた新商品「そらなっとう」 は、10日から金大角間キャンパスの生協食堂で試験販売が始まる。

 牧准教授は「研究の副産物だが味には自信あり、県内に広めて地産地消に貢献したい」 と話した。


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