ソウル(CNN) 韓国は29日、韓国と日本の両政府が同日に予定していた軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の署名を延期すると発表した。
日韓両国は当初、29日に東京で協定に署名する予定だったが、韓国外交通商部は、国会でこの問題を協議するため署名を延期したと語った。
趙炳ジェ(チョ・ビョンジェ)外交通商部報道官によると、この協定は北朝鮮からの脅威などの軍事機密の共有に関する法的枠組みを設定することを目的としているという。しかし今週、韓国でGSOMIAのニュースが流れると、韓国国民は同協定に対する不安を訴え始めた。その背景には日韓両国の歴史的経緯と領土問題がある。
日本は1910年から1945年までの韓国統治時代に多数の韓国人を強制的に軍隊に入隊させたり、数十万人の韓国人女性を「従軍慰安婦」と呼ばれる性的奴隷として酷使したりしたとして韓国人から非難を浴びてきた。
また日韓両政府は竹島の領有権問題でも対立している。日本は長年、竹島は日本固有の領土と主張してきたが、韓国政府は1945年に日本の植民地支配から独立した際に竹島も返還されたと主張している。
しかし一方で、日韓両国が直面する北朝鮮の脅威を考慮し、協定締結に肯定的な意見もある。
韓国政府系シンクタンク、韓国統一研究院(KINU)のキム・テウ院長は「中国の影響力の増大と北朝鮮との関係など、現在の北東アジア情勢を考えるとGSOMIAの締結は不可欠」と語る。韓国外交通商部によると、韓国はすでにGSOMIAと同様の協定を米国やロシアなど23カ国と締結しているという。