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第一話 受付嬢はミュラーの妹!?
エレボニア帝国最南端の都市であるパルム市は、あの悲しい事件で失われたハーメル村を除けばリベール王国との国境に一番近い街であった。
ハーメル村で生まれ育ったヨシュアとカリンも、レーヴェが遊撃士協会パルム支部で準遊撃士試験を受けるつもりである事は知っていた。
いつか遊撃士になって、その給料でハーメル村を豊かにすると理想を語っていたレーヴェだったが、その望みが果たされる事は無かった。

「だからせめて、兄さんの墓にパルム支部の準遊撃士の紋章を供えてあげたいんだ」
「うん、あたしも異議は無いわ」

正遊撃士の紋章は全支部共通なのだが、準遊撃士の紋章は遊撃士試験に受かった支部の名前が刻まれる。
だからエステル達の持っているロレント支部の準遊撃士の紋章をそのまま兄に渡すのも気が引ける話だった。

「だいたい、この準遊撃士の紋章は、あたしとヨシュアの絆みたいなものじゃない」

エステルはそう言って、ポケットから取り出した準遊撃士の紋章を撫でた。

「父さんやシェラザードさんも同じものを持っているだろうけどね」
「別にそう言う意味で言ったわけじゃないのに、意地悪ね」

ヨシュアの言葉にエステルは口をとがらせて反論した。
話しながらパルム市の通りを歩いていたエステルとヨシュアの右手前方に、遊撃士協会の建物が見えてきた。
帝国らしい石造りの建物だったが、しばらく前に起きた帝国遊撃士協会支部連続襲撃事件の爪跡が残っていた。

「そういえば、帝国の遊撃士協会は結社が黒幕になって猟兵団達に襲われたんだっけ」
「うん、かなりの被害がでているはずだよ」

復旧に忙しい帝国の遊撃士協会で、正遊撃士に準遊撃士の試験を受けさせてもらうなど迷惑行為ではないのか。
そう感じたヨシュアだったが、逆に猫の手も借りたい状況なのかもしれないとエステルは励まして遊撃士協会の中へと足を踏み入れた。

「ごめんくださーい! ……あれ?」

そう言いながらヨシュアと一緒に遊撃士協会の中へと入ったエステルだったが、受付が空だったのを見て、エステルは目を丸くして驚いた。
カウンターの上には「依頼内容を所定用紙に記入し、こちらの箱に入れて下さい」と注意書きが貼られた箱がある。

「どうやら、留守みたいだね」
「待たせてもらいましょう」

エステル達が受付の中で待っていると、外から長い黒髪で背の高い女性が帰って来た。
腰に剣を収めるための(さやを身に付け、胸に紋章を付けている所を見ると帝国支部遊撃士の様だ。

「あら、あなた達も遊撃士みたいだけど、何の用かしら?」
「えっと、この遊撃士協会の受付の人にお話があるんですけど……」

黒髪の女性遊撃士に声を掛けられたエステルはそう答えた。
するとその女性遊撃士はカタリナと名乗り、この遊撃士協会が猟兵団の襲撃を受けた時、本来の受付の人間が負傷してしまい入院中のため、自分が受付を兼務しているのだと話した。
この遊撃士協会の人手が不足している事を知ったエステル達は、自分達の目的をなかなか話す事ができなかった。
エステル達が諦めて引き下がろうとした時、遊撃士協会に来客があった。

「カタリナ、この前の依頼なんだが……」

そう言いながら入って来た男性は、エステルとヨシュアの姿を見ると驚いて言葉を止めた。
エステルもその男性の姿を見て驚きの声を上げる。

「ミュラーさん!?」
「……どうして、君達がここに?」
「この子達、兄さんの知り合いなの?」

何と帝国で出会った女性遊撃士は、ミュラーの妹だったのだ。



<お知らせ>
急いで予告編のようなものを書いてしまいましたが、中編なので年内には完結させるつもりです。
仮移転先→http://haruhizora.web.fc2.com/
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